いま韓国ではブログにおける名誉毀損をめぐって法廷争いが繰り広げられており、注目が集まっている。

インターネット小説の主人公を秘密裏に明かす

事件の発端となったのは、今回紹介する裁判で被告人となっているA氏が運営しているブログ。このブログにはA氏が執筆した小説が掲載されており、その内容は主人公である女性のBさんが会社の役員から対価を受けながら、自身の直属上司である男性の私生活を報告するというものだ。A氏はこの小説について「大部分が実話である、実名を知りたい人は連絡をするように」と吹聴していたという。

そこで、登場人物について気になったC氏が、1対1でしか話せない秘密の対話機能を利用して主人公の女性は誰なのかA氏に尋ねたところ、A氏がBさんの存在を明らかにしたという。このときC氏は「(主人公がBさんであるという)秘密は必ず守る」とA氏に伝えたという。

しかし結局、A氏はこの事実を知ったBさんから告訴されてしまう。警察もA氏のとった行為が「情報通信網利用促進および情報保護等に関する法律」(以下、情報通信網法)の定める名誉毀損にあたるとして起訴した。

大法院、1審、2審の無罪判決を破棄

ところが1審と2審でA氏は無罪判決を受けることになる。理由は、今回の事例が情報通信網法の定める「公然と虚偽の事実を示し他人の名誉を傷つける」という名誉毀損のケースに該当しないとしたためだ。 しかし状況はさらに変わる。2月に行われた大法院(最高裁判所)による上告審で、A氏に無罪を言い渡した1審、2審の判決を破棄して、議政府地方法院(裁判所)に送り返すことを決定したのだ。つまり、大法院がこれまでの無罪判決を破棄して、再度適当な判断を下すよう地方裁判所に命じたのである。

今回の判決のポイントは「公然性」にある。大法院は、名誉毀損における公然性が成立する要件として「不特定または多数の人が認識できる相手を意味する」ことを挙げている。1審と2審では公然性がないとされた1対1の対話による秘密の流出に関しても、大法院は「たとえ1人に対する事実の流出とはいえ、そこから不特定または多数の人に伝播する可能性がある」として、公然性があると判断したのだ。たとえC氏が「秘密は必ず守る」とA氏に約束したとしても、である。

さらに大法院は「A氏とC氏が対話をすることになった経緯、A氏、Bさん、C氏の関係、対話当時の状況、対話後のC氏の態度などに関して審理したのち、C氏が聞いた内容を不特定多数に伝播する可能性がなかったのか、審査すべきだった」とも述べている。

確かに1対1で会話している分には当事者たちしか分からないことでも、いったん外部に漏れ出すと一気に広まる可能性もある。秘密の会話でも名誉毀損は成立することを示した大法院の判断に、ネティズンの関心は集まっている。