ソニーグループは、2025年度(2025年4月~2026年3月)連結業績を発表。売上高は前年比3.7%増の12兆4796億円、営業利益は同13.4%増の1兆4475億円、税引前利益が同5.9%増の1兆4223億円、当期純利益が同3.4%減の1兆308億円となった。

  • ソニーグループ 2025年度(2025年4月~2026年3月)連結業績

    ソニーグループ 2025年度(2025年4月~2026年3月)連結業績

  • 営業利益の変動要因。EV発売中止による損失が大きい

    営業利益の変動要因。EV発売中止による損失が大きい

  • 2025年度4Q業績

    2025年度4Q業績

ソニーグループ 執行役 CFOの陶 琳(タオ・リン)氏は、「売上高、営業利益ともに過去最高を更新したが、営業利益では、2026年2月の見通しには織り込んでいなかったBungieやPixomondoの減損、ソニー・ホンダモビリティの事業縮小に伴う損失などで約1900億円を計上している。これを除くと、当初見通しを大きく上回る実績となっている。また、当期純利益は、前年度に子会社解散に伴う税金費用の現象があった反動などにより減益となった。また、G&NS、音楽、I&SSの3分野が過去最高益を更新し、事業のモメンタムは良好である」とし、2025年度業績を総括した。

  • ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳氏

    ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳氏

また、2026年度(2026年4月~2027年3月)の通期業績見通しは、売上高は前年比1.4%減の12兆3000億円、営業利益は同10.5%増の1兆6000億円、税引前利益が同13.5%増の1兆6150億円、当期純利益は同12.5%増の1兆1600億円とした。

「2026年度における各事業の利益創出力は、さらに改善する。事業ポートフォリオのレジリエンスの高さを示すことができている」と自信をみせた。

  • 2026年度(2026年4月~2027年3月)の通期業績見通し

    2026年度(2026年4月~2027年3月)の通期業績見通し

EV中止は痛手だが、クリエイティブ事業が成長加速

ソニーグループでは、2024年度から2026年度までの3カ年の第五次中期経営計画を進めている。財務指標として、継続事業ベースで、営業利益年平均成長率が10%以上、3年間累計営業利益率が19%以上とする計画を打ち出している。

2026年度の通期見通しから逆算すると、営業利益年平均成長率見通しは16%、3年間累計営業利益率見通しは11.7%と、いずれも過達の見通しだ。また、今回の決算発表にあわせて、3年間累計営業キャッシュフローの見通しを、当初計画の4兆8000億円から、5兆7000億円に見直した。

こうした成果を受けて、ソニーグループの十時裕樹社長 CEOは、中期経営計画の最終年度に向けた進捗状況などについて説明した。

  • ソニーグループ 代表執行役社長 CEOの十時裕樹氏

    ソニーグループ 代表執行役社長 CEOの十時裕樹氏

  • 第五次中期経営計画の進捗見通し

    第五次中期経営計画の進捗見通し

十時社長 CEOは、「2025年度は、ソニーにとって重要な1年となった。長期ビジョンである『Creative Entertainment Vision』を軸にして、主要事業の多くが好調に推移し、過去最高水準の成果を達成した。市場環境の急速な変化のなかでも、新たな成長機会を捉え、事業ポートフォリオも変化させてきた。エンタテインメント、IP、コンテンツクリエイション、リアルタイムクリエイション技術を軸に方向性を明確にし、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、IPの価値を最大化する取り組みを行ってきた」と振り返った。

とくに、アニメについては、「複数の事業にまたがる重要な成長領域」と位置づけ、「制作からファンエンゲージメント、マーケティング、グローバル配信に至るまでをカバーし、グループ会社や戦略パートナーともシナジーを生み出し、世界中のオーディエンスにアニメを届けることができている」とした。ここでは、アニメ配信サービスのCrunchrollは全世界で2100万人の有料会員を誇り、日本で人気となっている5万話のアニメ作品を、13言語の字幕や吹替によって配信していることを紹介した。

