国内外からヘッドホンやイヤホンをはじめとするさまざまなポータブルオーディオ機器が集結し、新製品発表や試聴体験会も行われる一大イベント「ヘッドフォン祭」(主催:フジヤエービック)。残念ながらコロナ禍のため、2020年のリアルイベント開催は春に引き続き秋も中止となりましたが、それに代わるYouTube生配信企画「秋のヘッドフォン祭 2020 ONLINE」が11月7日に実施されました。

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    オーディオマニアとしても知られる声優・小岩井ことりさん。今回のスペシャルMC&イベントMCとして登場

ヘッドフォン祭のオンライン配信は、春に続き今回で第2回目。リアル会場のように展示機を手に取って試聴したり、質感を確認することはできなくても、製品紹介の動画やスライド、配信映像を通じての実機出展、録音による音質比較(!)など、各社とも工夫を凝らした内容になっていました。さらに、スペシャルMC&イベントMCとして、オーディオ評論家の野村ケンジさんと、声優でオーディオマニアとしても知られる小岩井ことりさんが登場し、番組を盛り上げていました。

新製品や開発発表は筆者の予想よりも多く、コロナ禍で増えたリモートワークでの活用を意識した製品なども見受けられました。およそ9時間にわたって配信された中から、初披露された製品を中心にレポートします。前半では計18のメーカー・代理店の主な紹介内容を写真で振り返り、後半では注目の複数商品をピックアップして紹介していきます。

なお、配信の終盤では次回の「春のヘッドフォン祭 2021」について、2021年4月に展示会とオンライン両方の開催を目指していると案内。リアル会場はおなじみの中野サンプラザを離れ、「山手線のどこかの駅のすぐ近く、山手線がよく見えるビルでやる予定」(フジヤエービック 石曽根氏)とアナウンスされました。

■ オーディオテクニカ

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    トップバッターのオーディオテクニカは、完全ワイヤレスイヤホンの新製品から紹介。ノイズキャンセリング(NC)搭載で高音質を追求し、昨今のリモートワークやWeb会議などで活用できるマイクも内蔵した「ATH-CKR70TW」、防水・防浸・防塵対応でハードなスポーツでも使える「ATH-SPORT5TW」、6色カラバリのエントリー向け「ATH-SQ1TW」をラインナップ

オーテク、選べる3つの完全ワイヤレス。6色カラバリ、NC搭載、スポーツ向け

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    オーテクから久々に登場した、据え置き型のヘッドホンアンプ「AT-BHA100」と単体DAC「AT-DAC100」も紹介。AT-BHA100は真空管を搭載しており、バランス接続にも対応するなど見どころの多いヘッドホンアンプ。単体DACのAT-DAC100は。世代交代が早いDAC部をあえてヘッドホンアンプと分離しつつ、AT-BHA100との組み合わせを想定して真空管アンプにマッチしたチューニングを施している。ちなみにどちらも縦置き可能だ

オーテク、真空管搭載のバランス駆動ヘッドホンアンプ。据え置き型DACも

■ iFi-Audio(トップウイングサイバーサウンドグループ)

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    4.4mmバランスの入出力を備えた、英iFi-Audioのヘッドホンアンプ「ZEN CAN」。税別2.2万円と比較的手ごろな価格設定となっている

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    定評のあるポータブルUSB DAC兼ヘッドホンアンプ「micro iDSD」の最新モデル「micro iDSD Signature」。内部パーツをほぼすべてオーディオグレードにし、さらに回路にも手を加えた改良モデルだという

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    ミドルレンジラインの新ヘッドホンアンプ「NEO iDSD」を初公開。ハイレゾ対応で、MQAのフルデコードも可能だという

■ Cayin(コペックジャパン)

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    Cayinのポータブルプレーヤー「N6ii」で使うためのオーディオマザーボード「A02」(発売済み)。N6iiは用途に合わせて内部基板を交換できるプレーヤーで、A02はヘッドホン/イヤホン出力を持たず、あえてラインアウトとプリアウトに特化。N6ii+A02+ポータブルヘッドホンアンプ(別売)という組み合わせで使うことを想定している

