総務省は2月26日、NHKの受信料引き下げや、受信料の未納者に割増金を課すといった条項を盛り込んだ「放送法の一部を改正する法律案」の国会提出を閣議決定。同日、武田総務大臣は閣議後の記者会見で「法案の早期成立に全力を尽くし、月額で1割を超える思い切った受信料の引下げにつなげる」と述べた。

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改正案では、「NHKの受信料の適正かつ公平な負担を図る」ために、還元目的積立金の制度を整備することを明文化。NHKは既報の通り、2023年度に受信料を値下げすることを発表しているが、今回、NHKの毎事業年度の損益計算において生じた収支差額が0を上回るときは、その上回った額の一定額を還元目的積立金として積み立て、受信料引下げの原資に充てなければならないと規定した。

また、NHKの受信契約に関して、受信契約の締結義務の履行を遅滞した人を対象に、割増金を徴収できるよう規定した。改正案によれば、「不正な手段により受信料の支払を免れた場合や、「正当な理由なく規定の期限までに受信契約の申し込みをしなかった場合」について、受信料に加えて割増金を徴収できるとする(第六十四条第四項)。なお、具体的な期限や割増金の額などは示されていない。

このほか、NHKとグループ会社の業務の効率化を図り、受信料に係る費用の支出を抑制するために関連事業持株会社(中間持株会社)に出資できる制度を整備することや、他の放送事業者等の責務遂行に対してNHKが協力する努力義務、テレビ局やラジオ局といった基幹放送事業者が放送業務を休止・廃止するときの公表制度も新たに設けている。