  • アニメ配信サービスのCrunchrollが引き続き成長中

    アニメ配信サービスのCrunchrollが引き続き成長中

また、事業ポートフォリオの最適化では、2025年秋に完了した金融事業のパーシャルスピンオフや、2026年3月にはTCLとの確定契約により、テレビや業務用フラットパネルディスプレイ、ホームシアター、ホームオーディオ機器の事業を合弁会社に移管いることを正式に決定。一方で、成長が期待できる領域への投資を加速し、2025年夏にはバンダイナムコホールディングスとの業務提携により、アニメ事業を強化したほか、スヌーピーなどの版権を持つPeanuts Holdingsの株式を80%取得。音楽分野では、ピンクフロイドやクイーンのカタログを取得したことなどにも触れた。

十時社長 CEOは、「ソニークループの事業の軸足は、エンタテインメント、IP、クリエイションテクノロジーであり、現在、連結売上高の67%を占めている」と、ソニーの現在の姿を示し、これらの事業の力強い成長がソニーグループの好業績を支えていることを強調した。

  • エンタメ事業はいまや売上の67%を占める

    エンタメ事業はいまや売上の67%を占める

一方で、戦略施策を方向転換したケースについても触れ、Pixomondoのビジュアルエフェクト事業を段階的に収束することや、Bungieにおける固定資産の減損計上に加えて、ソニー・ホンダモビリティのEVモデルであるAFEELAの開発および生産の休止を発表したことに言及した。

次世代イメージセンサーで台湾TSMCと戦略的提携

  • イメージング&センシング・ソリューション分野における台湾TSMCとの戦略的提携を発表

    イメージング&センシング・ソリューション分野における台湾TSMCとの戦略的提携を発表

今回、新たな取り組みとして発表したのが、イメージング&センシング・ソリューション分野における台湾TSMCとの戦略的提携だ。

次世代イメージセンサーの開発および製造に関して基本合意を行い、ソニーが過半数の株式を保有する合弁会社を設立。熊本県合志市のソニーの半導体新工場において、生産ラインの構築に向けた検討を進める。

  • 熊本県合志市の半導体新工場

    熊本県合志市の半導体新工場

十時社長 CEOは、「ソニーのイメージセンサー事業は、スペック競争に留まらず、本質的な進化を追求してきた。顧客に最高の撮影体験を届けることを重視しており、画素構造から積層、貼り合わせ技術、回路、プロセス、実装に至るまでデバイス全体を最適化する力を持つのが強みである。これらは、簡単には模倣できないものであり、ソニーの強みになっている。現在、加工技術を一段引き上げる微細プロセス技術と積層技術による高密度化の開発を進めている」と前置きし、「TSMCとのパートナーシップでは、車載やロボティクスなどのフィジカルAI応用分野における新たな機会の探索および対応を進め、将来に向けた技術革新や技術発展、需要獲得に向けた基盤を確立することになる。センサーでは世界一であるというポジションを強固なものにするための取り組みになる」と語った。

また、陶CFOは、「イメージセンサーをリードするソニーの高い設計技術と、世界一の半導体生産規模を誇るTSMCの製造技術を組み合わせて、高密度化を進めるなど、将来のイメージセンサーの技術競争力を大きく高めることを狙っている。財務面では、生産設備投資負担の軽減や設備調達コストの軽減、収益性の改善が見込める」とした。

一方、メモリーの供給不足の課題についても言及。十時社長 CEOは、「ゲーム機やスマホ、PC、メモリーカードなど、幅広い分野に影響を及ぼしており、ソニーグループの各事業ではこの課題に慎重に対応している。PlayStation事業を行うソニー・インタラクティブエンタテインメントでは、今期におけるメモリーコスト上昇の影響はコントロール可能であり、今期以降の需要にも応えるべく、サプライヤーとの協議を継続しているところである」と説明。「PS5は、値上げをしたばかりであり、次の値上げの予定はない。当面はこの価格で事業を推進していく」と断言した。

