米Micron Technologyは8月20日(現地時間)、米アイダホ州ボイシを拠点とする新研究機関「Micron Research Labs」の設立を発表した。

今後10年間で100億ドルを投じる計画で、顧客企業や大学、政府機関、スタートアップ、半導体業界のパートナーなどと連携し、現在の技術ロードマップを超えたブレークスルーの創出を目指す。10年以上先を見据えた長期的な研究を担う拠点と位置付ける。2027年に施設の建設を開始し、数百人の研究者を受け入れる予定である。

Micron Research Labsの研究対象には、次世代メモリ技術のほか、メモリと演算を組み合わせたアーキテクチャ、先端パッケージング、将来の半導体製造技術などが含まれる。米国のほか、欧州、日本、インド、シンガポール、台湾にあるMicronの研究・技術拠点とも連携する。大学などの学術機関やスタートアップ、政府機関、業界パートナーを結び、基礎研究から実用化につなげる研究ネットワークを構築する考えだ。

Micron Research Labs設立の背景には、AIの普及によってメモリ技術の重要性が急速に高まっていることがある。

生成AIの学習や推論では、大量のデータをGPUなどの演算装置へ高速に供給する必要がある。そのため、AIアクセラレーターと連携する広帯域幅メモリ(HBM)の需要が急増している。Micronは2025年に約350億ドルだったHBM市場が、2028年には約1000億ドル規模に拡大すると予測している。

こうしたAI向け需要拡大を受け、MicronはHBMをはじめとする先端メモリの供給能力拡大を進めている。同社は米国内の半導体製造や研究開発に2035年までに2500億ドル超を投じる計画を示しており、アイダホ州やニューヨーク州で先端DRAM工場の建設などを進めている。

この2500億ドル超の大規模投資が製造能力の強化と中期的な需要への対応を主目的とするのに対し、Micron Research Labsへの100億ドルはさらに先を見据えた長期的な探索・基礎研究への投資となる。

AIデータセンターではHBMだけでなく、CPU向けDRAMや大容量ストレージも不可欠である。需要拡大は特定のメモリ製品にとどまらない。Micron自身も、AIが求める帯域や容量の増大によって、メモリのアーキテクチャや製品構成、製造技術の選択が根本から変化していると指摘する。

Micron Research Labsがメモリ単体の微細化や大容量化だけでなく、「advanced memory and compute architectures(先進的なメモリ・演算アーキテクチャ)」まで研究対象としているのは、こうした変化を反映したものといえる。AIシステムでは演算性能を高めても、メモリとの間でデータを十分な速度でやり取りできなければ、システム全体の性能向上につながらない。今後はGPUやCPU、メモリを個別に改良するだけでなく、配置や接続方式、パッケージングを含めてシステム全体を設計する重要性が一段と高まるとみられる。

Micronのサンジェイ・メロートラ会長兼社長兼CEOは「今日下す決断が、明日のAI経済を誰が主導するかを決定づける」と述べた。その上で、米国のAIの将来は米国製メモリの上に築かれるとの認識を示し、将来必要となるメモリとコンピュートシステムを見据えて研究を進める方針を強調した。