9月10日発表のiPhone 18 Pro/Pro Maxに搭載された「A20 Pro」は、歴代iPhoneの中で最高性能を誇るプロセッサといえます。実際に性能を測定したことがなくても言い切れる理由は、このプロセッサがiPhoneシリーズで初となる2nm(ナノメートル)のプロセスルールで製造されているからです。
プロセスルールとは、SoCやメモリといった半導体の製造技術における指標です。それら半導体製品の内部には、1メートルの10億分の1(ナノメートル)を単位とするほど極めて微細な配線が巡らされており、通常その幅が狭いほど高性能です。
プロセスルールの違いによる性能差は、絵画にたとえるとわかりやすいかもしれません。同じ大きさのキャンバスに絵を描くとき、太い絵筆より細い絵筆のほうが細密な絵を描きやすいように、配線は細かいほうがより緻密で情報量が多い回路を実現できるからです。
プロセッサの回路図は、基本的にはトランジスタの配置情報であり、トランジスタが多いほどプロセッサの処理性能は向上します。配線が微細化すれば同じ面積の中により多くのトランジスタを配置できるので、それには4nmより3nm、3nmより2nmのほうが有利というわけです。
iPhone 17 Pro/Pro Maxに搭載されたプロセッサ「A19 Pro」のプロセスルールは3nmでしたが、A20 Prは2nmです。1メートルの10億分の1というわずかな差ですが、性能は格段に向上します。
実際の半導体設計は、配線が微細化されたぶんだけトランジスタ数が増えるという単純なものではありません。ゲートやコンタクトといったトランジスタ以外の要素も含み、それぞれの微細化の割合にも差があるからです。とはいえ、プロセスルールが微細化されるとき、消費電力など動作条件が同じであれば性能は向上(性能を据え置けば消費電力は低減)するものと考えていいでしょう。
