マンションを売却したいけれど、消費税の支払い義務が生じるのか疑問に思っていませんか?普段、お店で買い物をすると消費税を支払うので、不動産売却の場合でも消費税を考えなければならないと思う人は多いようです。
マンション売却で消費税を支払うかどうかは、どのような不動産を誰が売却するかで大きく変わってきます。
そこで本記事では、マンション売却で消費税がかかるケースについて解説するとともに、消費税の計算方法や注意点について解説していきます。この記事内容を参考に、損のないマンション売却を行いましょう。
個人売主が売買する場合の消費税
まず個人が不動産を売買する場合の消費税について解説します。不動産は土地と建物の2種類がありますが、そのどちらも課税対象になるのでしょうか?先にその点から詳しくみていきましょう。
土地部分は課税されない
消費税の対象となるのはモノやサービスを売った場合や、対価をもらってサービスを提供した場合です。言い換えれば、モノやサービスを消費することに対して税金が掛かるといえます。
したがって、土地は消費されるものではないため、基本的に消費税の対象とはならず、建物とセットの場合でも土地部分だけは課税対象とはなりません。不動産売買において消費税が関わってくるのは、マンションやアパートなどの建物部分のみです。土地に付随している建物以外の庭木や石などは定着物とみなされて課税されません。
個人売主は基本建物部分も非課税
建物部分は消費税の対象となりますが、売主が個人の場合は原則として建物部分も非課税となります。個人で居住しているマンションの売却を検討している場合、建物については消費税を考慮する必要はありません。
不動産に消費税が課税されるのは、基本的に売主が不動産会社などの事業者の場合です。そのため、不動産業者は建物の代金に消費税分を乗せて販売するのが一般的になっています。
個人売主でも課税される3つのパターン
ただし、個人の売主でも、次の場合は例外的に消費税が課税されるケースがあるので覚えておきましょう。
- 個人が投資用のマンションを売却するとき
- マンションを賃貸にした場合
- 地下型の車庫を売却する場合
それぞれ簡単に説明します。
個人が投資用のマンションを売却するとき
個人がマンションやアパートを売却する際に消費税は課税されませんが、それはあくまでも居住用の物件を売る場合です。個人であっても投資用のマンションを売却する場合は、事業者とみなされて課税されることになります。
ただし、2年前の事業所得が1,000万円以下の場合は対象とはならないため、はじめて投資用不動産を売却する個人は消費税を考える必要はありません。また、土地は課税対象とはならないというルールは投資用マンションでも当てはまります。土地と建物を同時に売却する場合でも課税対象となるのは建物だけです。
マンションを賃貸にした場合
たとえ居住用のマンションだったとしても、改修・改装を行って賃貸物件として貸し出した場合は個人でも事業者とみなされて課税の対象となります。物件を民泊施設やシェアハウスとして運営した場合も同様です。居住用のマンションを個人が売る場合に限って非課税になることを覚えておきましょう。
地下型の車庫
レアなケースではありますが、土地の地下につくられた車庫がある場合、個人が売主であっても土地や建物とは別に課税対象となるので注意しましょう。地下型の車庫は土地でも建物でもなく、設備の売買取引とみなされるからです。
仲介手数料は課税対象
個人が居住用のマンションを売却する場合には消費税の課税対象とはなりませんが、不動産取引のすべてにおいて消費税が掛からないわけではありません。一般的に個人がマンションを売却する場合、不動産業者に買い手を見つけてもらうことになりますが、その際の仲介手数料には消費税が掛かります。
不動産会社の仲介手数料の上限は法律で決められています。売買代金が400万円以上だった場合を例に挙げて考えてみましょう。
この金額に消費税が課税されるわけです。売買代金が3,000万円の場合は以下方法で消費税を割り出せます。
なお、不動産会社との交渉によっては仲介手数料を値引きしてもらえる可能性もあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

司法書士への報酬も課税される
司法書士に支払う報酬も消費税の課税対象です。不動産を売却する際には住宅ローンなどの抵当権を抹消しておく必要がありますが、手続きを司法書士に依頼した場合の報酬には消費税が掛かります。報酬の相場は1万円~2万円程度で、サービスに課せられる消費税は10%です。
繰り上げ返済手数料に課される消費税
住宅ローンの残債がある場合で、売却にあたって繰り上げ一括返済をするケースは多くありますが、利用している金融機関によっては繰り上げ返済の手数料が掛かることがあります。その場合の手数料も消費税の課税対象となるので注意してください。
手数料の額は金融機関によって変わってくるので、一括返済を利用する可能性のある人は事前に問い合わせてみることをおすすめします。無料の場合もあれば数万円になるケースもあるようです。
事業者が売主として売買する場合の消費税
次に、事業者が売主として不動産を売買する場合の消費税について説明します。個人の場合と同様に土地に対して課税されることはありませんが、建物は原則として課税対象です。
消費税を負担する必要があるのは課税事業者であり、法人はもちろん個人でも当てはまるケースがあります。以下で詳しくみていきましょう。
消費税が課される事業主とは
