蛇口のパッキンとは
パッキンとはそもそもどこに使われていて、どのような役割があるのでしょうか。まずは蛇口のパッキンについて解説いたします。
パッキンの役割
蛇口のパッキンは、部品と部品のつなぎ目から水漏れしないように取り付けられているゴム製の部品です。
パッキンは消耗品なので、使っているうちに摩耗します。特に動きのある部分に取り付けられているパッキンは劣化が早いので、定期的に交換が必要です。
蛇口に使われているパッキンの主な種類
蛇口に使われる主なパッキンは5種類あります。交換するときは、元々使われていたものと同じ種類・サイズのパッキンと取り替えましょう。
平パッキン
「平パッキン」は輪の形をした平たいパッキンです。主に給水管の接続部分などに使われています。
Oリング
「Oリング」はOの形をしたパッキンで、丸みを帯びていることが特徴です。シャワーヘッドの根元などに使われています。
Uパッキン
「Uパッキン」も輪の形をしているのですが、上部に溝があることが特徴です。そのため、断面図はUの形をしていることからUパッキンと呼ばれます。
主に吐水口(スパウト)の根元につけられています。吐水口は左右に動かすため、回転を妨げないように溝があるUパッキンが使われるのです。
三角パッキン
「三角パッキン」も輪の形をしていますが、横から見ると台形の形をしています。主にハンドルの下のナットに中に取り付けられます。
コマパッキン(ケレップ)
「コマパッキン」は、金属の部分とパッキンが一体化しており、おもちゃのコマの形と似ています。
蛇口のハンドルをひねって水が止まるのは、コマパッキンが回転しながら下がり、ゴムの部分が水の流れを防ぐ仕組みになっているからです。
パッキンの交換目安
パッキンの耐用年数は10年といわれていますが、使用状況によって寿命が早まることがあります。
10年は目安と考え、耐用年数だけで判断せず、見た目や手触りで劣化具合を判断しましょう。主に次のような状態であれば、パッキンの交換時期と判断できます。
- 触ると手が黒くなる
- ひび割れている
- ゴムが固くなっている
- 隙間ができている
関連記事:蛇口のパッキンを交換したのに水漏れが直らないときの原因と対処法
パッキンの選び方
パッキンを取り替えるときは、同じ種類・同じサイズのものを購入してください。
自分で交換するとなるとホームセンターやネット通販で購入することになりますので、パッキンの選び方をご紹介します。
蛇口のメーカーや品番から確認する
蛇口メーカーはパッキンを販売していることがありますので、蛇口のメーカーや品番がわかれば、蛇口を分解しなくても蛇口に合うパッキンを探せます。
メーカーは本体に刻印されていることが多く、品番は本体に貼られたラベルや取扱説明書などで確認できます。
蛇口を分解してパッキンの種類を確認する
蛇口のメーカーや品番がわからないとき、または蛇口のメーカーでパッキンを販売していない場合は、蛇口を分解してパッキンの種類を確認しましょう。
また、パッキンにはサイズがありますので、同じサイズのものを購入できるようにパッキンの大きさを測る必要があります。
パッキンのサイズには、「呼び径」と「外径・内径」という表記があります。
呼び径
呼び径とは蛇口の給水管の外径に対応した呼び方で、「呼び径13mm」「呼び径20mm 」があります。
外径が16mmなら呼び径13mm、外径が19mmなら呼び径20mmが適正です。家庭用はほとんどが呼び径13mmなのですが、まれに呼び径20mmが取り付けられることもあります。
蛇口の呼び径を調べるには、メーカーや品番から確認するか、蛇口を取り外して壁や台に埋まっている取り付けネジの直径を測る方法があります。
外径・内径
外径や内径とは、パッキンの直径を表します。外径はパッキン自体の直径、内径はパッキンの中央の穴の直径のことです。
また、コマパッキンに関しては、ゴムの部分の直径になります。外径と内径を調べるには、パッキンを取り外して測っておく必要があります。
蛇口のパッキン交換に必要な工具
自分で蛇口のパッキンを交換する際は、揃えておきたい工具があります。
蛇口交換に必要な工具の用途と相場をご紹介します。
工具 | 主な用途 | 相場 |
---|---|---|
モンキーレンチ | ナットをゆるめたり、締めたりする用途で使用する。下あごを動かすことでサイズをある程度調整できる。 | 500円〜3,000円 |
ウォーターポンププライヤー | 大きなナットや蛇口本体、給水管などを回すときに使用する。開口部が大きく、ギザギザの溝がついているため、挟んだときに滑りにくい。 | 800円〜4,000円 |
プラスドライバー | ネジをゆるめたり締めたりするときに使用する。ネジ穴のサイズに合うものを用意する必要がある。 | 200円〜2,000円 |
