セイコーエプソンが発表した2026年度第1四半期(2026年4月~6月)の連結業績は、売上収益は前年同期比14.4%増の3674億円、事業利益は同12.0%増の221億円、営業利益は同45.7%増の206億円、税引前利益は同60.4%増の207億円、当期利益は同96.4%増の129億円となり、増収増益の結果になった。
セイコーエプソン 執行役員 経営管理・DX本部長の繁村治氏は、「社内計画に対しては、売上収益、事業利益ともに上回っている。セグメント別では、プレシジョンイノベーションと、ビジュアル&ライフスタイルが上振れている」とし、「2025年度第4四半期から需要環境に大きな変化はなく、堅調に推移した。さらに、円安による為替のプラス影響もあったほか、競争力のある製品で着実に需要を取り込み、各セグメントで前年同期から増収となった。また、事業利益は、メモリなどの部材費高騰の影響を受けたほか、米国関税費用が増加したものの、為替のプラス影響によって増益になった」と総括した。
2026年度第1四半期は、旺盛な需要に対応した一方で、メモリなどの部材費高騰が顕在化。販売数量は、インクジェットソリューションズやマイクロデバイスを中心にプラスの影響が出ている。また、部材費高騰への対応として、オフィス・ホームプリンティングや商業・産業プリンティングを中心に販売価格に反映。メモリなどの部材費高騰や米国関税費用の増加、在庫増減影響がコストにマイナスの影響を及ぼした。
セイコーエプソンは、2026年3月に、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」を発表。「プリンターのエプソン」から、「テクノロジーイノベーション×エンジニアリングのエプソン」への進化を標ぼうしている。また、実行計画として、2028年度を最終年度とする「中期経営計画Phase1(2026~2028年度)」を策定しており、2026年度第1四半期の業績は、それに向けた最初の通信簿となる。
2026年度第1四半期のセグメント別業績では、プレシジョンイノベーションの売上収益は前年同期比23.5%増の498億円、セグメント利益は同62.1%増の155億円となった。そのうち、プリントヘッドの外販を行っているインクジェットソリューションズの売上収益が前年同期比29.7%増の191億円、マイクロデバイスの売上収益が前年同期比24.2%増の272億円、エプソンアトミックスの売上収益は前年同期比21.3%増の47億円となった。
「想定以上の強い需要により、売上収益、セグメント収益ともに計画を上回った。インクジェットソリューションズは、中国での案件獲得やその他地域での新規開拓が進んだ。マイクロデバイスは、産業向けやデータセンター向けに強い需要が継続するなかで、積極的な販売活動が成果につながった。とくに、水晶デバイスを中心に売上げが大きく伸長した。また、エプソンアトミックスは、高機能金属粉末の旺盛な需要への増産対応により、販売を伸ばした」という。
インダストリアル&ロボティクスの売上収益は前年同期比17.9%増の820億円、セグメント利益は同44.1%増の55億円。そのうち、商業・産業プリンティングの売上収益が同18.1%増の750億円、ロボティクスの売上収益が同14.7%増の70億円となった。
「商業・産業プリンティングは、フォトやサイネージ、ラベルの販売が増加。ロボティクスは、着実に案件を獲得した」という。
オフィス・ホームプリンティングの売上収益は前年同期比12.3%増の1670億円、セグメント利益は同21.7%減の114億円。内訳は、SOHO・ホームの売上収益が前年同期比13.3%増の1316億円、オフィス共有の売上収益は前年同期比15.1%増の228億円、オフィス・ホームその他が前年同期比1.2%減の126億円となった。
SOHO・ホームのプリンター本体販売台数は、インクカートリッジモデル、大容量インクタンクモデルともに前年同期並となった。
「インクは価格改定の影響などにより増収。オフィス共有は、本体稼働台数の拡大に伴い、インクの販売が増加したほか、新たな案件獲得の成果があった。だが、セグメント利益は、米国関税費用の増加に加え、部材費や輸送費の上昇、部品調達での一時的な問題の発生に伴う在庫減少影響により減益となったことで、計画を下回った」とした。
ここでは、大容量インクタンクで使用する部品の一部に、生産できないものが発生したことが要因だと説明。2カ月以内で正常化しており、第2四半期以降での販売拡大を目指すという。
エプソンでは、7月1日から、ホームプリンターや写真高画質プリンター、ビジネスインクジェットプリンター、ラベルプリンターなどを値上げしたが、「駆け込み需要などの影響はない。プリンターは価格感応度の高い商品とは捉えておらず、適切な価格改定であれば、十分に受け入れてもらえると判断している。通期の販売計画についても積み上げていけると考えている」と述べた。
