インフレや政府のスマートフォン値引き規制もあって、スマートフォンの価格が大幅に高騰している中、注目されているのが中古スマートフォンだ。国内での流通を加速させるには何が求められているのか、中古スマートフォン事業者のいくつかの取り組みを確認してみよう。

中古スマホに馴染みが薄いだけに抵抗感も強い

昨今著しく進んでいる、スマートフォンの価格高騰。昨今の円安に加え中東情勢の悪化、そしてAI需要の高まりによるメモリ不足などが直撃し、スマートフォンの価格高騰が収まる気配はない。

それに加えて日本では、政府が携帯電話会社によるスマートフォンの値引きに非常に厳しい規制を敷いているため、高額なスマートフォンの値引き販売も期待できない。それだけに日本の消費者が、スマートフォンを非常に買いづらくなっていることは間違いないだろう。

そこで関心が高まっているのが中古のスマートフォンである。日本では長らく、携帯電話会社による大幅値引きでスマートフォンが安く購入できたこともあり、中古スマートフォンを選ぶ人は少なかったが、度重なるインフレや値引き規制などの影響で状況は大きく変化。中古スマートフォンも消費者の有力な選択肢の1つとなり、販売台数も年々伸びている。

ただ日本では、中古スマートフォンに馴染んでいる人自体が少ないため、販売をより拡大していくには非常に多くの課題を抱えているという実情もある。中古品は古くて汚いというイメージを持つ人や、購入後に問題が起きた時のサポートや補償に不安を抱く人は少なくないだろうし、購入に際してはバッテリーの消耗具合などスマートフォン特有の見極めが求められ、一定の難しさがあることも課題だ。

それだけに中古スマートフォンを扱う事業者の側も、消費者の声に応えて課題解決につなげるさまざまな取り組みを進めている。2021年より日本に進出しているフランスのBack Marketもその1つだ。

同社はスマートフォンをはじめとした中古のデジタル機器を修理・整備して、保証を付けたリファービッシュ品を販売しているが、オンラインが主体であるため中古スマートフォンになじみが薄い日本では、リファービッシュの品質を知ってもらうことが課題となっていた。そこで同社は2026年3月24日から、東京・原宿で「リファービッシュ・ランドリー」というポップアップイベントを開催していた。

  • バックマーケットが2026年3月に展開していたポップアップストア「リファービッシュ・ランドリー」では、同社が販売するリファービッシュ品のスマートフォンの品質を実際に確認できた

    バックマーケットが2026年3月に展開していたポップアップストア「リファービッシュ・ランドリー」では、同社が販売するリファービッシュ品のスマートフォンの品質を実際に確認できた

このイベントでは、環境などに意識が高い若い世代をターゲットに、同社の中古品に対する取り組みをアピールするだけでなく、実際に販売しているリファービッシュ品を展示。「プレミアム」からA、B、Cといった各グレードのスマートフォンを実際に手に取り、それぞれのグレードの製品が、新品と比べどの程度違いがあるのかを手に取って体験できるようになっていた。

  • 左からA、B、Cグレードのカメラ部分をクローズアップしところ。Cグレードはやや傷が目立つが、それ以上のグレードでは目立つ傷がないことが分かる

    左からA、B、Cグレードのカメラ部分をクローズアップしところ。Cグレードはやや傷が目立つが、それ以上のグレードでは目立つ傷がないことが分かる

販売だけでなくサポートも強化して安心感を与える

実店舗を持つ企業は、より踏み込んだ取り組みをしているようだ。「ゲオモバイル」などで中古スマートフォンの買取・販売を手がけるゲオは、2026年3月から新たに「ゲオデジタルベース」という店舗を展開している。

  • 2026年4月25日にオープンした「ゲオデジタルベース川口元郷店」。ゲオデジタルベースの首都圏第1号店となる

    2026年4月25日にオープンした「ゲオデジタルベース川口元郷店」。ゲオデジタルベースの首都圏第1号店となる

これはスマートフォンをはじめとしたデジタル機器の中古品を主体に、複合的なサービスを提供する同社の新たな店舗形態。スマートフォンをはじめ中古品の豊富な品揃えを用意するのはもちろんのこと、明るく清潔感のある店内の内装、そして製品が見やすい広い通路幅を設けるなどして、中古品のイメージを変える取り組みを強化している。

  • 同店の店内。スマートフォンはiPhoneを中心に多くの中古端末が揃っており、店内も明るく、通路が広いので商品が見やすい

    同店の店内。スマートフォンはiPhoneを中心に多くの中古端末が揃っており、店内も明るく、通路が広いので商品が見やすい

だがより大きな特徴となっているのは、中古品の売買だけでなくサポートやサービスにも力を入れていることだ。実際ゲオデジタルベースでは、店内でiPhoneの画面割れ修理やバッテリー交換などにも対応するほか、スマートフォンの端末レンタルサービスを提供し、修理時の代替などとして活用できるようにしている。

  • 専門のクルーがiPhoneのバッテリー交換などにも対応。スマートフォンのレンタルサービスも提供しており、そちらを代替に利用することも可能だという

    専門のクルーがiPhoneのバッテリー交換などにも対応。スマートフォンのレンタルサービスも提供しており、そちらを代替に利用することも可能だという

それに加えて「クルー」と呼ばれるスタッフに、デジタル機器のさまざまな相談ができる環境も用意。スマートフォンであれば機種変更時のデータ移行や、「LINE」やゲームアプリの引き継ぎ、料金プランの見直しなど、さまざまな悩み事にクルーが対応するサービスを、有料・無料で提供している。

ゲオはゲオデジタルベースを、郊外中心に500~600店舗展開することを目指すとしているが、必然的にそのターゲットは近隣住民となるため、スマートフォンに詳しい人ばかりが訪れるとは限らない。そうした人達に対してサービス面で安心感を与え、信頼を得ることで中古品の販売を広げたい狙いがあるようだ。

こうした事業者側の努力により、国内の中古スマートフォン販売が拡大することは、中古スマートフォンが国内で流通しやすくなることにもつながってくる。

実は日本のユーザーはスマートフォンを丁寧に扱うことから、中古品の品質が非常に高く、海外での人気も非常に高い。そのため買い取られた端末の多くが海外に流れてしまうという実情もあり、とりわけ端末購入プログラムで返却された端末を中古市場に売却し、収益化している携帯電話会社はその傾向が強い。

それだけに、国内の中古市場が拡大すれば、国内で流通する中古スマートフォンが増え、より良質な端末を買いやすくなることにもつながってくる。そのためにも中古スマートフォンを販売する事業者の側には、リアルでの顧客接点を積極活用するなどして、消費者の高い心理的ハードルを乗り越える取り組みが継続的に求められることになるだろう。