AIは最重要テーマ、「クリエイターを力強く支えるものになる」

ソニーグループのAI戦略についても説明を行った。

十時社長 CEOは、「ソニーグループのさらなる成長を考える上で、AIは最重要テーマのひとつである。AIは新たな価値創出を促し、エンタテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性がある」と位置づけながら、「AIは、アーティストやクリエイターに、取って代わるものではない。人の創造力を広げ、可能性を引き出すカタリストである。AIは人間の創造力、創造性、感情を置き換えることはできないが、クリエイターを力強く支えるものになる」と述べた。

ソニー・ビクチャーズでは製作期間の短縮やアウトプットの拡大に向けて、ワークフロー全体にAIなどの先進技術を展開。5000万ドル以上を投資しているという。また、バンダイナムコホールディングスとは、映像制作におけるAI活用の際に、クリエイターの世界観を実現するための試験的な取り組みを実施。さらに、ソニーミュージックでは、AIで生成した楽曲のラベリングの業界標準規格の推進に取り組んでいることも示した。

「AIを活用することで、制作のスピードアップや、1人あたりの生産性向上を確認するとともに、得意領域や不得意領域の理解も進んでいる。AIの不得意な領域は、表現や演出の意図を忠実に反映するための一貫性や制御性の確保である。だが、複数の生成AIなどを使いわけることなどにより、現実的に解決できることにも目途がついている。ソニーが得意とする音響、映像処理、空間技術、CG技術と、生成AIを統合することで、作品制作の主体となるクリエイターの感性を最大限に拡張するととともに、安心して利用できるセキュアに制作基盤を確立していくことになる」と述べた。

さらに、「ゲームコンテンツには、エボリューションが必要だと考えている。これをAIが引き起こしてくれるのではないかと思っている」とも発言。「ゲーム業界は成熟し、大手パブリッシャーの大型フランチャイズゲームに頼っている現状がある。数年前に、Fortniteが登場したことで、それが業界全体にとっても追い風になったことがあったが、このように、エンタテメンイント市場には革新性が必要であると考えている。約500億円をかけて、5~6年かけて開発するゲームばかりでは、リスクを取った開発ができるところが限られる。AIによって開発のハードルが下がり、新たなものが登場すれば、業界全体の活性化につながる。ディスラプションにつながる懸念もあるが、新たな波が市場の拡大につながることを信じている」と語った。

PlayStation事業におけるAI活用については、ソニーグループ ビジネスCEO ソニーグループ ゲーム&ネットワークサービス事業担当 ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長 CEOの西野秀明氏が説明した。

  • ソニーグループ ビジネスCEO ソニーグループ ゲーム&ネットワークサービス事業担当 ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長 CEOの西野秀明氏

    ソニーグループ ビジネスCEO ソニーグループ ゲーム&ネットワークサービス事業担当 ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長 CEOの西野秀明氏

プレイヤーに対しては、これまでにないゲーム体験を提供できるほか、AIによって、コンテンツの量と多様性が拡大するため、最適なコンテンツに出会えるためにプラットフォームの役割が重要になることを指摘。また、パブリッシャーにとっては、反復作業の自動化や生産性向上、品質保証、3Dモデリングなどによる効率的な開発環境の実現とともに、作品に相応しいオーディエンスに作品を届けることができる可能性をあげた。

具体的な事例としてあげたのが、独自の開発ツール「Mockingbird」である。キャプチャーから高品質の3Dアニメーションを瞬時に生成できるのが特徴だ。

「これは、人の演技を置き換えるのではなく、キャプチャーデータの処理を最適化するという点が重要な要素である。数時間かかっていた作業が、わずかな時間で完了する。すでにNaughty Dogや、San Diego Studioなどで導入しており、Horizon Zero Dawn Remasteredでも活用している。さらに、髪の毛のアニメーションを生成するツールも開発しており、大幅な効率化を実現している。制作チームは、時間がかかる手作業から解放され、より豊かな世界観を作ったり、ゲーム体験の創出に取り組んだりすることができる」とした。

  • 髪の毛のアニメーションを生成するAIツール

    髪の毛のアニメーションを生成するAIツール

PS5に搭載したスペクトルスーパーレゾューションは、機械学習によって映像の解像度を高める技術であり、「Ghost of Yōtei」や「SAROS」は、これまでにない鮮明さで描かれているという。

