デル・テクノロジーズは11月19日、世界中の企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の現状と、デジタルの時代におけるビジネスのパフォーマンスを示す調査「Digital Transformation Index」の結果を発表した。

すでにグローバルでは発表されているが、今回、日本に絞った結果や同社の考察も加え、日本法人として発表を行った。

「Digital Transformation Index」は、2016年から2年ごとに実施されており、今回が第3回目となる(7月~8月に実施)。世界18カ国4,300人(日本は200人)の12業種のビジネスリーダー(大規模・中規模企業の経営層およびマネージメント層)を対象に調査を実施し、DXに対する各社の取組みを分析した。

調査結果は、DXの進捗度合いによって「デジタル リーダー(Digital Leaders)」、「デジタル導入企業(Digital Adopters)」、「デジタル評価企業(Digital Evaluators)」、「デジタル フォロワー(Digital Followers)」、「デジタル後進企業(Digital Laggards)」の5つのカテゴリに分け評価している。

  • 「Digital Transformation Index」(左:グローバル、右:日本)

今回の調査結果では、「デジタル導入企業」および「デジタル評価企業」の数値が、前回調査の 26%(8%+18%)から 47.5%(15%+32.5%)へと大幅に増加。多くの企業がDXの加速を検討、実施していることが明らかになったという。

一方、「デジタル フォロワー」および「デジタル後進企業」の割合が、グローバルでは38.9%から16.2%(13.4%+2.8%)へと大幅に減っているのに対して、日本は2018年の72%(33%+39%)から減少はしているものの、いまだに 51%(28.5%+22.5%)と、DXへの取組みが世界に比べて遅れている現状が明らかになったという。

デル・テクノロジーズ 最高技術責任者 黒田晴彦氏は、「コロナ禍で、デジタル導入の加速が世界中で起こっている。日本ではデジタル評価が拡大しており、遅ればせながら、DXに点火した」と分析した。

  • 最高技術責任者 黒田晴彦氏

DXの阻害要因

ただ、現在、変革への困難な障壁に直面していると回答した企業はグローバルで94%、日本では98%に達しており、黒田氏は「DXが簡単ではないということが世界共通でいえる」と語った。

具体的なデジタル変革の阻害要因Top5には、「予算およびリソース不足」がグローバルでは31%、国内では33%と共通した大きな課題となっている。

また、「データプライバシーおよびサイバーセキュリティーに関する不安」はグローバルでは31%で1位、日本でも27%で3位と上位にランクされている。

日本独自の課題としては、「デジタル文化が未成熟」、「脆弱なデジタルガバナンス/構造」がランクイン。黒田氏は、「日本では人間の意識が課題になっている」と分析した。

  • デジタル変革の阻害要因のTop5

今後1-3年における投資対象

今後1-3年における投資対象エリアTop10は、グローバルでは、サイバー セキュリティー ソリューション、データ管理ツール、5GインフラがTop3で、日本では、AI、ロボット、5G対応ハードウェアがTop3となっている。

グローバルでは、AI/MLが進むとデータ管理が重要になってくると考えられているという。

黒田氏は「日本では、厳しい環境の中で状況に応じた優先順位付けがポイントになっている」と述べた。

  • 今後1-3年における投資対象エリア- Top10

Project APEXは来春から日本でも提供

同日には、米Dell Technologiesが10月21日に発表した「Project APEX」についても、改めて説明が行われた。

「Project APEX」は、同社の製品ポートフォリオをas-a-Serviceで提供するもの。

デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューション事業本部 システム本部 ディレクター 森山輝彦氏は「数年にわたって全社で取り組んでいく大きなプロジェクト。デル・テクノロジーズのすべての技術、ポートフォリオをサービスとして提供することを目指している」と語った。

  • ストレージプラットフォームソリューション事業本部 システム本部 ディレクター 森山輝彦氏

同サービスは、シンプル(数クリックの操作、スケールアップ/アケールアウト/スケールダウンができる)、さまざまな選択肢(支払い方法、製品)、一貫性のある操作性の3つを特徴にする。

  • 「Project APEX」の特徴

「Project APEXは、シンプルさを追求したas-a-Serviceによってもたらされるクラウドエクスペリエンスを提供するための戦略。われわれが提供するのはオンプレミスクラウド。オンプレミスの環境で、クラウドと同様のエクスペリエンスを提供するものだ」と、森山氏は、あくまでオンプレミス向けであることを強調した。

同サービスは、「Dell Technologies Cloud Console」を通して、注文、デプロイ、管理、最適化などを行っていく。現在、米国でプレビュー中で、来春、日本を含めて提供が開始される。

  • 「Dell Technologies Cloud Console」の機能

  • 「Dell Technologies Cloud Console」

「Project APEX」の第一弾サービスとして提供される「Dell Technologies Storage as-a-Service」はオンプレミス向けのストレージサービスで、料金は使った分だけで、セルフサービスによりオンプレミスに導入し、所有権と管理はデル・テクノロジーズ(あるいはパートナー)になるという。

  • 第一弾サービスとして提供される「Dell Technologies Storage as-a-Service」