NVIDIA日本法人は8月4日、東京都内に在住・在学中の女子中学生・女子高校生を対象にしたイベントとして、オフィスツアーを開催しました。NVIDIA製品・サービスへのタッチアンドトライに加え、同社で活躍する現役女性社員へのAMA(Ask me anything)を通じてキャリアへの理解を深められるというものです。

  • NVIDIA日本法人のオフィスツアーに東京都内在学の女子中高生が参加。文理選択・進路を考える契機に

    NVIDIA日本法人のオフィスツアーに東京都内在学の女子中高生が参加。文理選択・進路を考える契機に

東京都主催「女子中高生向けオフィスツアー」の一環。STEM領域への関心強化で

今回開催されたオフィスツアーについてみてみると、東京都と公益財団法人山田進太郎D&I財団が主催しているもので、STEM分野における女性活躍推進の取り組みの中で行われているもの。2022年度から始まり今年で5年目、春と夏に分けてさまざまな企業から希望のオフィスを来訪でき(人気の場合は抽選)、都内在住・在学中の女子学生にとってはまたとない貴重な機会です。累計参加者は3,600人を超え、イベントへの周知も進んできたそう。

2025年度は計72もの企業等で開催され、今年の夏開催分では80社以上の企業・団体が参加した過去最大のものに。第一弾、第二弾ともに公開されている特設サイトにはズラリと一流企業のロゴが並んでおり(外部サイト)、興味や関心、得意分野に応じて好みの企業に応募することができたようです。学生のうちはあまり馴染みのなさそうな企業も多く含まれ、どこに応募するか調査・検討するだけでもためになるでしょう。

  • 東京都と公益財団法人山田進太郎D&I財団が主催しています

    東京都と公益財団法人山田進太郎D&I財団が主催しています

オフィスツアーは見学や社員との交流を通じて将来について考えるプログラムだとしており、東京都は「STEM(科学・技術・工学・数学) 分野での女性活躍を推進するため、(中略)女子中高生が将来の自分をしっかりイメージして進路選択することを応援します!」と述べています。

そこでNVIDIAを選ぶ先見性。GPU、GeForceなど知らずとも

オフィスツアーは挨拶から製品・サービスのデモ、女性理系社員の業務紹介と続き、AMA(Ask me anything)と題して先輩社員との気軽なやり取りに臨めるというもの。NVIDIA日本法人といえば同社広報を20年にわたって女性社員が務めていることが(業界内では)知られており、同氏による朗らかな挨拶で学生の緊張が解けていく様子が見られました。

  • 同社エンタープライズマーケティング本部 広報部長を務める中村かおり氏

    同社エンタープライズマーケティング本部 広報部長を務める中村かおり氏

印象的だったのは、参加者の学生が今回のオフィスツアーでNVIDIAを選んだ理由でした。ほとんどの学生が親からの推薦を受けて選んだとのことで、製品やサービスにはほとんど馴染みがないとのこと。みなさんゲームもスマートフォン以外で遊ぶこともないのか、もちろんGeForceのことはほぼ知られていません。冒頭放映されたNVIDIAの紹介映像でNintendo Switchシリーズのプロセッサに触れられ、初めて身近に感じられている様子が見られました。

  • 親に教えてもらったと挙手する学生のみなさん

    親に教えてもらったと挙手する学生のみなさん

AIサーバー実機、AIロボット、ゲーミングノートPCに触れる

挨拶に次いで、NVIDIAの主力製品・サービスを実際に体験するデモが行われました。参加者を3つのグループに分けて行われ、黄金に輝くデータセンター向けのNVIDIA DGX H100実機について説明を受けたり、最新ゲーミングノートPCで動作する圧倒的に高品質なPCゲームを遊んでみたり、AIロボット「Reachy」に話しかけたりすることができました。

  • 熱心に傾聴する参加者。これがみんなも使ういろいろなAIサービスを動かしていると聞いて興味深そうでした

    熱心に傾聴する参加者。これがみんなも使ういろいろなAIサービスを動かしていると聞いて興味深そうでした

  • 『PRAGMATA』でPCゲーミングを体験。スマホやゲーム機のほかにパソコンでゲームするという発想自体なかったようで、NVIDIAが導入を推し進めるパストレーシング描画の高品質さ初めて体験したとのこと