さらに、グランツーリスモ2のAIレーシングエージェント「Sophy」による新たなゲーム体験の実現、NPC(ノンプレイアブルキャラクター)が自律的に振る舞う世界の探索体験の実現などが、AIによって可能になっていることを示した。

  • 機械学習によって映像の解像度を高めるスペクトルスーパーレゾューション技術

    機械学習によって映像の解像度を高めるスペクトルスーパーレゾューション技術

  • グランツーリスモ2のAIレーシングエージェント「Sophy」など、AIが新たなゲーム体験を実現

    グランツーリスモ2のAIレーシングエージェント「Sophy」など、AIが新たなゲーム体験を実現

だが、その一方で、「ゲームのビジョンやデザイン、ブレイヤーの心を動かす感動体験は、クリエイターの才能から生まれるものであり、AIが進化しても、クリエイターの役割は変わらない。AIは拡張する役割を担うものであり、置き換えるものではない」と語った。

また、プラットフォームにもAIを活用し、決裁処理の最適化を実現。3年間で7億ドル以上の増収を生み出したとし、「プラットフォームは、プレイヤーにとって最適な価値を提供できるように進化させることになる。次に遊ぶゲームを推奨するだけでなく、ゲーム内のイベントやグッズの提案など、プレイヤー1人ひとりに最適化した提案が可能になる」と予測した。

「今後もAIへの投資を通じて、映像表現のさらなる進化を追求していく。世界中のプレイヤーコミュニティ、豊富なIP資産、統合したエコシステムにAIを掛け合わせることで、最先端のエンタテインメント体験を提供する」と語った。

各事業別の業績と展望、次世代PSはどうなる?

一方、2025年度のセグメント別通期業績と、2026年度のセグメント別通期業績見通しは、次の通りとなった。

  • 2025年度のセグメント別通期業績

    2025年度のセグメント別通期業績

  • 2026年度のセグメント別通期業績見通し

    2026年度のセグメント別通期業績見通し

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は前年比0.3%増の4兆6857億円、営業利益は同12%増の4633億円、調整後OIBDAは同34%増の7198億円となった。過去最高益を更新。Bungieの無形資産の減損などによる1384億円の一時要因を除くと、前年比45%の増益となる。

また、2026年3月におけるプレイステーション全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は、前年同月比1%増の1億2500万アカウントと、同期間としては過去最高を記録。総ゲームプレイ時間は同1%増となった。

十時社長 CEOは、「ユーザーはどこにいても好きなタイトルを楽しむことができ、ゲームプレイを通じて仲間とつながる体験を提供している」と述べた。

PS5の出荷台数は、前年比250万台減の1600万台。だが、年初計画の1500万台を上回った。PS5の発売以来の累計販売台数は9370万台に達している。

  • プレイステーション全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は1億2500万アカウント

    プレイステーション全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は1億2500万アカウント

  • 総ゲームプレイ時間も伸びている

    総ゲームプレイ時間も伸びている

  • PS5の発売以来の累計販売台数は9370万台に

    PS5の発売以来の累計販売台数は9370万台に

G&NS分野の2026年度通期見通しは、売上高は前年比6%減の4兆4200億円、営業利益は同30%増の6000億円、調整後OIBDAは同2%減の7050億円とした。

陶CFOは、「2026年度見通しには、次世代プラットフォームに向けた投資の増加を織り込んでおり、これらを除いた足元の事業から創出される利益では着実に2桁の成長を見込む。PS5の拡大したインストールベースは、ソフトウェアおよびネットワークサービスの安定した利益に貢献する」としたほか、「PS5ハードウェアについては合理的価格で調達可能なメモリー数量に基づいた販売計画としている。そのため、本体の損益は2025年度と同程度になる。状況の変化にあわせて、販売台数やプロモーションプランを柔軟に見直し、損益への影響をマネージする」と述べた。

