ソニーグループは、2026年度第1四半期(2026年4月~6月)連結業績を発表。その席上で、2026年7月1日に発表したPlayStationコンソール向け新作ゲームにおけるディスク生産の終了について言及した。

同社では、2028年1月以降に発売する新作ゲームでは、ダウンロード版のみの提供とすることを発表。プレイステーションユーザーから、大きな関心が集まっている。

プレステのディスク廃止、熊本地震、タムロン買収提案を説明

ソニーグループ 執行役 CFOの陶 琳(タオ・リン)氏は、終了まで1年半前というタイミングにアナウンスしたことで、市場の理解を得る期間を用意したことを示しながら、「最大の理由は、お客様の購買トレンドや、エンタテインメント業界全体が物理ディスクからデジタルへと移行しているという点である。これはプレイステーションだけの動きではない。様々なコンテンツのデジタル化が進んでいる。時間をかけ、慎重に検討を重ねた上で出した結論である」とコメント。「様々な声が寄せられていることは理解している。ゲームは多くの人に愛されるエンタテインメントであり、それぞれの人々の思い出にもつながる。そうした気持ちを受け止め、デジタルのエコシステムのなかで、ユーザーや関係者との関わりを模索していきたい」と述べた。

  • ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳氏

    ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳氏

米国では、パッケージのなかにコードを入れて、小売店で販売するという手法を採用しており、「それぞれの地域のパートナーと会話をし、Win-Winになる事業モデルを模索する」と語った。

また、「すでにコンテンツの大半がデジタルメディアとなっており、物理ディスクの終了によって、事業に対するネガティブな影響はないと見ている」とも述べた。

また、7月28日に発生した令和8年熊本地震の影響についても説明した。

陶CFOは、「熊本県および周辺の各県には、複数の半導体事業所があり、そのすべての事業所が地震の影響を受けた。だが、数人の軽傷者を除き、その他の人的被害は発生していない。震源に比較的近い熊本県菊陽町のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング 熊本テクノロジーセンターは、震度5強の揺れを受け、地震発生直後から生産活動を停止し、現在、生産再開に向けた復旧活動を継続している」とした。

同社では、建屋および設備の安全確認と復旧作業を進めた結果、8月4日か、ら段階的に操業を再開する見通しを発表。8月中旬には地震発生前の稼働水準にまで復旧する見込みだという。

2016年の「平成28年熊本地震」では、完全復旧までに3カ月を要したが、「被害の程度が異なることが大きいが、10年前の学びから、迅速な復旧につなげている」とした。耐震強化などの効果、パートナー企業との連携強化、関係者の努力による成果もあるという。

また、「長崎、大分、鹿児島の各生産拠点は、建屋やファシリティに大きな被害はなく、生産活動を再開している」とも報告した。

なお、「現時点で、熊本地震による業績への影響は、合理的に見積もることは困難なため、通期業績見通しのなかには織り込んでいない」としたが、「早期に復旧していることもあり、年間業績を大きく変動させるようなことはない」とも語った。

なお、タムロンに対する買収提案については、「現時点では、詳細を語るステージではないが、ソニーグループは、タムロンを完全子会社化するための提案をしている。タムロンの株主にとって、またソニーのイメージング事業にとっての最適な価値創造に関する提案と位置づけている。クリエイターの創造力を支えるテクノロジーへの投資は、ソニーの戦略投資の柱である。今回の提案は、ソニーの重点領域への投資のひとつとなる。タムロンの企業価値の向上とともに、両社の強みを生かして、イメージング事業の発展につながることを目指したい」とした。

2026年度第1四半期の業績、過去最高の数字が並ぶ

一方、ソニーグループの2026年度第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比8.2%増の2兆8377億円、営業利益は同40.2%増の4764億円、税引前利益が同33.9%増の4774億円、当期純利益が同32.1%増の3421億円となった。売上高と営業利益は、第1四半期として過去最高を更新した。

