相模原市立博物館にて開催中の特別企画展「ポケモン天文台」(会期:2026年1月12日まで)。この展覧会は、日本の天文学研究の拠点となる自然科学研究機構 国立天文台と、株式会社ポケモンが協力して企画された。

さまざまな特徴を持つポケモンの生態と宇宙の謎。双方を照らし合わせ、ポケモンの世界を冒険するように、未知なる宇宙を楽しく学べるのが魅力だ。会場内には、宇宙にまつわるポケモンが多数登場するだけではなく、天文学や宇宙科学における貴重な資料、模型、映像なども多く展示され、「ポケモン天文台」ならではの学びと体験が楽しめる。

  • 会場入口に設置された大きなパネルには、望遠鏡を覗いて宇宙を見つめる「ほしぞらピカチュウ」の姿が描かれていた

    会場入口に設置された大きなパネルには、望遠鏡を覗いて宇宙を見つめる「ほしぞらピカチュウ」の姿が描かれていた

展覧会の開幕に先駆け、メディア向け内覧会とオープニングセレモニーが実施された。大人気のピカチュウもお祝いに駆けつけ、展覧会のスタートを大いに盛り上げた。

ポケモンの特性から、宇宙を楽しく学ぼう!

「ポケモン天文台」は、大きく5つの章で構成されている。まずは地球の展望台から宇宙に飛び出し、月や太陽といった身近な宇宙、さらには太陽系外の未知なる世界に迫り、最後には隕石となって地球へと戻ってくるストーリーだ。

  • 会場の入口で来場者を出迎えてくれるのは、ねがいごとポケモンの「ジラーチ」。七夕をモチーフとした幻のポケモンだ

    会場の入口で来場者を出迎えてくれるのは、ねがいごとポケモンの「ジラーチ」。七夕をモチーフとした幻のポケモンだ

  • 入場してすぐの「プロローグ」のエリア。「ポケモン天文台」のキービジュアルを立体に起こした模型が登場する

    入場してすぐの「プロローグ」のエリア。「ポケモン天文台」のキービジュアルを立体に起こした模型が登場する

会場の入口では、来場者に「天体観測ノート」が配布される。ノートにはポケモンと宇宙をテーマにした全7問のクイズが掲載され、展示内容から答えを見つけ出し、自然と天文学を学べるつくりになっていた。そして、全問正解者には「ポケモン天文台」の特任研究員となった「認定証」が贈呈される。

展覧会にありがちな長く難しい説明文も、クイズを解くためとなれば楽しく読み進めることができるだろう。ひとつひとつの展示物をじっくりと見てまわりながら、筆者も本気で取り組んでみた。

  • 来場者に配布される「天体観測ノート」。ポケモンと宇宙にまつわるクイズが出題され、ゲーム感覚で学びを深めることができる

    来場者に配布される「天体観測ノート」。ポケモンと宇宙にまつわるクイズが出題され、ゲーム感覚で学びを深めることができる

第一章の「天文台から宇宙へ」のエリアでは、ポケモンたちが地球から宇宙へ飛び出してゆくオープニングムービーが流れる。ポケモンと一緒に宇宙を巡る大冒険のはじまりだ!

地球を旅立ち、第二章の「身近な宇宙にせまる」のエリアでは、太陽や月をはじめ、太陽系の星々を巡る。それぞれの星は似た特徴を持つポケモンと共に紹介されていた。例えば、ガスでできた縞模様の「木星」は、高気圧性の巨大な渦「大赤斑」を大きな目玉に見立て、同じく縞模様に巨大なひとつ目を持つポケモン「サマヨール」とあわせて展示される。

また、「つきのいし」で進化するポケモン「ピッピ」と「ピクシー」は、実際の月の隕石と並んで展示されていた。ポケモンのユニークな特性や実物の資料から、太陽系の星々をより身近に感じることができた。

