Windows Terminal Preview 1910

Microsoftは正式版のリリースへ向け、Windows Terminalプレビュー版の公開を続けている。本稿執筆時点では「Windows Terminal Preview 1910」が最新版だ。Microsoft StoreやMicrosoft Store for Business、またはGitHubから個別にダウンロードしてインストールすることができる。

なお、Windows Terminal Preview 1910はバージョン番号としては「Version 0.6.2951.0」と表示される。

  • Windows Terminal Preview 1910 == Version 0.6.2951.0

    Windows Terminal Preview 1910 == Version 0.6.2951.0

Microsoftは2020年第1四半期または第2四半期には、Windows Terminalの最初の正式なバージョンを公開することを計画している。そろそろバグ修正や安定化などに舵を切ったほうがよいような気がするが、この段階でも機能の変更やUI/UXの改善などが取り組まれている。

プレビュー版が公開された当初は野暮ったい感じのあるターミナルアプリケーションだったが、今回のプレビュー版でだいぶ洗練されてきた。このターミナルは今後長く付き合うことになるだろう。そこで、今回のプレビュー版の変更点を整理しておきたい。

改善されたタブ周りのUI/UX

Windows Terminalのタブは、必要最小限のUI/UXだけが実装されたといった感じで、正直なところ使いにくいところがあった。今回のプレビュー版では、この部分に改良が施されており、タブセパレータが表示されるようになったほか、タブがウィンドウの幅を超えた場合に、横にスクロールして表示をずらすことが可能になった。タブを備えたアプリケーションではよくある実装だが、Windows Terminalにもこの機能が追加されたことになる。

  • タブの数が増えるた場合、左右の<と>でタブ表示を横へスライスできる

    タブの数が増えるた場合、左右の<と>でタブ表示を横へスライスできる

また、このバージョンでは、カラーコントラストが改善されており、これまでよりも見やすくなっているほか、ドロップダウンメニューの四隅が若干丸まった表示に変わっている。これにより、これまでの野暮ったい表示がどことなく洗練された感じになっている。

  • ドロップダウンメニューの四隅が丸く表示されている

    ドロップダウンメニューの四隅が丸く表示されている

こうしたタブ周りの改善は、WinUIをWinUI 2.2へアップグレードしたことで実現されている。ウィンドウのサイズを広げすぎた場合にタブバーが展開されないというバグが残っているものの、新しいタブを開くといった操作をすれば直るし、このバグは次のプレビュー版で修正されるのではないかと見られている。

デフォルト設定とユーザー設定を分離

Windows Terminal Preview 1910では、設定ファイルが2つに分離した点も注目ポイントだ。これまでの設定ファイルはdefaults.jsonというファイルになり、ユーザーが自分で記述する設定はprofiles.jsonファイルに分離されることになった。

  • ユーザが編集するprofiles.jsonファイル

    ユーザーが編集するprofiles.jsonファイル

  • デフォルトの設定が記述されたdefaults.jsonファイル

    デフォルトの設定が記述されたdefaults.jsonファイル

defaults.jsonファイルは自動的に生成されるファイルで、このファイルを編集しても意味がないとされている。自分の設定変更はprofiles.jsonファイルに行う。メニューから設定を選択するとデフォルトではprofiles.jsonファイルを編集することになる。

デフォルトの設定ファイルを閲覧したい場合は、Altキーを押しながらドロップダウンメニューを開いて、そこから設定を選択する。デフォルトの設定をコピーしてきて、それを変更して使いたい場合は、defaults.jsonを開きつつ、profiles.jsonファイルを編集するといったことをすればよい。

デフォルト設定とユーザー設定を別のファイルに分離するというのはよくやる手法だ。こうしておけば、アプリケーション側は常に最新の設定ファイルにアップデートし続けることができるし、ユーザーは自分の好みとする設定だけを保持し続けることができる。設定を確認するために一旦すべてデフォルトの設定に戻し、また設定を戻すといったことも、こうした仕組みになっていれば簡単だ。

ダイナミックプロファイル

Windows Terminal Preview 1910では、ダイナミックプロファイルという機能も導入されており、WSL (Windows Subsystem for Linux)に導入されているLinuxディストリビューションを自動的に検出するようになった。PowerShell Coreも同様だ。将来的にはPowerShell 7も対象に入るだろう。なお、設定を変更すれば、こうした自動検出機能を無効にしておくこともできる。

「複数のバージョンのUbuntuをインストールしておきたい」「Windows PowerShellとPowerShell Core、PowerShell 7を個別に使いたい」場合など、この機能がかなり便利である。

このように、MicrosoftはWindows Terminal Preview 1910でWindows Terminalの使いやすさをかなり引き上げたように思われる。今後のプレビュー版では、どのような改善が取り込まれることになるのか楽しみだ。