陶CFOは、「G&NS、音楽、I&SS分野が、第1四半期として過去最高益を更新し、グループ全体で力強い成長を継続できた。不確実な事業環境のなかでも、各事業の利益創出力は、確実に向上している。2026年度は、第5次中期経営計画の最終年度である。しっかりと実績を出せるように取り組んでいく」と、成長戦略に意欲をみせた。

  • 2026年度 第1四半期の実績

    2026年度 第1四半期の実績

  • 2026年度 第1四半期の主な変動要因

    2026年度 第1四半期の主な変動要因

  • 2026年度 第1四半期のセグメント別実績

    2026年度 第1四半期のセグメント別実績

第1四半期の業績を受けて、2026年度(2026年4月~2027年3月)の通期業績見通しを上方修正している。売上高は2000億円増額し、前年比0.2%増の12兆5000億円、営業利益は1200億円増額し、同18.8%増の1兆7200億円、税引前利益は950億円増額し、同20.2%増の1兆7100億円、当期純利益は500億円増額し、同17.4%増の1兆2100億円とした。

「米国の関税還付として、グループ全体で約800億円を見込んでおり、その大半を営業利益の上方修正に充てている」とした。

  • 2026年度 通期の見通し

    2026年度 通期の見通し

  • 2026年度 通期の主な変動要因見通し

    2026年度 通期の主な変動要因見通し

  • 2026年度 通期のセグメント別見通し

    2026年度 通期のセグメント別見通し

2026年度第1四半期のセグメント別業績と、2026年度のセグメント別通期業績見通しは、次の通りとなった。

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の業績

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は前年並みの9371億円、営業利益は同37%増の2020億円、調整後OIBDAは同28%増の2281億円となった。

「次世代プラットフォームに向けた投資や、構造改革費用を含むコスト増があったが、米国関税還付の影響などもあり、大幅な増益になった」という。

  • ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野 2026年度 第1四半期の実績

    ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野 2026年度 第1四半期の実績

  • ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野 2026年度 通期の見通し

    ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野 2026年度 通期の見通し

2026年6月におけるプレイステーション全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は、前年同月比2%増となり、6月としては過去最高となる1億2500万アカウントに到達した。第1四半期の総プレイ時間は前年同期比4%減となったが、「前年同期には主要タイトルのシーズンアップデートや、新作のヒットがあったことを勘案すると、ユーザーエンゲージメントは堅調である」と自己評価した。また、「年末に向けて大型タイトルの発売が控えていることから、今後は、エンゲージメント指標のさらなる改善に期待ができる」とも述べた。

さらに、プレイステーション5ハードウェアに対するメモリの影響についても言及。「2026年度の販売予定台数に対して、必要なメモリの確保は完了している。ハードウェア損益が前年度並みになる計画に変更はない。PS5ハードウェアの需要動向と、メモリの追加確保の可能性を見極めながら、インストールベースのさらなる上積みを目指している」とした。

PS5の第2四半期の出荷台数は、前年同期の250万台から、大きく減少し、160万台となっている。

  • 「ユーザーエンゲージメントは堅調」と評価

    「ユーザーエンゲージメントは堅調」と評価

スタジオビジネスでは、「MLB The Show」シリーズの新作や、3年目となった「Helldivers 2」などのライブサービスタイトルが安定して収益に貢献。「Marathon」は、2026年7月のシーズン2のリリースにより、高いユーザーリテンション率を維持しつつ、新規ユーザーの獲得が進んでいるという。さらに、2026年4月に発売した「SAROS」が、Metacriticスコアで88点を獲得し、ユーザベースを拡大しているという。2026年8月には、「MARVEL Tokon:Fighting Souls」、9月には「Marvel's Wolverine」、2027年2月には「God of War Laufey」の発売を予定しており、「これらのタイトルが業績を牽引することを期待している」と述べた。

