世界最大手のPC周辺機器・デジタルデバイスメーカーのロジクールが立て続けに新製品を発売している。
同社のマウスの最高峰といえばMX MASTER 4で、約6年ぶりにMX MASTER 3からフルモデルチェンジした。価格も発売当初は2万円を超えていた。その発売からはまだ半年ちょっとしかたっていないが、これはもうフラグシップの貫禄だ。これほどのマウスに手が慣れてしまったら、他のマウスを使えなくなるだろう。
そのロジクールからの直近の新製品は、右手専用マウスの「M850」「M840」で、右手での使用に最適化されたエルゴノミクス設計が特徴だ。左右ボタンの先端がそり上がった加工もユニークだ。オープン価格だが、ロジクールオンラインストア価格は「M850」が8,250円、「M840」が6,710円となっている。
同社はMX MASTER 4で、マウスのフロアにあたる親指エリアを触覚フィードバック対応とし、かすかな震えで操作のフィードバックが得られるようにした。また、Actions Ring機能を実装、任意のデスクトップ操作で呼び出し、さまざまなショートカットを実行できるようにした。今回の2製品は触覚フィードバック機能こそないが、Actions Ring機能には対応して同様の操作が可能だ。
「M850」と「M840」の違いは、マウスを握ったときの手のひら部分に、クッションが装備されているかどうかだ。手のひらでマウスを覆うように握ったときの圧力をやわらげ負担が軽減するという。
個人的にはマウスを握るときに手のひらの付け根をテーブルにつけて、マウスの移動の基準にするクセがあるので、あまりクッションの恩恵にはあずかれない。経年変化などの心配も考えると、M840の方がいいかなと思った。この2製品はMX MASTER 4の半額以下で手に入るが、操作した感じに安っぽさがいっさいないのはうれしい。妥協がないといったところだろうか。マウスについてはさすがロジクールだと感心する。
そしてMobi Fold。こちらはロジクールとしては初めてとなる折りたたみ構造のマウスだ。近日リリースとされている。価格は14,850円だ。フォルダブルスマホがブームだが、モバイルマウスも折りたたんでコンパクトにして持ち運びの負担を軽減しようというわけだ。
スクロールホイールではなく、「アダプティブタッチスクロール」と呼ばれる機構を採用、本来ならホイールのある部分がタッチセンサーになっているので、そこを上下にフリックすることで、スクロールができる。また、手前のクリックで「戻る」、奥側のクリックで「進む」となる。実際に使ってみると、左右ボタンの間にあるタッチ領域を探してなんとなく指が迷う。こすってもスクロールしないと思ったら、左右ボタンをフリックしていたといったことが多かった。またスクロールの惰性にももうちょっと手を入れてほしいところだ。慣れるにはちょっと時間がかかりそうだ。
なお、各ボタン類にはユーティリティのLogi Options+を使って任意の機能を割り当てられる。各種の機能ボタンに機能を割り当てする際の自由度が高いのも同社のマウスの特徴だ。
デスクトップパソコンではなくノートパソコンが好んで使われるようになったことで、ポインティングデバイスは、マウスを使わず画面のタッチやタッチパッド上でのジェスチャなどが一般的になっていった。だが、丸一日マウスを握っているとか、キーボードよりマウスを握っている時間の方が長いといったユーザーには今なお必須のデバイスだ。疲れ具合や効率が全然違うと思う。ワークスペースに余裕があるなら、ぜひともマウスを使いたいというのが本音だ。それでも人によってはマウスを使うとキーボードのタッチタイピングが乱れるという。なかなかこれはこれで難しいテーマだ。
コンピュータと人間との対話は、古くはキーボードとコマンド入力で行われ、それがWindowsなどのグラフィカルなユーザーインターフェースへの移行で、マウスがポピュラーなインターフェースデバイスとして市民権を得た。
スマホ画面のタッチ操作やノートパソコンのスライドパッドなどが、生まれて初めて使う最初のマンマシンインターフェースだという世代もかなりの勢力となりつつある。それでもマウスがその使命を終えることなく、今なお、使われ続けているのは、なんらかの理由がある。精密な位置決めや長時間作業における負担の少なさといった点で、マウスにしかない利点があるからだろう。ロジクールのようなメーカーが、ちゃんとした製品を出し続けてくれるのは、古くからパソコンとつきあいつづけている世代にとっては心強いし、うれしい限りだ。






