不動産売却は大きな金額が動くだけにかかってくる税金も多くのケースで高額となります。せっかく高額で売却できたとしても、税金を払った後に手元に残った金額が想定より全然少なかったら今後の生活に支障がでてしまいますよね。特別控除という制度を利用すれば税金の負担を軽減することが可能です。
この記事では控除が適用される条件や、控除によってどれほどの税金負担が軽減されるのか、どんな手続きを踏めば良いのかといったことを徹底解説していきます。不動産の売却を考えている人はぜひこの記事を読んで、税金の支払いをお得に乗り切ってください。
土地や建物の売却利益には譲渡所得税がかかる
土地や建物を売る時に出た利益には必ず譲渡所得税がかかり、国にその税金を支払わなければなりません。譲渡所得とは簡単にいうと不動産を譲り渡した時に売り主が得る利益のことです。
土地であれ建物であれ、売却した時に出た利益は譲渡所得とみなされます。実は売却した利益に課せられる譲渡所得税にはある条件を満たすと課税される金額が安くなることがあります。特別控除と呼ばれるその制度を節税に役立てるために、まずはどんな特例の種類があるのか詳しくみていきましょう。
不動産売却時に受けられる特別控除特例の種類
不動産売却時に受けられる主な特別控除は下記の7種類あり、それらの控除金額と適応される条件をまとめました。3,000万円の特別控除特例のみ条件が複雑なので次見出しにて詳細を説明いたします。
特例の名称 | 控除金額 | 条件 |
3,000万円の特別控除特例 | 売却利益の最高3,000万円分を非課税 | 次見出しで詳しく紹介 |
10年超所有軽減税率特例 | 6,000万円以下の売却利益の課税率が14%に軽減 | 10年超所有しているマイホームと土地を売却する場合 |
5,000万円の特別控除特例 | 売却利益の最高5,000万円分を非課税 | 公共事業のために土地を提供した場合(同一事業で一度のみ適応) |
2,000万円の特別控除特例 | 売却利益の最高2,000万円分を非課税 | 特定土地区画整理事業のために土地を提供した場合 |
1,000万円の特別控除特例 | 売却利益の最高1,000万円分を非課税 | 平成21年に取得した不動産で平成27年以降に譲渡する場合、もしくは平成22年に取得した不動産で平成28年以降に譲渡する場合 |
800万円の特別控除特例特 | 売却利益の最高800万円分を非課税 | 有効活用されていない農地を譲渡する場合 |
定居住用財産の買い換え特例 | 購入した自宅を譲渡する時まで課税を繰り越せる | 自宅を買い替える場合 |
3,000万円特別控除を受けられる条件とは
3,000万円特別控除は、所有年数に関係なく自宅を売却した時に適用されるのですが、いくつかの条件をクリアしていなければ適用が難しくなります。どんな条件があるのか一つずつみていきましょう。
自分が3年以内に住んでいる家屋がある
この特例の第一条件は、今現在所有者がその家屋に住んでいるという点が挙げられます。この条件をクリアできないということはまれですが、以前住んでいた家屋とその土地を売りたい場合はこの控除を受けられないのでしょうか。実はそんな人のために、国は以下の条件2つを設定しています。
- 住まなくなった日から3年が経過する年の12月31日以内に譲渡する
- その土地を他の用途として使用していない
この2つの条件は家屋を取り壊して更地にしている不動産にもあてはまります。ただ注意して欲しいのはその土地を更地にし、貸し駐車場にしているという場合には他の用途として使用しているとみなされこの特例は適用されなくなってしまうので気をつけましょう。
不動産売却の過去2年以内にこの特例を受けていない
これは特例を重複して利用しないようにするための措置で、最大過去2年以内にこの特例を適用したことのある場合には除外されてしまいます。また、3,000万円特別控除を利用したことがあること以外に過去2年以内に以下のような特別控除を受けたことがある場合には適用外になってしまいます。
- 売却損失による特例措置を受けたことがある場合
- マイホーム買い換えの特例措置を受桁ことがある場合
- 収用などの理由でその他特例措置を受けたことがある場合
しかし例外として、該当する不動産を相続した際に利用した場合にはこの特例を再度利用できる場合があります。
売り手と買い手が特別の関係ではない
この特別な関係とは親子や夫婦など生計を共にする親族があてはまります。また、その不動産を売却したあとに同居する親族や内縁関係にある人なども含みます。
適用除外に該当する家屋ではない
適用除外になるケースには次のような場合が挙げられます。
- この特別控除を受けるために入居している家屋
- 仮住まいや一時的に入居した家屋
- 別荘や娯楽施設のために用いられた建物
3,000万円特別控除の制度ができた背景には、空き家が増えることを防止するという目的も含まれています。そういった観点から上記のような建物は適用外になっています。
相続不動産の場合、3つの条件を満たしている
譲渡する不動産が相続したものである場合には、以下の3条件を満たしていなければ適用することができません。
- 所有日から起算して3年が経過した年の12月31日までに譲渡している
- 相続する前の所有者が1人で住んでいた
- 一定の耐震基準を満たした状態で、かつ1億円以下で譲渡した建物である
さらに全所有者が1人で住んでいた建物でも相続後に事務所として使用したり、賃貸として貸し出していた場合も適用外になってしまうので注意が必要です。
また、耐震基準を満たしていても一軒家でない場合や、建物と共に利用していた一部分を分割して売却した結果、トータル金額が1億円を超えてしまった場合にも適用外になってしまうので気をつけましょう。
売却時に損失が出たときの特例措置も知っておこう
不動産を売却したにもかかわらず損失が出てしまい、挙句の果てに税金まで課税されてしまうとなってしまえば泣きっ面に蜂ですよね。
そのような時に活用したいのが、売却時に損失が出てしまった場合に利用できる2つの特例措置です。控除の対象となるのは損失額から給与所得や事業所得を引いた金額で、譲渡の翌年から3年間続けて控除してもらう事ができます。