  • 新作タイトル「MARVEL Tokon:Fighting Souls」、「Marvel's Wolverine」、「God of War Laufey」の発売を予定

G&NS分野の2026年度通期見通しは、売上高は1200億円増額し、前年比3%減の4兆5400億円、営業利益は600億円増額し、同43%増の6600億円、調整後OIBDAは650億円増額し、同7%増の7700億円とした。「売上高の上方修正は、主に為替の影響によるものである」としている。

音楽分野の業績

音楽分野の売上高は前年同期比21%増の5620億円、営業利益は同14%増の1059億円、調整後OIBDAは15%増の1344億円となった。

「為替の影響に加えて、音楽制作におけるライブ興業収入の増加、ストリーミングの売上増によって、高い成長を遂げている。営業利益は第1四半期として過去最高益になった」と総括した。

  • 音楽分野 2026年度 第1四半期の実績

    音楽分野 2026年度 第1四半期の実績

  • 音楽分野 2026年度 通期の見通し

    音楽分野 2026年度 通期の見通し

ストリーミング売上の成長率(ドルベース)では、音楽制作で前年同期比10%増、音楽出版では同8%増となった。

  • ストリーミングの好調も高い成長を支えている

    ストリーミングの好調も高い成長を支えている

映画「Michael」のグローバルでのヒットにより、マイケル・ジャクソンの楽曲のストリーミング再生回数が、映画公開前の4倍に増加したことに触れ、「Z世代によるストリーミング再生回数が大きく伸びている。新たな若い世代のファンを獲得しており、マイケル・ジャクソンの楽曲が、今後も末永く聞き継がれていくことを示している」と評価した。また、エラ・ラングレーの最新アルバムがアルバムチャートで1位、そのリードシングルが、女性アーティストとして歴代最長の首位記録を更新するなど、新たなヒットアーティストの創出も着実に進んでいるという。

  • 映画「Michael」のヒットで、マイケル・ジャクソン楽曲のストリーミング再生回数が4倍に増加したという

    映画「Michael」のヒットで、マイケル・ジャクソン楽曲のストリーミング再生回数が4倍に増加したという

音楽分野の2026年度通期見通しは、売上高は500億円増額し、同3%増の2兆1900億円、営業利益は200億円増額し、同6%減の4200億円、調整後OIBDAは300億円増額し、同6%増の5400億円とした。

「為替の影響に加えて、Recognition Music Groupの連結子会社化が上方修正に影響している」という。

映画分野の業績

映画分野の売上高は前年同期比4%減の3151億円、営業利益は同33%増の248億円、調整後OIBDAは同23%増の385億円となった。

Crunchyrollの増収があったものの、テレビ番組制作における納入作品数の減少により減収となった。だが、劇場公開にかかるマーケティング費用が減少したため、増益になった。

  • 映画分野 2026年度 第1四半期の実績

    映画分野 2026年度 第1四半期の実績

  • 映画分野 2026年度 通期の見通し

    映画分野 2026年度 通期の見通し

Crunchyrollの会員数は、2026年3月末に2100万人超となったが、これを引き続き伸ばしているという。

映画事業の2026年度通期見通しは、売上高は300億円増額し、同11%増の1兆6600億円、営業利益は50億円増額し、同42%増の1500億円、調整後OIBDAは50億円増額し、同8%増の2000億円とした。為替の影響が大きい。

「世界各地で劇場公開される『Spider-Man:Brand New Day』は、代表的なフランチャイズのひとつであり、ヒットに期待している」とした。

  • 7月31日に日米同時公開された期待の新作「Spider-Man:Brand New Day」

    7月31日に日米同時公開された期待の新作「Spider-Man:Brand New Day」

なお、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は、シェアードリアリティ技術を手がけるCosmへの戦略投資により、体験型エンタテインメントをさらに強化することを発表している。「没入感のある新たなコンテンツ体験を提供できるようになり、幅広いIPの価値拡大を図る」と述べた。

