聖マリアンナ医科大学と3Hクリニカルトライアルは10月11日、ePRO(electronic Patient Reported Outcome:電子患者報告アウトカム)と電子カルテをシステム連携し、患者の日常の健康情報と治療の内容を合わせて確認できるダッシュボードを作成したと発表した。同システムは既に聖マリアンナ医科大学病院の腫瘍内科にて運用を開始しているとのことだ。

  • ePROと電子カルテを統合したダッシュボード画面のイメージ

ePROは患者から直接得られる状態情報を、スマートフォンなどを活用して電子的に収集する仕組みである。限られた問診時間の中で、患者が日常生活における自覚症状を伝えることは簡単ではなく、医師がその情報を正確に把握することも容易ではないが、ePROを活用することで患者が日常的に感じている症状を把握可能となる。

近年、海外ではePROなどを活用して取得したがん患者の健康情報を活用することで、QOL(生活の質)の向上や、生存期間の延長に寄与するといった研究結果も発表されており、ePROが注目を集めている。

  • ePROで取得した患者の自覚症状を表示した画面イメージ

その一方で、問診時にePROに入力された情報と電子カルテにある治療情報を閲覧する際には、それぞれを別のシステムから確認するといった非効率な運用となるなど、ePROと電子カルテシステムの連携が課題となっていたとのことだ。

こうした背景を受けて両者は、3Hクリニカルトライアルが提供するePROシステム「3H-P Guardian(スリーエイチ ピーガーディアン)」を聖マリアンナ医科大学の電子カルテシステムと連携して、一つの画面でePROデータと電子カルテデータを確認できる仕組みを開発したのだという。これによって、患者がePROに入力した日々の自覚症状や、服薬などの治療状況を的確に確認可能となり、医師の治療方針の検討をサポートできるようになったとのことだ。