  • 太陽系の星の並び順に、似たような特性を持つポケモンの紹介文とあわせて展示されていた

    太陽系の星の並び順に、似たような特性を持つポケモンの紹介文とあわせて展示されていた

  • てまねきポケモンの「サマヨール」と木星の紹介。確かに、サマヨールの真っ赤な目玉は木星の「大赤斑」とそっくりだ

    てまねきポケモンの「サマヨール」と木星の紹介。確かに、サマヨールの真っ赤な目玉は木星の「大赤斑」とそっくりだ

  • 写真左は北アフリカで採集された実際の月の隕石、写真右はポケモンの進化に使われる「つきのいし」を再現した模型

    写真左は北アフリカで採集された実際の月の隕石、写真右はポケモンの進化に使われる「つきのいし」を再現した模型

  • 会場内にはポケモンたちの等身大模型も多数展示されている。あやつりポケモンの「ゴチミル」はサイコパワーで小石を並べ、星座をつくる

    会場内にはポケモンたちの等身大模型も多数展示されている。あやつりポケモンの「ゴチミル」はサイコパワーで小石を並べ、星座をつくる

続く第三章「見えない宇宙を観る」のエリアでは、星の一生をせいうんポケモンの「コスモッグ」の進化になぞらえ、紹介されていた。このエリアの目玉は、大迫力の「ソルガレオ」と「ルナアーラ」の巨大模型だ。コスモッグの小さなガス状の体が大きく進化していく様子は、星の成長と似ている。どちらも凄まじいパワーを秘めていることが、展示から伝わってきた。

  • 星が誕生する材料の「星雲」と似た特徴を持ち、周りのチリを集めながら成長するコスモッグ

    星が誕生する材料の「星雲」と似た特徴を持ち、周りのチリを集めながら成長するコスモッグ

  • 第三章「見えない宇宙を観る」のエリア。ソルガレオとルナアーラの巨大な模型は迫力満点!

    第三章「見えない宇宙を観る」のエリア。ソルガレオとルナアーラの巨大な模型は迫力満点!

太陽系外の惑星について学んだあとは、ながれぼしポケモンの「メテノ」と隕石と一緒に「メテノトンネル」をくぐり抜け、地球へと戻る。トンネルの先には、オゾン層に生息する伝説のポケモン「レックウザ」が出現! 今にも動き出しそうな巨大模型はインパクト抜群で、実際に対峙したかのような驚きと感動があった。

  • 「メテオトンネル」の内部には、さまざまな種類の隕石と、ながれぼしポケモンの「メテノ」が並んで展示されていた

    「メテオトンネル」の内部には、さまざまな種類の隕石と、ながれぼしポケモンの「メテノ」が並んで展示されていた

  • トンネルを抜けた先に現れた、てんくうポケモンの「レックウザ」。オゾン層で何億年も生き続けていると言われている

    トンネルを抜けた先に現れた、てんくうポケモンの「レックウザ」。オゾン層で何億年も生き続けていると言われている

展覧会の最後を飾るのは、第四章「生命の星 地球」と第五章「未知なる謎に挑む」のエリアだ。

私たちが暮らす地球は、広い宇宙のなかで唯一生命のいる星。ポケモンとの大冒険を経て、改めて地球の自然の豊かさを知ると同時に、未だ解明されない多くの宇宙の謎にも夢がふくらむ。そして、ポケモンの生態もまた謎に満ち、どちらもさらなる研究が期待されるのだ。

  • 宇宙ウィルスのDNAが突然変異して生まれたポケモン「デオキシス」。果たして、地球外生命体は存在するのだろうか?

    宇宙ウィルスのDNAが突然変異して生まれたポケモン「デオキシス」。果たして、地球外生命体は存在するのだろうか?

  • 私たちの生命の起源とポケモンの起源は、どちらも未だ謎に満ちている。未知への探究は、まだまだ続く

    私たちの生命の起源とポケモンの起源は、どちらも未だ謎に満ちている。未知への探究は、まだまだ続く

冒頭に紹介した「天体観測ノート」や、ポケモンと宇宙の知識を巧みに組み合わせた展示内容のおかげで、終始楽しく観覧することができた。「ポケモン天文台」は、知的好奇心がお腹いっぱいに満たされる、大充実な展覧会だ。

  • 「天体観測ノート」のクイズも無事に全問正解し、認定証をゲット! 晴れて「ポケモン天文台」の特任研究員となった

    「天体観測ノート」のクイズも無事に全問正解し、認定証をゲット! 晴れて「ポケモン天文台」の特任研究員となった

「ほしぞらピカチュウ」がキュートにお祝い!オープニングセレモニー

展覧会の観覧後には、オープニングセレモニーが開催された。相模原市長の本村賢太郎さんのご挨拶からはじまり、「展覧会のスタートの場所として相模原市を選んでいただいたこと、大変誇りに思います。相模原市に来訪いただく多くのポケモンファンの皆様を、最大のおもてなしでお迎えしたいと思います」と喜びを語った。

  • 自然科学研究機構 国立天文台長の土居守さん(写真左)と、株式会社ポケモン 代表取締役社長の石原恒和さん(写真右)と一緒に展覧会のスタートを祝う「ほしぞらピカチュウ」

