音楽鑑賞用ヘッドホンとして最重要ともいえるドライバーについても訊いてみました。WH-1000XM5は直径30mmと、先代のWH-1000XM4(直径40mm)と比べてひと回り小さくなりましたが、果たしてその理由は?

  • ドライバーユニットを並べたところ。左がWH-1000XM5、右がWH-1000XM4のもの

「小さいことが音質にマイナスということはありませんし、イヤーカップのサイズありきで小さくしたわけでもありません。ノイズキャンセリング性能や複合材を組み合わせた振動板の特性を考えたときに、直径30mmがベストだったのです」(ソニー)。柔らかいエッジの採用によって大きな振幅を確保できたこともあり、低音域の再現性や大入力に対する追従性はむしろ向上しているのだそう。

  • WH-1000XM5の内部構造

基板やプロセッサ部の見直しも音質向上に貢献しているそうで、「QN1に関していえば、DAC部の電源強化やパターンニングの一新によりノイズ対策強化を図っています」(同)とのこと。なるほど、そのレベルまで“追い込んで”いるわけですね。

  • WH-1000XM5の機構を解説する中島氏

実際に試聴してわかるのが、SN(音楽信号とノイズの比)のよさ。ワイヤレスイヤホンでありがちな、無音時の「サー」というノイズは皆無に近く、NCの効果が引き立ちます。ドライバー径は小さくなったものの、低域の量感はしっかり、ベースやドラムといったリズム隊の存在感もありありと伝わります。LDACコーデックで接続すれば、ロスレス/ハイレゾ音源の空気感やきめ細やかさも実感できます。

  • WH-1000XM5とウォークマン「NW-WM1ZM2」をワイヤレス接続して試聴する海上氏

ノイズキャンセリングの効きと音質、コンパクトなデザイン、そして通話品質と装着快適性と、どの部分からも前モデルからの改善/進化を感じ取れる「WH-1000XM5」。これまでの1000Xシリーズ同様、NCヘッドホンの金字塔として君臨するのは間違いなさそうです。

  • WH-1000XM5のカラーはプラチナシルバー(左)と、ブラック(右)の2色