マイナスドライバー | ネジタイプの止水栓を閉める・開けるときに使用する。細いタイプはパッキンを取り外すときにも使える。 | 200円〜2,000円 |
ピンセット | パッキンを取り外すときに使用する。 | 100円〜1,000円 |
【蛇口の種類別】パッキンの交換方法
ここからは、蛇口の種類別にパッキンの交換方法をご紹介します。蛇口の水漏れが気になるときは、パッキンの劣化が原因と考えられます。蛇口の種類と水漏れ箇所を確認して、パッキンを交換しましょう。
単水栓のパッキンを交換する方法
まずは単水栓のパッキンを交換する手順をご説明します。単水栓は構造がシンプルなので、パッキン交換が比較的簡単です。
吐水口から水漏れする場合
吐水口から水漏れする場合は、ケレップのパッキンが劣化していると考えられます。その場合、ケレップごと交換する方法とケレップのパッキンのみ交換する方法があります。
まずはケレップの交換方法をご説明します。新しいケレップに節水ケレップを選べば、吐水量が減るので自然に節水可能です。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. カラービスを外します
- 3. ハンドルを取り外します
- 4. レンチでハンドル下のナットを取り外します
- 5. ケレップをピンセットで取り出します
- 6. ケレップ(またはパッキン)を交換します
- 7. ハンドルを取り付けレンチでナットを締めます
- 8. 止水栓を開き、水漏れしないかチェックしましょう
ハンドル下から水漏れする場合
ハンドルの下から水漏れするときは、ハンドル下のナットの中に入っている三角パッキンの劣化が原因と考えられます。三角パッキンを新しいものに交換しましょう。
- 1. 止水栓を締めます
- 2. カラービスを外します
- 3. ハンドルを取り外します
- 4. レンチでカバーナットを外します
- 5. カバーナットの中の三角パッキンとパッキン受けを取り替えます
- 6. カバーナットを元に戻します
- 7. ハンドルを取り付け、カラービスを戻します
- 8. 止水栓を開き、水漏れしないかチェックしましょう
スパウトの根元から水漏れする場合
スパウト(吐水口)の根元から水漏れしている場合、Uパッキンの劣化が原因と考えられます。スパウトの根元は可動部分なのでパッキンが傷みやすいのです。
Uパッキンは向きが決まっているので、間違えないように取り替えましょう。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. スパウトの根元のナットをレンチでゆるめます
- 3. スパウトを取り外します
- 4. 蛇口の中に入っているUパッキンを取り外します
- 5. 新しいUパッキンを溝のある方が上になるように取り付けます
- 6. スパウトを蛇口に取り付け、レンチでナットを締めます
- 7. 止水栓を開き、水漏れしないかチェックしましょう
2ハンドル混合水栓のパッキンを交換する方法
次は洗面台などの2ハンドル混合水栓のパッキンを交換する手順をご説明します。2ハンドル混合水栓もシンプルな構造なので、自分でパッキン交換しやすいタイプです。
吐水口から水漏れする場合
吐水口から水漏れする場合はケレップが劣化していると考えられるため、新しいものに交換しましょう。
ケレップを交換しても水漏れが直らない場合は、スピンドルを交換してください。
手順を順番にご説明します。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. プラスドライバーでハンドルを固定しているビスをゆるめます
- 3. ハンドルを取り外します
- 4. カバーナットをモンキーレンチでゆるめて取り外します
- 5. スピンドルを取り外します
- 6. ピンセットでケレップを取り出し、新しいものと交換します
- 7. スピンドルを取り付けます
- 8. カバーナットをモンキーレンチで締めます
- 9. ハンドルを取り付けます
- 10. ビスでハンドルを固定します
- 11. 止水栓を開き水漏れしないか確認しましょう
もし水漏れが直らない場合は、次の手順でスピンドルを交換しましょう。スピンドルとは、蛇口をひねると上に上がり、水量を調節する部品です。金属製ですが、長年使っているうちにすり減ってしまいます。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. プラスドライバーでハンドルを固定しているビスをゆるめます
- 3. ハンドルを取り外します
- 4. カバーナットをモンキーレンチでゆるめて取り外します
- 5. スピンドルと座金を取り外します
