東京ビッグサイトにて開催中の「Japan Mobility Show 2025」(11月9日まで)。2019年まで開催されていた「東京モーターショー」の後継イベントであり、展示会場では自動車関連のさまざまな最新情報が発表される。
メインプログラムのひとつである「Tokyo Future Tour 2035」では、ポケモンとトヨタ自動車、本田技研工業のコラボレーションにより誕生したモビリティ「トヨタミライドン」と「ホンダコライドン」が登場。これまで各々お披露目されてきた2体が初めて同時に展示された。
一般公開に先駆け、 メディア向けのプレスデーに2体を観覧し、それぞれの開発者からお話を伺った。実際にライド体験も楽しんできたので、その様子をお伝えしたい。
伝説のポケモンが現実に! 「Tokyo Future Tour 2035」が描く、新たな未来
「Tokyo Future Tour 2035」は、10年後の未来を体験できるツアープログラムだ。モビリティの進化と普及により実現するであろう“2035年の姿”を、実際に見て、触って、乗って、私たちのこれからの未来を考える。
ツアープログラムは5つのエリアで展開し、「FUTURE WORLD LAND/SKY/SEA」では<陸、海、空>それぞれの舞台で活躍の幅を広げる2035年のモビリティを紹介。「FUTURE CITY LIFE」では10年後の未来の道をシミュレーションしてモビリティと道の関係がどう変わるのかを再現するなど、さまざまな角度から未来の可能性を切り拓いていく。
実際にモビリティを見たり触ったりすると、遠いようで近い10年後の未来が私たちの現在の延長線上にあることを実感し、夢が広がった。
ツアープログラムを締めくくるのは、「FUTURE DESIGN FACTORY」のエリアだ。ものの作り方やデザイン、アイデアに焦点を当て、多種多様なモビリティを自由に思い描き、“2035年のものづくり”を体験する。「トヨタミライドン」と「ホンダコライドン」も、未来のものづくりを示すモビリティとして同エリア内に展示されていた。
「ミライドン」と「コライドン」は、2022年11月に発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に登場する伝説のポケモンだ。「伝説のポケモン」と銘打たれてはいるが、シリーズでは初めて物語の序盤から主人公と行動を共にし、旅の相棒として活躍する。
「トヨタミライドン」と「ホンダコライドン」は、そんな伝説のポケモンを現実世界に誕生させた夢あふれるプロジェクトの結晶だ。
大人の本気で子どもの夢を叶える「トヨタミライドンプロジェクト」
夢のプロジェクトのはじまりは、子どもが描いた1枚の絵だった。トヨタ自動車が豊田市と合同開催するイベント「わくわくワールド」にて、「夢のミライモビリティ」をテーマに愛知県の小学生にアンケートを実施。そのなかに、ミライドンが描かれた1枚の絵があったのだ。
ゲームの主人公のように、ミライドンにまたがって大地を駆け巡り、大冒険がしたい。そんな子どもたちの夢を大人が本気で叶えようと、技術者を中心に構成された社内の有志団体「トヨタ技術会」が「トヨタミライドンプロジェクト」をスタートした。
「トヨタミライドン」は2023年11月の「わくわくワールド」で初披露され、2024年3月には東京ミッドタウン日比谷で展示試乗会を開催。今回の「Japan Mobility Show 2025」での2体同時展示は、日本自動車工業会からの声がけで実現した。
トヨタ自動車の土屋慎治さんに「トヨタミライドン」の魅力をお伺いしたところ、3つのこだわりポイントがあると教えてくれた。
ひとつは、変形できること。作中ではミライドンは地形にあわせて形態が変化し、いくつかのモードに切り替わる。今回の展示では、四足歩行する「リミテッドモード」が披露されたが、バイクのような疾走感あふれる「ドライブモード」への変形も可能だ。
2つめは、モビリティとして機能すること。ドライブモードに変形できたとしても、モビリティとして稼働できなければ形だけのものになってしまう。きちんと人を乗せて動かせるように、タイヤの駆動や手足の関節に仕込まれたモーターなど、細部にまでこだわってミライドンの動きを追求した。
3つめは、ポケモンの相棒としての存在感を保つこと。特にこだわったのはカラーリングで、「トヨタミライドン」のために特別に調色されたオリジナルカラーなのだそう。作中と同じバイオレットカラーに赤いパールを足すことで、より立体的に、生き生きと見えるように工夫されている。