今回の説明では、次世代プラットフォームへの投資について言及したものの、十時社長 CEOは、「どのタイミングで、どの価格で投入するのかといったことは決まっていない。今後の状況を見ながら考えていきたい」とし、「メモリーは、2027年度も調達価格が高く、需給がひっ迫した状況が続くとの見方が大勢を占めている。それを前提に、丁寧にプランを考えていきたい。ハードウェアコストを、メモリー以外の部分でどれだけ下げられるかといったことや、売り方の工夫も必要である。ビジネスモデルを含めて、最適解を考えたい」と語った。

  • ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の2025年度実績

    ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の2025年度実績

  • ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の2026年度見通し

    ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の2026年度見通し

音楽分野の売上高は前年比15%増の2兆1201億円、営業利益は同25%増の4470億円、調整後OIBDAは13%増の5078億円となった。営業利益は過去最高益を達成した。また、ストリーミングの売上高は音楽制作で9%増、音楽出版で14%増(いずれもドルベース)と高い成長を維持している。

音楽分野の2026年度通期見通しは、売上高は同1%増の2兆1400億円、営業利益は同11%減の4000億円、調整後OIBDAは同0.4%減の5100億円とした。

  • 2025年度のストリーミング売上は音楽制作で9%増、音楽出版で14%増

    2025年度のストリーミング売上は音楽制作で9%増、音楽出版で14%増

陶CFOは、「2025年度に『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』がヒットした反動などはあるものの、主にストリーミングの売上げ成長により、2025年度と同等水準の利益額を見込んでいる。今後は優良な音楽カタログへの投資を継続し、安定した収益の拡大を図る」とした。

マイケル・ジャクソンの伝記映画「Michael」の公開とともに、楽曲ストリーミングの再生回数が大きく伸長するといった成果が出ており、「今後は、日本をはじめとして、グローバルでの劇場公開が予定されており、各国のストリーミング再生の増加が期待できる」としている。

また、十時社長 CEOは、「才能あるアーティスト層が広がるなか、アーティストの育成と、強固な関係構築に取り組んでいる。音楽分野では、デジタル配信プラットフォームやグローバルのオーディエンスとつながりながら、大きな成功と成長を実現している」と自己評価した。

  • 音楽分野の2025年度実績

    音楽分野の2025年度実績

  • 音楽分野の2026年度見通し

    音楽分野の2026年度見通し

映画分野の売上高は前年並みの1兆4993億円、営業利益は同11%減の1049億円、調整後OIBDAは同6%増の1855億円となった。

陶CFOは、「劇場公開作品の収入減はあったものの、Crunchyrollでは有料会員数の増加や、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のグローバル配信による増収があった。営業利益は減益だが、Pixomondoの資産の減損および事業収束に関連する費用を除いた場合には13%の増益になる」と説明した。

映画事業の2026年度通期見通しは、売上高は同9%増の1兆6300億円、営業利益は同38%増の1450億円、調整後OIBDAは同5%増の1950億円とした。

「ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントでは、有力IPの映画化によって、フランチャイズの創出や強化に取り組んでいる。3月に公開したSpider-Manの予告動画は公開後4日間で10億回を突破する再生回数となり、映画史上最高となった。世界中のファンからの期待が寄せられている」とし、2026年度の劇場公開作品の成果につなげる考えだ。

また、十時社長 CEOは、「映画分野は、質の高い映画、テレビ作品の制作、配給を継続するとともに、ゲームIPの映像化など、グループ横断のハブとしての役割を担う事業になっている」と位置づけた。

  • 映画分野の2025年度実績

    映画分野の2025年度実績

  • 映画分野の2026年度見通し

    映画分野の2026年度見通し

エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の売上高は前年比6%減の2兆2605億円、営業利益は同17%減の1586億円、調整後OIBDAは同10%減の2617億円となった。

陶CFOは、「第4四半期は各地域において地政学リスクやマクロ経済の減速懸念があったものの、2月時点の見通し通りには進捗している。メモリー価格の高騰に対しては、調達、設計、販売の各領域での施策を通じて、2026年度見通しへの影響を300億円程度にまで抑制する。メモリー価格が変動した場合には柔軟に販売戦略戦略を見直し、収益の維持に努める」とした。