    自然科学研究機構 国立天文台長の土居守さん(写真左)と、株式会社ポケモン 代表取締役社長の石原恒和さん(写真右)と一緒に展覧会のスタートを祝う「ほしぞらピカチュウ」

続いて、本展の主催者である自然科学研究機構 国立天文台長の土居守さんからは、実際に展覧会を見て回り、ポケモンの迫力に圧倒されたとのお話があった。「ポケモンの魅力を通し、展覧会に訪れた子どもたちのなかから将来の天文学者が育ってくれることを期待しています」と未来への希望を語った。

最後に、特別協力として参画した株式会社ポケモン 代表取締役社長の石原恒和さんからは、展示にも登場したレックウザやデオキシスなどのポケモンが紹介され、また、作中の冒険で出会うさまざまな組織も「ロケット団」や「ギンガ団」といった宇宙との関わりの深いネーミングが多いことが説明された。

「未知なるポケモンの存在感は、宇宙に広がる星々とどこか似ています。我々の想像を超えた存在を発見する“楽しさ”や“喜び”は、天体観測にも、ポケモンとの出会いにも共通するのではないでしょうか」と話し、「宇宙とポケモンとの共通点を活かし、子どもたちに未知なるものを探究する“ワクワク”を感じてほしい」と本展への想いを伝えた。

  • 望遠鏡を携え、天文学者の衣装に身を包んだ「ほしぞらピカチュウ」は、本展覧会のためにデザインされた特別仕様だ

    望遠鏡を携え、天文学者の衣装に身を包んだ「ほしぞらピカチュウ」は、本展覧会のためにデザインされた特別仕様だ

オープニングセレモニーの締めくくりには、天文学者の衣装を身にまとった「ほしぞらピカチュウ」が登場。登壇者によるテープカットにピカチュウも参加し、「ポケモン天文台」のスタートをお祝いした。

「りゅうせいぐん」がキャンディに?展覧会オリジナルグッズも充実

博物館の館内には、展覧会のオフィシャルグッズショップが併設される。「ほしぞらピカチュウ」のぬいぐるみや、「ポケモン天文台」の図録をはじめ、スペースフードや星座早見表など宇宙をテーマとしたさまざまなグッズが登場する。

  • 館内に設置されたオフィシャルグッズショップ。店内には全商品のサンプルがショーケースで展示されている

    館内に設置されたオフィシャルグッズショップ。店内には全商品のサンプルがショーケースで展示されている

  • 望遠鏡を覗く姿が愛らしい「ほしぞらピカチュウ」のぬいぐるみと、展示内容を網羅した「ポケモン天文台」の図録

    望遠鏡を覗く姿が愛らしい「ほしぞらピカチュウ」のぬいぐるみと、展示内容を網羅した「ポケモン天文台」の図録

オフィシャルグッズのなかでも特に印象的だったのは、隕石をイメージした「星座のかけらチョコレート」と、ドラゴンタイプのポケモンのわざ「りゅうせいぐん」をモチーフにしたキャンディだ。星型や望遠鏡のパッケージに包まれ、展覧会の記念品としてはもちろん、お土産にもぴったり!

展覧会を楽しんだ帰りには、ぜひオフィシャルグッズショップにも立ち寄ってみてほしい。

  • スペースフードは3種類のフレーバーをラインナップ。星や望遠鏡をかたどったパッケージは見た目から楽しめる

    スペースフードは3種類のフレーバーをラインナップ。星や望遠鏡をかたどったパッケージは見た目から楽しめる

相模原市立博物館での「ポケモン天文台」の会期は2026年1月12日(月祝)まで。その後は下記の順に日本各地での開催を予定している。

【開催予定スケジュール】

  • 2026年春 けんしん郡山文化センター(福島県)
  • 2026年夏 かくだ田園ホール(宮城県)
  • 2026年秋 豊橋市自然史博物館(愛知県)
  • 2026年冬 長崎歴史文化博物館(長崎県)

ポケモンと宇宙をかけあわせた魅力たっぷりの展覧会で、未知なる世界を探究する楽しさ、新たな発見と出会う喜びを満喫しよう!

  • 展覧会の会場となった、相模原市立博物館。2025年7月にリニューアルオープンした大迫力のプラネタリウムもおすすめ

    展覧会の会場となった、相模原市立博物館。2025年7月にリニューアルオープンした大迫力のプラネタリウムもおすすめ

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