    『PRAGMATA』でPCゲーミングを体験。スマホやゲーム機のほかにパソコンでゲームするという発想自体なかったようで、NVIDIAが導入を推し進めるパストレーシング描画の高品質さ初めて体験したとのこと

  • AIロボット「Reachy」。NVIDIA DGX Sparkが音声認識、会話や画像の生成、ロボットの制御までローカルで処理します

    AIロボット「Reachy」。NVIDIA DGX Sparkが音声認識、会話や画像の生成、ロボットの制御までローカルで処理します

意外と「理系」を強く推してこなかったNVIDIA。女性社員に直撃

デモのあと、NVIDIA日本法人で働く現役女性社員とのコミュニケーションタイムが用意されました。登壇者は早稲田大学で数学を専攻し、前職では画像処理を経験した中村真奈さん、中国出身で米国公認会計士資格も持つ岳玉玲さん、日本の高校を卒業後カリフォルニア大学に留学してApple、AmazonでSiriやAlexaの開発に携わった松本美咲さん、ブラジル出身でサンパウロ大学を卒業後、東大大学院で修士号を取得したアマロ サフィラさんなど、とんでもなく個性豊かで強力なバックグラウンドを持った社員が参加しました。

やはり学生にとってもっとも卑近なトピックは文理選択や英語にあったようで、外資系テック企業で働く社員の英語力の基準や、これまでの学業の中で数学にどう取り組んできたかが数多く聞かれていた様子。横から聞いていたところでは、やはり自分のなりたいものに必要な能力があるならがんばって追い求めてみるメンタリティが重要だとのことで、NVIDIAほどの企業に勤める優秀な社員の方々だと学生時代はさまざまな挑戦に臨んできたそう。苦手だった数学に全力で取り組んだ経験や、どこにでもついて回ってくる英会話を克服した経験について話されていました。

  • 前職のスクウェア・エニックスからNVIDIAに移り、ゲーム会社に対してGeForce製品の技術サポートを行っているアマロ サフィラさんの来歴。ブラジルの大学から日本の大学院、アメリカ企業の日本オフィスに勤めるキャリアです

    前職のスクウェア・エニックスからNVIDIAに移り、ゲーム会社に対してGeForce製品の技術サポートを行っているアマロ サフィラさんの来歴。ブラジルの大学から日本の大学院、アメリカ企業の日本オフィスに勤めるキャリアです

最後にエンタープライズマーケティング本部 本部長 堀内朗氏が登壇してあいさつを行いました。女性社員とのAMAに続く形で、「やはり英語がとても重要。文系と理系のどちらの進路に進んだとしても必ず必要になる力で、これはNVIDIAが推し進めるAIがさらに発展しても変わらないものだと思う。文系にも理系のマインドが必要だし、理系だから英語のような語学をおろそかにしていいわけではない」と強調し、STEM教育プログラムにありがちな理系推しに終始しなかった点がとても印象的でした。

  • エンタープライズマーケティング本部 本部長 堀内朗氏。文理どちらかではなく、両方必要だとのステートメント

    エンタープライズマーケティング本部 本部長 堀内朗氏。文理どちらかではなく、両方必要だとのステートメント

学生向けプログラムの話を参加者のすぐ側で聞きながら、自分の学生時代のことを思い返さずにはいられませんでした。あの時こんなふうに時価総額世界1位の外資系企業に訪問し、現役社員の方と親身に話ができる機会があれば何か違ったのかなと考えながら、東京都が主催してくれるこの素晴らしいイベントの価値を思い知ったような心地です。

参加者の学生さんは親に言われてよく知らない“謎の半導体企業”に夏休みを1日割いてまで来訪させられたと思っていたかもしれませんが、進路について考えていく中で、後からきっとかけがえのない貴重な時間だったことに気付けるはずです。