- 1:カシオと英国ROLIが戦略的パートナーシップを開始し、その第一弾として「ROLI Learn for CASIO」を6月中に公開する
- 2:「ROLI Learn for CASIO」は、電子ピアノと連携してヒット曲やクラシックをゲーム感覚で学べる音楽アプリ
- 3:カシオはROLIとの協業を通じ、楽器販売にとどまらない“新しい音楽体験”の提供を目指している
カシオ計算機は、イギリスの音楽テクノロジー企業Luminary ROLI Ltd.(以下、ROLI)と協業を開始しました。協業の第一弾として音楽アプリ「ROLI Learn for CASIO(ロリ ラーン フォー カシオ)」を2026年6月にリリース予定です。
ROLI Learn for CASIOは、米国で毎年開催されているビジネスカンファレンス&フェスティバル「SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)」のヨーロッパ版「SXSW London」にて、同日お披露目されました。
ヒット曲もクラシックも楽しめる新感覚ピアノアプリ
ROLI Learn for CASIOとは、カシオの電子ピアノ「Privia(プリヴィア)」「CELVIANO(セルヴィアーノ)」「Casiotone(カシオトーン)」などと連携し、ゲーム感覚で演奏を楽しめる音楽アプリです。
最新ヒット曲から定番クラシックまで、1,200曲以上の豊富な楽曲を収録しており、アプリ画面のガイドに合わせて鍵盤を弾くことで、ゲーム感覚で演奏を体験できます。アプリ画面はレベルや好みに応じて選べる表示モードと、2つのゲームモードが用意されています。
ROLI Learn for CASIOは、iOSとAndroidに対応しています。対応エリアは日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ。対応言語は英語、日本語で、エリアと言語は今後拡張予定です。
利用にはサブスクリプション登録が必要で、料金は月額2,390円/年額18,990円。なお、アプリリリース時には、日本では期間限定で特別価格を設定する予定です。
登録後30日間は無料トライアルで利用できます。対応楽器は、WU-BT10 Bluetooth アダプターが接続できる電子ピアノですが、現行販売している機種はほぼ対応しているとのことです。
なぜROLIと組んだのか? カシオが描く音楽体験の未来
ROLIとの協業、そして「ROLI Learn for CASIO」について、カシオ計算機 営業本部 楽器部 マーケティング室 リーダー 山崎杏奈氏(編注:さきの字は、正しくは山へんに立と書く「たつさき」)、同 清水志庸氏にお話を聞きました。
――今回、カシオがROLIとパートナーシップを結んだことについてお聞かせください。
山崎氏:カシオの楽器事業は、1980年に「カシオトーン」が始まってから、今年で46年目を迎えました。創業家の「音楽を特別なスキルを持つ一部の人のものとしてではなく、誰もが楽しめるものにしたい」という強い思いから、カシオは電子ピアノや電子キーボードというものを通じて、多くの方に音楽に触れる機会を届けています。楽器そのものだけではなく、音楽との向き合い方や日常への音楽の取り入れ方を広げていく活動です。
今、「音楽の楽しみ方」がテクノロジーの進化とともに大きく変わり、多様化しています。楽器そのもののクオリティも大事なのですが、その先の「楽器を買った後の楽しみ方」として、オンラインサービスの提供をしたいとの思いがあり、セルフラーニングアプリへの取り組みを始めました。
そこで、イギリスに拠点を置いているミュージックテックカンパニー「ROLI(ロリ)」と戦略的パートナーシップを締結しました。ROLIはハードウェア、ソフトウェアの両方を手掛けている、革新性のある企業です。
ROLIは元々、「ROLI Learn」というROLI社のハードウェアでピアノが弾けるアプリがあるのですが、そのアプリをカシオの電子鍵盤楽器で楽しめる仕様にした「ROLI Learn for CASIO」をリリースしました。これは、今回の戦略的パートナーシップにおける第一弾のサービスです。
――ROLIとの連携を決めた理由は何でしょうか。