- 6. 新しいスピンドルと座金を取り付けます。
- 7. カバーナットをモンキーレンチで締めます
- 8. ハンドルを取り付けます
- 9. ビスを締めてハンドルを固定します
- 10. 止水栓を締めて水漏れがないか確認しましょう
ハンドル下から水漏れする場合
ハンドル下からの水漏れは三角パッキンの劣化が原因と考えられます。次の手順で新しいパッキンに交換しましょう。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. プラスドライバーでハンドルを固定しているビスをゆるめます
- 3. カバーナットをモンキーレンチでゆるめて取り外します
- 4. 三角パッキンを新しいものに交換します
- 5. カバーナットを取り付けモンキーレンチで締めます
- 6. ハンドルを取り付けます
- 7. ビスを締めてハンドルを固定します
- 8. 止水栓を締めて水漏れがないか確認しましょう
スパウトの根元から水漏れする場合
スパウトの根元にはUパッキンが使われているため、水漏れする場合はUパッキンの劣化が原因と考えられます。Uパッキンには溝があるので向きを間違えないように注意して、次の手順で取り替えましょう。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. パイプナットをレンチでゆるめます
- 3. スパウトとUパッキンを取り外します(Uパッキンは水栓本体に残っている場合もあります)
- 4. 新しいUパッキンの溝を本体側に向けて取り付けます
- 5. スパウトを取り付けパイプナットを締めます
- 6. 止水栓を開いて水漏れがないか確認しましょう
偏心管と本体の間から水漏れする場合
壁付き2ハンドル混合水栓の偏心管(クランク)と本体から水漏れしている場合、偏心管パッキン(クランクパッキン)の劣化が原因と考えられます。次の手順でパッキンを取り替えましょう。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. クランクナットをレンチでゆるめて蛇口本体を取り外します
- 3. 偏心間パッキン(クランクパッキン)を外し、新しいものに交換します
- 4. 蛇口本体を取り付け、クランクナットをレンチで締めます
- 5. 止水栓を開いて水漏れがないか確認しましょう
関連記事:混合栓のパッキンを交換する方法!蛇口の水漏れを止める準備・手順を解説
シングルレバー混合水栓のパッキンを交換する方法
続いてはキッチンなどのシングルレバー混合水栓のパッキンを交換する方法をご紹介します。
本体付け根部分から水漏れする場合
蛇口本体の付け根部分から水漏れする場合、給水管との接続不良かパッキンの劣化が原因と考えられます。
まずは接続部分のナットが緩んでいないか確認し、緩んでいる場合は締め直してみて、水漏れが改善するか確かめましょう。
ナットを締め直しても水漏れが解消しない場合はパッキンの劣化が原因と考えられるため、次の手順で交換してください。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. レバーハンドルを固定しているネジを外し、レバーを取り外します
- 3. 蛇口本体を専用工具で挟んで固定します
- 4. 本体を押さえながらカートリッジ押さえ・カートリッジ・スパウトを取り外します
- 5. パッキンを取り外して新しいパッキンに交換します
- 6. スパウト・カートリッジ・カートリッジ押さえを元に戻します
- 7. レバーハンドルをかぶせてネジで固定します
- 8. 止水栓を開いて水漏れがないか確認しましょう
吐水口やハンドル下からの水漏れする場合
シングルレバー混合水栓にはバルブカートリッジが入っています。
バルブカートリッジには水量や水温を調節する機能がありますが、劣化すると水が止まらなくなったり、水温を適切に調節できなくなったりして、水漏れの原因になってしまいます。
吐水口やハンドル下から水漏れする場合、バルブカートリッジの劣化が原因と考えられるので、次の手順で新しいカートリッジに交換しましょう。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. レバーハンドルを固定しているネジを外し、レバーを取り外します
- 3. 蛇口本体を専用工具で挟んで固定します
- 4. 本体を押さえながらカートリッジ押さえとカートリッジを取り外します
- 5. 新しいカートリッジを取り付けます。
- 6. 本体を押さえながらカートリッジ押さえを取り付けます
- 7. レバーハンドルをかぶせてネジで固定します
- 8. 止水栓を開いて水漏れがないか確認しましょう