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    ポータブルヘッドホンアンプ「C9」を国内初披露。真空管デバイス「Nutube」を4ch分備えており、ソリッドステート回路も搭載。3.5mmのシングルエンドと4.4mmバランスの入出力を各1系統装備する。2020年末発売を目指しており、価格は未定

■ KORG・VOX

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    大音量のクラブやライブハウスなどで働くDJの聴覚を保護するためのノイズキャンセリング対応ワイヤレスヘッドホンとして、KORGブランドの「NC-Q1」とVOXブランドの「VH-Q1」が登場。いずれも2019年の「秋のヘッドフォン祭」で出展されており、今秋からようやく販売開始された

コルグ、ノイキャン搭載のDJ向けモニタリングヘッドホン「NC-Q1」

■ ダルマオーディオ

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    小岩井ことりさんもファンだという「ダルマオーディオ」は、2019年4月に深センで設立された新興メーカー。自社ブランド「Vento Conductor」を展開しており、今回は青く透きとおった同ブランドの有線イヤホン「T-500Pro」を紹介した。自社開発ドライバーを搭載しており、ステム径も小型化して「多くの人に使いやすくした」とする。発売開始は12月中旬、価格は後日発表予定だが、“非常に手ごろな価格帯を目指す”とのこと。11月中旬から試聴機の無料貸出も行うそうだ

■ final

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    11月1日に社名をメインブランド名に統一したばかりのfinal。フラッグシップイヤホンの思想を引き継ぎ、「トランスペアレントな音」を追求した有線イヤホン「A3000」「A4000」と、ゲームやVRコンテンツ向けの「VR3000 for Gaming」3機種を“自信作”としてアピール

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    3機種とも新開発ドライバーユニット「f-Core DU」(エフコアDU)を搭載。同社で初めてイヤホンのドライバーに名前をつけたそうで、開発秘話なども語られた

final、“トランスペアレントな音”で1万円台のイヤホン2機種。ゲーム・VR向け新機種も

SNEXT、「株式会社final」へ社名変更。finalブランドの認知拡大目指す

春奈るなが音質調整したJust earイヤホン「XJE-MH/LUNA」
人気アニソンなどで知られる歌手の春奈るなさんと、ソニーのテイラーメイドイヤホン「Just ear」のコラボモデル「XJE-MH/LUNA」のCM動画がヘッドフォン祭ONLINEのために用意され、finalとGRADOの間の休憩時間に流された

■ GRADO(ナイコム)

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    ナイコムは、⿇(Hemp)をハウジングに使った米GRADOの開放型ヘッドホン「The Hemp Headphone」(右)と、同社初の完全ワイヤレスイヤホン「GT220」をアピール。どちらも発売中だ

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    GRADOはウッド素材にこだわったオーディオメーカーとして知られる。今回は麻とメイプル材の組み合わせにより、「表情豊かなローエンドから滑らかに伸びるトップエンドまで、それぞれの素材の持ち味を活かしたワイドレンジ再⽣を可能にした」とのこと

GRADO、麻+メイプルハウジングの開放型ヘッドホン - 数量限定で9月10日発売

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    GT220はGRADO初の完全ワイヤレス。60年の歴史あるシグネーチャーサウンドを追求したとしており、約2年の開発期間を要したそうだ

GRADO、同社初の完全ワイヤレスイヤホン「GT220」 - 27,800円

■ ミックスウェーブ

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    FAudio 5周年記念のフラッグシップイヤホン「ProjectY」が登場。試聴イベントなどで試作モデルは出ていたが、その製品版として11月下旬~12月に発売予定。価格は28万円台を想定。世界399台限定で、日本に入ってくるのは100台程度になるようだ

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    高級イヤホンで知られるCampfire Audioの「DORADO」や「VEGA」の2020年モデルもチラっと登場

■ 634ears

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    木材を使ったオーダーメイドイヤホンを手がける「634ears」(ロクサンヨンイヤーズ)から、新イヤホン「8iTE」(エイト)が登場。イヤホン本体に好きな刻印を入れられるそうだ。同社サイトからのオーダーが必要なメーカー(ビルダー)で、フジヤエービックでは取り扱っていないが、春のヘッドフォン祭ONLINEに引き続き今回も登場

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    イヤホン本体の一部にステンレスを採用したイヤホン「OBER-S」や、フルステンレスイヤホン「OBER-SS」も登場