山崎氏:ROLIは2013年に設立された企業で、ライトアップ鍵盤のガイドで演奏を学べる「ROLI Piano」や、空中での手の動きだけでコントロールできるハンドトラッキングデバイス「Airwave」、アプリ「ROLI Learn」を提供しています。
カシオは電子ピアノをはじめとする楽器を46年間提供してきたハードウェア面の強みがあります。ROLIにはソフトウェアの革新性があるため、パートナーシップを結び、互いの強みを活かすことにしました。音楽学習をより身近で魅力的なものにしたいという共通の思想があります。パートナーシップのコアメッセージとして、「Feel the music. Shape your style.」を掲げています。
清水氏:ROLIにも「ROLI Piano」というハードウェアがありますが、ピアノのような鍵盤の感触はなく、どちらかといえばボタン式に近いもので、厳密には楽器とは異なります。そこで、カシオの楽器を組み合わせることで、本格的なピアノタッチで演奏できるという強みを発揮できます。さらに、ROLIがグローバルでの楽曲著作権管理に長けていることも、連携の理由のひとつです。
――ROLI Learn for CASIOの魅力を教えてください。
山崎氏:他のセルフラーニングアプリは、しっかりと基礎から体系立てて音楽を学んでピアノを弾けるようにすることを目的としているのですが、ROLI Learnは弾きたい気持ちを一番大事にしています。「弾きたい」という初期衝動をすぐに行動に移して、「一旦曲を弾いてみましょう」ということができるのです。その「弾いてみましょう」という気持ちを大切にするために、いきなり難しいものを弾かせるのではなく、その人のスキルに合わせて弾けるような形で段階的にサポートするようなUI/UXになっています。
清水氏:ROLI Learnはバックトラック(伴奏)も非常に充実しています。一般的なピアノの練習アプリはピアノ単体で練習するものが主流ですが、ROLI Learnでは気持ちよく弾けることを重要視しているので、バンド演奏やボーカルが入ります。カシオの電子ピアノの高音質なスピーカーからピアノの音と一体になって響くため、かなりの没入感を味わえます。これはROLI Learn for CASIOならではだと思います。
山崎氏:楽曲についても、通常ピアノを始めるとなるとクラシックの曲や基礎練習から始めていくものですが、それだとモチベーションが長く続かない場合もあります。そこで、私たちが日常的に馴染みのあるポップス系の音楽もたくさん用意し、段階的に勉強しながら自分の好きな曲を弾けるようになる仕組みにしています。楽曲は1,200曲以上用意していますが、毎月新曲を5曲から10曲くらい提供する予定です。
清水氏:ROLI Learn for CASIOだけの楽曲として、J-POP、アニソン、K-POPなどのアジアの楽曲も増やしていく予定です。
――ROLI Learn for CASIOはどういった方に向いていますか。
山崎氏:楽曲を幅広く用意しているため、幼い頃に短期間ピアノを習っていて、もう一度弾きたいという「カムバック層」の方々が楽しく体験できるコンテンツだと思います。
清水氏:我々のハードウェアもその方々に支持されています。ROLI Learn for CASIOはUI設計に優れ、ラインナップも充実しているため、お子さんの入門向けコンテンツから音楽に復帰される方向けの上級曲まで幅広く対応できます。そのため、どのユーザーにもご満足いただけると考えています。
――今回、「SXSW London」で発表した理由はなんでしょうか。
山崎氏:SXSW Londonはテック界隈や新しいものに敏感な方々が集まる場であるため、カシオが新しい音楽体験を提供していくという方針を掲げたことを広く伝えたいと考え、日本企業として初めて出展することを決めました。
清水氏:私どものピアノやキーボードは海外でのシェアも高いため、ソフトウェアという付加価値を加えたことも同時に伝えていきたいと考えています。
――今後ROLIとの協業はどのように展開していきますか。
山崎氏:今回は第一弾としてアプリを発表しましたが、今後も「新しい音楽体験」をキーワードに協業を進めてまいります。