また、アニプレックスとKADOKAWAは共同で、2026年3月に、アニメ映画配給会社であるアニメックを通じて、2026年5月から、劇場版アニメの配給を開始。アニプレックスが手がける作品や、KADOKAWAの小説やゲームを原作とする作品などの配給を進めるという。

エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の業績

エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の売上高は前年同期比2%増の5439億円、営業利益は同1%減の426億円、調整後OIBDAは同4%増の698億円となった。

  • エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野 2026年度 第1四半期の実績

    エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野 2026年度 第1四半期の実績

  • エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野 2026年度 通期の見通し

    エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野 2026年度 通期の見通し

「イメージング市場は、中国においては、政府の補助金効果の反動で、マイナス成長が継続したが、それ以外の地域では安定的に推移した」と総括。「α7 Ⅴやα7R Ⅵの販売が好調で、平均販売価格の底上げと、フルフレームカメラ市場シェアの拡大に貢献し、イメージング事業全体で前年同期並の売上げを確保した」という。

また、ディスプレイ事業では、True RGBブラビアが好評だという。

  • 販売好調な「α7 Ⅴ」と「α7R Ⅵ」。True RGBブラビアの「BRAVIA 9 II」も好評を得ているという

ET&Sの2026年度通期見通しは期初計画を据え置き、売上高は前年並の2兆2500億円、営業利益も据え置き、同5%減の1500億円。調整後OIBDAは同1%減の2600億円としている。

「メモリ価格高騰の継続は、2026年度における重要な事業課題ではあるが、調達および設計によるコスト削減施策や、為替対応を含む価格戦略に、ET&S事業の総力を挙げて取り組んでいる。その結果、5月見通しの利益水準を維持できる見込みである」とし、「メモリは年間需要見込みに対して、大半を確保できているが、すべてが確保済みになるのは第2四半期だと見ている。ほぼ目処はついている」とした。

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の業績

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の売上高は前年同期比26%増の5127億円、営業利益は125%増の1222億円。調整後OIBDAは57%増の1887億円となった。「営業利益は第1四半期として過去最高を更新した。モバイルセンサーの単価上昇や為替が影響した」という。

また、「スマホ製品市場は、2四半期連続でマイナス成長となった一方で、主要顧客をはじめとするハイエンドメーカーは、出荷台数と市場シェアを拡大している。第1四半期のモバイル機器向けイメージセンサーの出荷は、台数ベースでは前年同期比で微増に留まったものの、顧客ミックスおよび商品ミックスの改善と、為替の影響により、金額ベースでは前年同期から大幅に伸長している」と述べた。

  • イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野 2026年度 第1四半期の実績

    イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野 2026年度 第1四半期の実績

  • イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野 2026年度 通期の見通し

    イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野 2026年度 通期の見通し

2026年度通期見通しは、売上高が400億円増額し、前年比2%減の2兆1100億円、営業利益は200億円増額し、同18%増の4200億円、調整後OIBDAは250億円増額し、同3%増の6800億円を計画している。

「下期に向けてメモリ市況の影響が、ハイエンド端末の出荷数量にも及ぶことが想定されるため、通期の見通しについては引き続き慎重に見ている。モバイル機器向けイメージセンサー全体として前年度から若干の減収を見込む」とした。

なお、2026年5月に発表したTSMCとの次世代イメージセンサーの開発、製造に関する戦略的提携については、「確定契約の締結に向けて、より詳細な協議を進めており、順調である。この準備費用として約100億円を通期見通しに追加で織り込んだ。世界最高水準の半導体プロセス技術を持つTSMCとの提携を通じて、高密度化などによる将来のイメージセンサーの技術競争力を高め、モバイルセンサーに加えて、フィジカルAI領域などでの需要増を確実に取り込み、イメージセンサー市場におけるナンバーワンポジションをより強固なものにしていく」と意欲をみせた。