お話を伺った後、実際に「トヨタミライドン」に乗ってみた。想像していたよりも高さと迫力があり、一瞬ひるんでしまったが、ミライドンの頼もしい背中が安心感を与えてくれた。この目線の高さで大地を走り抜けることができたら、さぞ爽快だろうと胸が高なる。 ライド体験をする際には、ぜひ細部のこだわりポイントにも注目しながら楽しんでみてほしい。
技術の粋を尽くし、夢を現実に。「ホンダコライドンプロジェクト」
「トヨタミライドンプロジェクト」に続き、2024年夏には「ホンダコライドンプロジェクト」がキックオフした。“大人の本気が子どもの夢になる”という熱い想いに共感し、本田技研工業がコライドンをモビリティとして誕生させた。
こちらも、Hondaの二輪・パワープロダクツ事業と先進技術研究所から、社内公募で集まったメンバーがプロジェクトに参画。Hondaの二輪事業が培ってきた設計思想やシミュレーション技術、ヒューマノイドロボット「ASIMO」のバランス制御技術を応用した「Honda Riding Assist」の機能を取り入れ、開発が進められた。
「ホンダコライドン」は2025年3月にHondaウエルカムプラザ青山で初公開され、8月には鈴鹿サーキットで“走る姿”を初披露した。さらに9月にはモビリティリゾートもてぎの「ホンダコレクションホール」にて、“有人走行デモンストレーション”と“またがり体験”を実施。400人以上の観覧客が「ホンダコライドン」との触れ合いを楽しんだ。
今回の「Japan Mobility Show 2025」で2体が揃い、となり同士に並んだ姿を見た本田技研工業の遊座嘉秀さんは、「我々としても悲願が叶ってうれしい」と熱く語った。
コライドンというキャラクターに、いかにしてHondaの技術を詰め込み、子どもたちやポケモンファンが期待する姿を再現するのか。モビリティとしてはもちろん、ポケモンとしての表現をとことん追求し、細部にまでこだわり尽くしたのだそう。
例えば、コライドンの息づかいや表情だ。2025年3月に初披露された際は動きがなく、静止した状態で展示されていた。その姿に喜ぶお客さんもいれば、一部では怖がってしまうお子さんもいたらしい。そこで、「ホンダコライドン」に呼吸やまばたきといった動作を加え、より親しみやすく身近に感じてもらえるように工夫した。
また、コライドンは躍動感たっぷりの“走る姿”も魅力のひとつ。転倒の不安なく安定した走行を実現する「Honda Riding Assist」の技術を搭載し、モビリティとしてのなめらかな動きを叶えるだけでなく、「ASIMO」のロボット技術も駆使しながらコライドンの活発で伸びやかな手足の動きを表現した。「ホンダコライドン」には、まさにHondaの技術の粋が詰め込まれているのだ。
「トヨタミライドン」に続き、「ホンダコライドン」にも実際に乗ってみた。背中にまたがった瞬間に運よくコライドンが動き出し、その息づかいがとてもリアルで鼓動すら感じられるようだった。きっとゲームの主人公も、こうしたコライドンとの触れ合いから絆を育んでいったのだろう。
ポケモンが大好きなお子さんはもちろん、普段なら写真撮影役に徹するであろう親御さんにも実際にライド体験を楽しんでもらい、ポケモンの魅力を直に感じてほしい。
「Japan Mobility Show 2025」でライド体験を楽しもう!
「Japan Mobility Show 2025」は11月9日(日)まで開催。「トヨタミライドン」と「ホンダコライドン」のライド体験は、一般公開日の下記日時にて実施される。なお、ライド体験には「Japan Mobility Show 2025」の公式アプリからの先着予約が必要となるので、事前にチェックしておこう。
【ライド体験タイムスケジュール】
11月3日(月祝),8日(土) ・11:00~12:00 ・15:00~16:00 ・18:00~18:30
11月9日(日) ・11:00~12:00 ・15:00~16:00
11月4日(火)~7日(金) ・11:00~12:00 ・15:00~16:00 ・18:00~18:30
2体が展示される「FUTURE DESIGN FACTORY」のエリアには、そのほかにも未来のものづくりの可能性を広げるさまざまなモビリティが登場する。新たな発見や学びが満載なので、ぜひあわせて楽しんでほしい。
©Pokémon. ©Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.






