ビジュアル&ライフスタイルの売上収益は前年同期比7.1%増の672億円、セグメント利益は同30.2%減の42億円。そのうち、プロジェクターを中心とするビジュアルプロダクツの売上収益は前年同期比6.9%増の486億円、ウエアラブルプロダクツの売上収益が同20.0%増の127億円、PCの売上収益が同10.4%減の60億円となった。
「全体では増収となったものの、部材費や輸送費の上昇や、ビジュアルプロダクツのミックス変動や在庫変動に伴う利益のマイナス影響があり減益となった。ビジュアルプロダクツは、教育案件の獲得やFIFAワールドカップ特需により販売が増加した。ウエアラブルプロダクツは、海外や国内向けの需要が増加し、販売が増加した。PCは、前年同期にWindows 10のサポート終了時の特需からの反動があり減少した」という。
一方、2026年度通期(2026年4月~2027年3月)の業績見通しを修正し、売上収益は600億円増額し、前年比6.8%増の1兆5100億円、事業利益は150億円増額し、同25.3%増の1050億円、営業利益は150億円増額し、同103.8%増の1010億円、税引前利益は150億円増額の同97.9%増の990億円、当期利益100億円増額の同279.1%増の690億円とした。
「第1四半期の実績を踏まえ、売上収益はプレシジョンイノベーションを中心に各セグメントで業績予想を上方修正した。事業利益は、原油高やメモリ価格の高騰の影響が前回予想よりも拡大することを前提に見直したものの、価格対応や米国関税還付を織り込み、上方修正した。世界経済の不確実性が増しているが、通期業績予想の達成に向けて着実に取り組みを進める」と語った。
インクジェットソリューションズやマイクロデバイスなどで販売増加を見込んだほか、米国関税還付では、約170億円を織り込んだ。また、部材や輸送費の変動による影響見通は、期初のマイナス250億円から、マイナス380億円へと拡大している。
2026年度のセグメント別業績見通しは、サブセグメントを含めて、すべてを修正する大規模なものとなっている。第1四半期終了時点で、ここまで修正するのは異例ともいえる。
プレシジョンイノベーション事業の売上収益が130億円増額し、前年比16.4%増の1920億円、セグメント利益は50億円増額し、同24.9%増の550億円とした。そのうち、インクジェットソリューションズの売上収益は40億円増額の同17.9%増の740億円、マイクロデバイスの売上収益は80億円増額の同16.4%増の1070億円、エプソンアトミックスの売上収益は20億円増額の同21.9%増の190億円とした。
「インクジェットソリューションズは、中国での需要回復に加えて、他地域での需要拡大を織り込んだ。マイクロデバイスは、ネットワーク向けの販売を上方修正。エプソンアトミックスは、データセンターやスマホ、車載向け電子部品の需要増加を見込む」という。
インダストリアル&ロボティクス事業の売上収益は150億円増額し、前年比9.1%増の3250億円、セグメント利益は70億円増額し、同53.4%増の310億円。そのうち、商業・産業プリンティングの売上収益は120億円増額し、前年比7.9%増の2960億円、ロボティクスの売上収益は30億円増額して、同23.3%増の290億円とした。
「小型プリンターなどで販売見通しを上方修正した。また、ロボティクスでは、競争力を強化した新製品で機会を逃さずに、着実な案件獲得を目指す」という。
オフィス・ホームプリンティングの売上収益は140億円増額し、前年比2.8%増の7120億円、セグメント利益は20億円増額し、同5.2%減の580億円。内訳は、SOHO・ホームの売上収益が110億円増額の前年比0.5%増の5520億円、オフィス共有の売上収益は20億円増額の前年比21.6%増の1080億円、オフィス・ホームその他の売上収益は10億円増額の同4.3%減の520億円とした。
「原油価格の高騰による部材費や輸送費の上昇影響を受けるものの、為替前提の見直しや米国関税還付のプラス影響がある」という。
プリンターの2026年度の販売台数計画は据え置き、インクジェットプリンター本体が約1720万台。そのうち、SOHO・ホーム向け大容量インクタンクモデルは約1410万台。構成比は82%となる。また、SOHO・ホーム向けインクカートリッジモデルは約270万台、オフィス共有IJPは約40万台とした。
「第1四半期においては、部品調達における問題が発生したが、すでに正常化しており、通期見通しには影響はない。引き続き、大容量インクタンクモデルの拡販を進める」と述べた。
ビジュアル&ライフスタイル事業は、売上収益は190億円増額の前年比8.0%増の2710億円、セグメント利益は20億円増額の同30.0%増の220億円。そのうち、ビジュアルプロダクツの売上収益は80億円増額の同7.0%増の1940億円、ウエアラブルプロダクツの売上収益は50億円増額の同14.4%増の470億円、PCの売上収益は60億円増額の同5.7%増の300億円とした。プロジェクターの販売台数は据え置き、前年並の130万台を目指す。
「ウエアラブルプロダクツは、需要増により上方修正した。また、PCは、メモリなどの高騰影響を見直すほか、同時に価格対応を見込んだ」という。