それでは、控除対象になる主な2パターンを見ていきましょう。
自宅買い換え時に損失が出た場合
自宅買い換え時に損失が出る場合には、まず以下3つの条件を満たしているかが考慮されます。
- 所有者が住居として住んでいる建物
- 所有開始日から譲渡する年の1月1日までに5年がたっていること
- 一定の要件を満たした住宅を再購入していること
これら3つの条件を満たしている場合に限りこの特例が適用されます。
再購入する建物の一定の要件には、日本国内にある床面積50平方メートル以上の住宅であることや、再購入した住宅を所有するようになった翌年年末までに入居していること、再び取得した住宅のローンが10年以上であることなどが挙げられます。
マイホームを手放した際に損失が出た場合
買い換えなどではなく単にマイホームを売却し損失が発生した時にもこの特例が適用されますが、そのためにはマイホームとして使用していたというだけでなく以下の条件も満たしている必要があります。
- 譲渡した不動産に10年以上の住宅ローン残高があること
- マイホーム譲渡額がローン残高を下回っていること
この2点を満たしていれば次のマイホームを購入しているかに関わらず特例措置を受けられるので、万が一損失が出たときには迷わず利用しましょう。
特例措置を受ける時に必要な書類と手続き
とても魅力的な特例措置ですが、その恩恵を受けるには踏むべき手続きとそれにかかわる書類を事前に準備する必要があります。ここからはどんな準備が必要かに焦点を当てて解説していきます。
確定申告は忘れずに
不動産売却した際の利益は給与などと同じように所得とみなされます。しかし、譲渡所得は給与とは違い私的な所得として挙がっているために所得者本人が確定申告の手続きをする必要が出てくるのです。
確定申告をする際にはいくつかの書類を添える必要があり、それらを事前にチェックしておくとストレスフリーで手続をスムーズに終えられます。どんな書類が必要なのでしょうか?
控除のための確定申告時に必要な書類
準備すべき一つ目の書類は譲渡所得の内訳書です。
これはどんな不動産をどれほどの金額で譲渡したのか把握するために使われます。この書類は税務署や市町村役所で入手でき、譲渡した不動産の所在地、売買契約した日、売買金額などを記入します。
次に用意するのは除票住民票もしくは住民票の写しです。
不動産の売却日から2か月後に、その不動産の所在地から交付されたものを提出します。その際、マイホームの売却契約前日に元所有者の住所が売却する不動産と異なる住所であれば戸籍附票の写しか、消除された戸籍の写しを共に提出する必要があります。
期限をしっかり守る
確定申告には期限があり、譲渡した翌年の2月16日~3月15日と決められています。
その期間内に税務署の窓口か郵送にて申告しましょう。忙しくて税務署に出向くことができない人には、e-Taxというインターネットを使った手続きで便利に申告することもできます。
期限が切れるとどうなるのか
還付の場合は期限後でも間に合う場合がありますが、申告は期限を過ぎてしまうとせっかく条件を満たしていても特例措置を受けられなくなる可能性が大いにあります。
ただでさえ時間のかかってしまう役所関連の手続きなので、ぜひ時間に余裕をもって申請しましょう。
不動産売却の特別控除に関するQ&A
それでは最後に、不動産売却時の特別控除についてのさまざまな疑問を解決しておきましょう。よくあるQ&Aを以下で詳しく解説していきます。
特別控除額に限度はある?
それぞれの特別控除額の限度は、その不動産の価値を売却時の純利益から差し引いた利益分が限度になります。また、その年の利益分全体の金額に対して合計5,000万円が限度と定められています。
併用できる特例は?
基本的に併用できる特例はあまりありませんが、3,000万円特別控除と10年超のマイホームに適用される軽減税率措置は併用可能です。この2つを利用するとかなりの額が控除されるので、積極的に利用しましょう。
人に貸していた不動産を譲渡するには?
人に貸していた不動産は所有者が住まなくなってから3年が経過すると控除の適用外になってしまいます。譲渡する期間には注意して控除を利用しましょう。
また例外として、相続においての譲渡所得の場合は譲渡前に賃貸として使われていた物件は除外されるので合わせて確認しておきましょう。
自宅を取り壊して譲渡する時は?
自宅を取り壊して更地の状態で土地のみ売却する際にも控除措置を利用することができます。利用するには1年以内に売買契約することを条件として、住まなくなってから3年以内に譲渡する必要があります。ただ、空き家とは異なり賃貸の形で土地を活用してしまうと適用外になってしまうので注意しましょう。
なお、不動産を売却する際には不動産一括査定サービスを使うと便利です。不動産の適正な価値を見極めるには、以下のような不動産査定サービスを大いに活用しましょう。ここでは、おすすめのすまいステップをご紹介します。
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また、以下の記事ではおすすめの一括査定サイト20社や、上手な選び方について紹介しています。合わせて読んでおくのもおすすめです。

まとめ
不動産売却は大きな金額が動くだけにかかってくる税金も馬鹿になりません。控除が適用される条件や、控除によってどれほどの税金負担が軽減されるのか、どんな手続きを踏めるかといった知識を深めておくことが賢い節税につながります。
また浮いたお金を素敵な家時間を楽しむ趣味のため、また将来的には旅行資金などに充てられるという嬉しい効果もあります。ぜひこの記事で取り上げた情報を活用して生活の余裕を楽しみましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
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・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
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