ルネサス エレクトロニクスは、英Dialog Semiconductorの発行済普通株式および発行予定普通株式のすべてを取得し、完全子会社化することでDialogと合意したことを発表した。

Dialogはミクスドシグナル製品を中心とするアナログ半導体企業。今回の買収についてルネサスでは、ソリューション提供力の強化に向けた取り組みの一環と説明しており、低電力やコネクティビティ関連に強みをもつDialogのアナログ半導体の技術資産を獲得することで、IoTや産業機器、自動車など成長が期待される分野に対し、従来以上に網羅的なソリューションの提供が可能になるとしている。

買収方法としては、ルネサスがDialogの発行済普通株式および発行予定普通株式を1株当たり67.50ユーロにてすべて取得する予定で、買収総額は約49億ユーロ(約6157億円)に相当するという。

今回の買収により、同社では「Industrial、Infrastructure&IoTビジネスユニット(IIBU)において、さまざまなアプリケーション向けによりソリューションを提供できるようになる。産業分野でもMPUやマイコンと組み合わせて提供することで、より強い価値を提供できるようになる」とするほか、自動車関連においても「ボディやインテリアにおいて、製品力の強化が期待でき、幅広いニーズに対応することができるようになる」としている。

また、買収に伴い、製品ポートフォリオも従来のマイコン/SoC中心から、アナログの比率が高まるとするほか、アプローチできる市場としても、自動車が最大であることには変わりはないが、IoTとしてアプローチできる分野の拡大が期待できるようになり、より同分野で存在感を出せるようになるとしている。

  • ルネサスのDialog買収による製品強化

    Dialog買収により強化される各産業分野のイメージ (出所:ルネサス発表資料)

さらに、研究開発部隊の配置も旧IDT、Intersilを含め、日米欧とバランスの良い構成になるとしているほか、シナジー効果として、コスト削減として間接部門の効率化や大量購買などによるコストメリットを発揮することで約1億2500万ドルのコスト削減効果と、これまで両者がアプローチできなかった顧客への販売機会の増加により約2億ドルの売り上げ増が期待できるとしている。

なお、同買収は、両社の取締役会にて全会一致で可決されており、2021年末までの買収完了を見込んでいるという。