まず、消費税が課される事業主の定義を押さえておく必要があります。
課税事業者
消費税を負担する必要のある課税事業者かどうかは、基準となる期間の課税売上高で決定されます。具体的には、2年前の課税売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者とみなされ、1,000万円以下の場合は法人であっても課税事業者とはなりません。
たとえば、2年前の課税売上高が800万円だった場合、たとえマンションを1,500万円で売却したとしても、課税事業者だったと認められないため消費税は課税されません。しかし、その年の課税所得額は1,000万円を超えるため、2年後には課税事業者として消費税を負担する必要があります。
免税事業者
基準となる期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者となり、消費税の課税対象とはなりません。現状、免税事業者でも買主に消費税の請求は可能ですが、令和5年からはインボイス方式が導入となり、買主から消費税分の預かりができなくなります。
なお、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合であっても、事業の成長によって特定期間の課税売上高が1,000万円超の場合は課税事業者となるので注意が必要です。個人の場合は前年の1月~6月、法人の場合は前年の事業開始から半年以内に課税売上高1,000万円を超えた場合が該当します。
事業者売却のパターン別に見る課税有無
事業主が売却する場合でも、どのような立場の人が誰に売却するのかによって、消費税が課税されるケースとそうでないケースがあります。2つの主な売却パターンからその違いを見ていきましょう。
法人または個人事業主が売るとき
法人または個人事業主が売却する時にも、先に述べたように建物部分のみに消費税がかけられます。また、2年前の売上高が1,000万円を超えていなければ課税対象とはみなされません。
しかし注意したいのは、事業によって得た収益とみなされる範囲です。
事業を始める場合には資本金を基にしてスタートさせますが、この資本金も事業所得としてみなされます。2年前の売上高が800万円だった場合でも、資本金が1,000万円を超えているなら不動産売却時に消費税が課税されるという点に注意しましょう。
事業者が個人のマンションを売却するとき
納税事業者である個人が自らが住まいとして使用している不動産を売却する場合は消費税は掛かりません。マイホームは収益物件ではなく、事業のために使用している不動産でもないからです。
たとえ個人で不動産関連事業を営んでいたとしても、マイホームの売却では消費税が課税される心配はありません。
マンション売却で建物にかかる消費税の計算方法
もし自身の保有する不動産売却で課税されることがわかったなら、建物部分の消費税をどのように計算したらよいのでしょうか?以下で簡単に解説します。
建物部分の資産価格を調べる
マンションの評価額は、土地部分の評価額と建物部分の評価額の合計です。固定資産税納税通知書に記載されている固定資産税評価額を土地と建物の割合で価格配分したり、相続税評価額や標準建築単価などから計算します。
不動産の価格算出に最も使われることの多いのが、固定資産課税台帳記載事項証明書と呼ばれる書類です。当該不動産の土地部分と建物部分の値付け金額が具体的に記載されているので、これを確認して土地と建物部分の価格の按分を決定します。
なお、より実態に近い資産価値を調べたいときは、一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。
一括査定サービス利用者が選んだおすすめサービスTOP3
※クラウドワークス、クロスマーケティング調べ(2021/4/9~2021/4/13実施 回答数380人)
こちらは、サービス利用者のアンケート結果による「おすすめの不動産一括査定サービスTOP3」です。実際の利用者の声と編集部の知見が合わさったできたランキングですので、ぜひ参考にしてください。
なお、不動産一括査定サービスは、それぞれ対応するエリアや提携する不動産会社が異なるため、1つだけでなく複数のサービスを利用することをおすすめします。
次の記事ではより多くのサービスを含めたランキングや「査定結果の満足度TOP3」や「親族・友達におすすめしたいTOP3」などカテゴリ別にもランキングを紹介しています。さらに詳しく知りたい方は読んでみてください。

建物部分の代金に税をかける
マンション価格を土地部分と建物の部分とに区分できたら、建物部分に税率(10%)をかけると消費税額が算出できます。たとえば売却金額が3,500万円で、そのうち土地価格が2,000万円・建物部分が1,500万円だった場合には以下の式で消費税を求めましょう。
消費税を求める計算方法は単純なものですが、実は建物の評価額は年々変化していきます。建物は経年変化が起きる不動産なので、減価償却という経年変化分を元の価値から差し引く必要があります。消費税率を割り出すときには、すでに減価償却されている金額を基に計算するようにしましょう。
マンション売却で税金を計算する時に必要になる減価償却について扱ったこちらの記事もご覧ください。

マンション売却にかかる税や出費を抑えるコツ
マンション売却における消費税の扱いと計算方法について解説してきましたが、ここからはマンションを売る際に掛かる税金や出費を抑えるためのコツを紹介します。もし不動産の売却で消費税が課せられる場合であっても、次の方法で税額を抑えることが可能です。