ET&Sの2026年度通期見通しは、売上高は前年並の2兆2500億円、営業利益は同5%減の1500億円。調整後OIBDAは同1%減の2600億円としている。

十時社長 CEOは、「スポーツ領域における判定支援技術や、ファンエンゲージメントの進化、パフォーマンス分析ソリューションへの投資により、スポーツビジネスを拡大するとともに、高品質なコンテンツ制作にも貢献している」とした。

なお、中国TCLとのホームエンタテイメント領域における戦略的提携については、2026年1月の基本合意に続き、3月には確定契約を締結。BRAVIA株式会社として、TCLが51%、ソニーが49%をそれぞれ出資することや、企業価値として約1028億円、譲渡対価として約754億円とすることなどが決められた。

「合弁会社は2027年4月にスタートするが、2026年度の営業利益見通しには、提携実行に向けたプロジェクト推進費用やシステム移行、人材関連費用など、約200億円を織り込んでいる」(陶CFO)という。

  • エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の2025年度実績

    エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の2025年度実績

  • エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の2026年度見通し

    エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の2026年度見通し

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の売上高は前年比20%増の2兆1515億円、営業利益は37%増の3573億円。調整後OIBDAは23%増の6588億円となった。モバイル機器向けイメージセンサーは、大手顧客向けの好調な出荷を背景に、単価上昇と販売数量が増加して、大幅な増収となったほか、営業利益では一時的な構造改革費用の計上があったものの、過去最高益を更新した。

2026年度通期見通しは、売上高が前年比4%減の2兆700億円、営業利益は同12%増の4000億円、調整後OIBDAは同1%減の6550億円を計画している。

陶CFOは、「2026年度は、スマートフォン向けセンサーの大判化の進展が一旦緩やかになる見通しであること、メモリー市況の影響に不透明さが残ることなどから、市場成長を慎重に見ている。第4四半期に実施した低収益事業の見直し施策は、当初計画よりも規模を拡大して実施しており、その成果によって、2025年度並みの営業利益を見込む。固定費コントロールや歩留まりの改善など、事業の効率性に注力する1年になる」と位置づけた。だが、「次期中期経営計画においては、センサーの大判化が再加速することになり、成長軌道に戻ることを予測している。2026年度はそれに向けた体制整備を進める」とした。

  • イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の2025年度実績

    イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の2025年度実績

  • イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の2026年度見通し

    イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の2026年度見通し

なお、ソニー・ホンダモビリティに関しては、2025年度第4四半期に、その他分野において、449億円の追加損失を計上したことも報告した。

陶CFOは、「EVモデルの発売中止により、資産の減損や取引先への補償金の支払いなどによる追加の損失を、2025年度から2026年度にかけて計上することになる。持分割合に従って計上しており、2026年度には追加損失として300億円を見込んでいるが、ソニー・ホンダモビリティの事業縮小に伴う費用の減少により、一部が相殺される見込みである」と述べた。

ソニー・ホンダモビリティのEVモデルの生産、販売中止の背景には、ホンダの事業戦略の見直しが大きく影響しているが、「損失額は決定したものであり、これ以上、ホンダに賠償請求するようなことはない」(十時社長 CEO)とした。

一方で、中期経営計画の最終年度に向けて、ソニーグループの十時社長 CEOは、「ソニーグループを取り巻く事業環境に対しては、前向きな見通しを持っている。多様で強みがある事業ポートフォリオと社員の力が、持続的な成長を支える。日常の世界では、地殻変動ともいえる大きな変化が進行している。中東情勢や関税を巡る圧力も予想が難しく、地政学的に複雑な局面にある。こうした環境下では、これまで以上の適応力が求められる。これが正しいということに捉われたり、過去の前提に頼ったりすることなく、将来のさらなる成長に向けて革新的な取り組みを追求していく。2026年度も過去最高益を更新したい」との考えを示した。

なお、2027年度以降の次期中期経営計画の方向性については、「整理している最中であるが、地政学リスクもあり、前提条件が速い周期で変わっていくため、確たることが言えない」しながらも、「これまでの投資や成果だけでなく、うまくいかなかったものからの学びを含めながら、適切な対象に対して、合理的と考える価格で投資を継続していきたい」と述べた。