パソコンやスマホなどのスマートデバイス周辺のガジェットやグッズ、ユーティリティ類の中で、群を抜いて理解しにくいものの筆頭はUSBケーブルではないだろうか。特に両端がType-Cプラグになっているものについては、見かけだけではその性能をまったく判別できない。

たとえば、充電に使うとき、運べる電力の上限が違う。60W以下、100W以下、規格上の上限である240W以下に対応する3種類のケーブルがある。

また、データを運ぶ場合は、伝送速度が気になる。もっとも遅いのはUSB2.0相当の480Mbpsで、それより新しい世代の規格として、5Gbps、10Gbps、20Gbps、40Gbps、80Gbps、120Gbpsなど、どの速度までをサポートするかが違う。

さらに、オルタネートモード対応のケーブルはDisplayPortやThunderboltなどの別規格の信号を伝送することができる。

これらの組み合わせでケーブルの素性が決まる。100均に並んでいるケーブルも、すでに100円で買えるものは少なくなりつつある。製品ごとに、やわらかかったり、太かったり、頑丈だったりと、なんらかの付加価値をもたせようとしている。

とにかく規格不一致で困ることが起こらないようにするには、規格全部入りケーブルを使うようにすることだ。そして、それが使えない場面でだけ別のケーブルを使う。たとえば、USBの規格上、480Mbpsを超える伝送能力を持つケーブルは、約2メートルが上限だ。だが、それでは足りない場面もある。そんなときには4メートルのケーブルを使うといい。でも、その速度は480Mbpsにとどまる。見かけはまったく同じなのにだ。

なので、その道のプロでもケーブルの素性を知りたいときにはケーブルチェッカーと呼ばれる機器を使う。それを使ってケーブル自身に自己紹介させるのだ。こんな状況が長くつづいている。

そんななかで、近頃、大手のメーカーが、相次いで全部入りに近いケーブルを発売した。

  • 13cmと80cmのオールインワンケーブル。適材適所で長さを使い分けたい

    13cmと80cmのオールインワンケーブル。適材適所で長さを使い分けたい

ひとつはティ・アール・エイ株式会社のオールインワンUSB-Cケーブル「cheero USB-C to C Fast Cable 240W(CHE-282)」で、最大240Wの高速充電、最大40Gbpsの高速データ転送、最大8K/60Hzの映像出力に対応する。まあ、このくらいのスペックがあればまず困ることはないだろう。長さは約80cmで少し太いが高耐久のファブリックケーブルが使われていて安心感がある(通常販売価格:1,680円 発売記念特別価格:1,480円 ※300台限定)。

  • ティ・アール・エイのUSBケーブル。最大240Wの高速充電、最大40Gbpsの高速データ転送、最大8K/60Hzの映像出力に対応する

    ティ・アール・エイのUSBケーブル。最大240Wの高速充電、最大40Gbpsの高速データ転送、最大8K/60Hzの映像出力に対応する

もうひとつはエレコムの「USB 40Gbpsケーブル(USB Type-C - USB Type-C/100W/フラット MPA-CCEC4GF01WH)」だ。13cmしかない短くフラットなケーブルで、接続時の見かけはスッキリするが、とにかく商品名が長いのは、USBケーブルのややこしさを象徴している。伝送電力の上限は100Wだが、一般的な充電時には特に困らないだろう。100W超の電力が求められるのは、ゲーミングパソコンやモバイルワークステーションなどのデバイスだけだと考えていい。色もブラックとホワイトが用意されている(1090円)。ちなみに、急速充電時の電力はケーブルだけではなく、スマホやパソコンなどのデバイス、ACアダプタに依存する。それぞれのスペックの中で最も低いものでしか充電できないことを頭においておこう。

  • エレコムのUSBケーブル。プラグ部分に対応スペックが記載されているのでわかりやすい

    エレコムのUSBケーブル。プラグ部分に対応スペックが記載されているのでわかりやすい

両製品ともに映像伝送に対応できるのはうれしい。ノートパソコンに外付けのモバイルディスプレイを接続するユーザーも増えてきた。USB-Cケーブル一本でノートパソコンとモバイルディスプレイを接続するだけで映像出力と電源供給ができる。ノートパソコンのバッテリが不安な場合はノートパソコンを充電しながら使えばいい。作業テーブルなどでディスプレイを置きっぱなしにするような場合は、ディスプレイに電源アダプタからのケーブルを接続したままで設置しておき、もうひとつのポートを使ってケーブル一本でノートパソコンと接続すれば、ノートからディスプレイには映像が、ディスプレイからノートには電力が伝送される。まさに双方向運用だ。この電力パススルーがけっこう便利だ。

一方、ライブ映像の配信などが行われることも多く、リビングルームの大画面テレビに推しの姿を映し出して楽しみたいというユーザーも多くなってきた。パソコンには多くの場合HDMIポートがあるので、テレビとHDMIケーブルで接続すれば、大きな画面で推しの熱演する姿を楽しめる。HDMIポートを持つパソコンならそれでいいが、手持ちの映像デバイスはスマホだけという場合もありそうだ。ところがスマホにつながるType-Cポートが用意されているというテレビは寡聞にして知らない。スマホの映像をテレビで楽しむには、そのためだけに別のケーブルやアダプタ類が必要になる(USB Type-C - HDMI変換ケーブル DH-CHDMIBKシリーズや、USB Type-C - HDMI変換アダプターなど)。今回の2製品が映像出力に対応していても無理なのだ。流れる信号は同じなのに……。ここがまたUSBケーブル規格の難しいところである。