- 自治体の補助金を利用する
- 売却で譲渡益がでた場合に利用できる特例を利用する
- 売却で損失がでた場合に利用できる特例を利用する
以下でそれぞれ解説していきます。
自治体の補助金を利用する
現状、不動産の取引に関して国の補助金や助成金を利用することはできませんが、地方自治体によっては住宅のリフォーム費用などを補助してくれる場合があります。
古い物件の場合、改修やリフォームを施さないと買い手がつかないケースは多く、売却にあたって相応の費用が掛かってしまうこともありますが、自治体の補助金を活用することで売却に係る費用を抑えることが可能です。省エネリフォームや耐震補強リフォームなど、さまざまなリフォームに関する補助金があるので、マンションのある地域の自治体に確認してみるとよいでしょう。
売却で譲渡益がでた場合に利用できる特例を利用する
居住用の住宅を売却した場合、3,000万円までの売却益は所得から控除ができます。たとえば、もともと2,000万円で購入した居住用住宅を3,200万円で売却した場合、特別控除を利用すれば課税所得金額は200万円になります。かなり税を安く抑えられることがわかるでしょう。
さらに3,000万円以下でしか売れなかった場合は課税所得金額は0になるので、所得税や住民税がまったく掛からないことになります。ただし、譲渡した年の翌年3月15日までに確定申告をしなければなりません。
また、10年を超えて居住用マンションを所有していた場合、所得税率が軽減される特例を利用できるほか、マンションの買い替えをした際に売却に関わる税金を繰延できる制度もあります。これらの特例を利用することで、納付する税金を安く抑えられます。
売却で損失がでた場合に利用できる特例を利用する
古いマンションを売却する場合、購入金額よりも売却金額の方が低くなってしまうケースは少なくありません。もし5年超所有していたマンションを売却した結果、損失が出てしまった場合には他の所得と損益相殺ができる特例が利用できます。
売却によって発生した損失を事業所得や給与所得から控除でき、それでも所得額から差し引けなかった損失については、最長3年の繰り越し控除も可能です。
ただし、利用にあたっては諸々の条件をクリアしている必要があります。詳しくは国税庁のホームページで確認してください。
不動産売却時の特別控除についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

マンション売却の消費税で注意すべきポイント
マンション売却に関わる消費税には注意すべきいくつかのポイントもあります。
- 不動産価格は税込みで表示している
- 消費税納税の場合は2年後に納付になる
- 仲介手数料は税抜価格に消費税が課される
それぞれのチェック項目は盲点になりやすいもので、知らなかったことでトラブルが発生する可能性もあります。そのようなリスクを避けるために、各項目を詳しく見ていきましょう。
不動産価格は税込みで表示している
不動産業者がチラシなどに記載している不動産価格はすべて税込みの価格になっています。記載価格に加えて消費税分を考えなければならないと勘違いする場合がありますが、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則によって税込価格の表示が義務付けられているので、購入者が消費税額を計算する必要はありません。
消費税納税の場合は2年後に納付になる
事業に使用するマンションを売却すると課税対象になりますが、実際に消費税を納付するのは2年後です。売却から納付までの期間があるので、課税事業者のなかには納付を失念してしまう人もいるようです。納付期限を過ぎると、さらに追税される可能性が高まります。
せっかくの売却益を少しでも多く手元に残すために消費税の対象となる不動産取引を行った際には、関連書類を大切に保管しておき、納付を忘れないようにしましょう。
仲介手数料は税抜価格に消費税が課される
不動産の価格は税込みで表示されますが、仲介手数料に関しては税抜き価格で提示されることがあるので注意しましょう。
土地は非課税のため手数料も計算しやすいですが、消費税の対象となる建物売買の場合、代金に含まれた消費税分を差し引いて仲介手数料を計算する必要があります。
まとめ
マンション売却に関わる消費税について、課税されるパターンとされないパターンを具体的に解説するとともに、マンション売却にかかる税や出費を抑えるポイントを紹介しました。
ほとんどの不動産取引において土地は非課税ですが、建物に関しては課税事業主が売主となる場合、消費税の課税対象となります。個人であっても投資用のマンションを売却する場合は消費税が掛かるので注意しましょう。
他にも不動産売買ではさまざまな税金が掛かりますが、自治体による補助金や税法上の特例を利用することで不動産売買の費用を抑えることができます。
マンションの売却を予定している人は消費税の課税対象となるかどうかを知っておき、できるだけ出費を抑えられるように対策するとマンション売却の利益を最大限手元に残すことができるでしょう。
まずは不動産一括サービスを利用して、適正な相場を割り出し、スムーズにマンション売却を進めましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
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