サーモスタット混合水栓のパッキンを交換する方法
お風呂のサーモスタット混合水栓はパッキンの劣化や開閉バルブの故障で水漏れが発生します。
水漏れ箇所に合わせて次の手順で新しい部品と交換しましょう。
スパウトの付け根から水漏れする場合
サーモスタット混合水栓のスパウトの付け根から水漏れしている場合、スパウトを固定しているナット内部のUパッキンが劣化していると考えられます。
次の手順で新しいUパッキンに交換しましょう。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. スパウトの付け根のナットをレンチでゆるめます
- 3. スパウトを引き抜きます
- 4. Uパッキンを外します。(本体側についていることもあります)
- 5. Uパッキンがついていた場所の汚れを拭き取ります
- 6. 新しいUパッキンを濡らして本体に取り付けます
- 7. スパウトを取り付けてナットをレンチで締めます
- 8. 止水栓を開いて水漏れがないか確認しましょう
吐水口(スパウト)やシャワーヘッドから水漏れする場合
サーモスタット混合水栓の開閉ハンドル内部には開閉バルブが入っています。
開閉バルブは吐水や止水を調節する機能と接続部分の隙間を埋めるパッキンの役割を兼ね備えている部品です。
スパウトの先端(吐水口)やシャワーヘッドから水漏れする場合、開閉バルブが劣化していることが原因と考えられるため、次の手順で交換しましょう。
ちなみに開閉ハンドルには、はめ込み式とネジ止め式があります。はめこみ式は手で引き抜けますが、ネジ止め式はハンドルの側面のキャップを外し、プラスドライバーでネジをゆるめてからハンドルを引き抜いてください。
- 1. 止水栓を閉めます
- 2. 開閉ハンドルを動かして水が出ないことを確認します
- 3. 開閉ハンドルを外します
- 4. ハンドルの内側にあるインデックスを外します
- 5. 開閉バルブを固定するナットをプライヤーで外します
- 6. スペーサーを引き抜きます
- 7. 白い軸をつかんで開閉バルブを引き抜きます
- 8. 新しい開閉バルブとスペーサーを結合させ、蛇口に取り付けます
- 9. 外した部品を反対の手順で元に戻します
- 10. 止水栓を開いて水漏れがないか確認しましょう
関連記事:蛇口のパッキンを交換したのに水漏れが直らないときの原因と対処法
パッキン交換にかかる費用
パッキン交換は水道業者に依頼できますが、自分で交換すれば費用を抑えることができます。
水道業者に依頼した場合と自分で交換した場合は、それぞれどのくらい費用がかかるのでしょうか。
水道の蛇口のパッキン交換にかかる費用を比較してみましょう。
水道業者に依頼したときの相場
パッキン交換を水道業者に依頼した場合、部品代+作業費+出張費がかかります。
金額は業者によって異なるものの、5,000円〜10,000円程度が相場です。
自分で交換する場合と比較すると費用は高いものの、自分で部品を用意する必要がないことや、失敗するリスクがないというメリットがあります。
自分で交換したときにかかる費用
パッキン交換を自分でおこなう場合、必要な費用はパッキン代のみです。
価格はパッキンによって異なりますが、150円〜200円程度で手に入るものが多いため、かなり節約になります。
ただし、パッキン交換には工具が必要なので、初めておこなう際は工具の購入費用がかかることがあります。
モンキーレンチは500円〜3,000円程度、ウォーターポンププライヤーは800円〜4,000円程度です。
工具をお持ちでない場合は、はじめてのパッキン交換に工具代がかかりますが、2回目からは安価な費用でいつでもパッキン交換ができます。
まとめ
単水栓や2ハンドル混合水栓はシンプルな構造なので、比較的パッキン交換が簡単です。
シングルレバー混合水栓やサーモスタット混合水栓は難易度が上がりますが、日頃からDIYに慣れている人なら自分でパッキン交換してみてはいかがでしょうか。
ただし、水漏れがひどい緊急時や、蛇口が劣化していて自分で分解するのが難しい場合などは、無理せずに水道業者に相談することをおすすめします。
また、10年以上使用している蛇口は、パッキンやカートリッジだけでなく蛇口本体も劣化しています。
使用状況によっても異なりますが、蛇口の耐用年数は10年なので、急な水のトラブルを予防するためにも蛇口本体の交換を検討した方がよいでしょう。
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※記事内で紹介した水道業者様は編集部が独自にリサーチを行い、料金や口コミ等、様々な情報を基に
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