■ iFi-Audioのヘッドホンアンプが続々登場
トップウイングサイバーサウンドグループが取り扱う英iFi-Audioのヘッドホンアンプ「ZEN CAN」が9月28日から発売中。スタンダードパッケージは税別22,000円ですが、電源アダプター「iPower5v」を同梱した初回1,000台限定のスペシャルパッケージ版も税別24,000円で発売されています。
「通常は価格が何倍もするハイエンド・プリアンプやヘッドホンアンプ用に使われる多くの機能」を盛り込みながら、価格を2万円台に抑えた製品。音声出力は6.3mm標準アンバランスと4.4mmバランスを搭載し、入力はアナログRCA、3.5mmステレオミニ、4.4mmバランスを装備。USBなどのデジタル入力は備えておらず、ポータブルプレーヤーやPCと接続するときは、別途「ZEN DAC」、「ZEN Blue」と組み合わせて使うことを推奨しています。
ZEN CANを他のZENシリーズ製品(ZEN DAC)と4.4mmバランスでつなぐための新たなショートケーブル(4.4mm-4.4mmプラグ)も、11月13日に税別9,800円で発売予定です。
続いてiFi-Audioの新製品として、「micro iDSD Signature」を紹介しました。実機の写真は黒っぽく見えましたが、濃いブルーのカラーリングを施しているそうです。税別79,000円で11月13日に発売予定です。
定評のあるポータブルUSB DAC兼ヘッドホンアンプ「micro iDSD」の最新機種で、内部パーツをほぼすべてオーディオグレードにし、さらに回路にも手を加えた後継機種とのこと。
USB-Cポートを新たに採用し、USBのバスパワー線とデータ線は分離して音質に配慮。4.4mmバランス出力には「S-Balanced」という仮想バランス技術を採用しており、クロストークを排除して左右チャンネルのセパレーション(分離感)を向上させることを狙っているそうです。また、従来機種では背面にあって使いづらいという指摘があった切り替えスイッチを、micro iDSD Signatureでは側面にもってくることで操作性も改善しました。
さらに、薄型デザインでフルバランス設計のDAC搭載ヘッドホンアンプ「NEO iDSD」を国内で初めて発表。2020年末に発売予定で、価格は税別95,000円。横置きだけでなく縦置きも可能です。
24.6MHzまでのDSDと、768kHz/32bitまでのPCMをサポート。MQAのフルデコーダーも搭載し、たとえばMQA CD対応のCDプレーヤーと光デジタル接続してMQA CDを再生することもできる、との説明に配信会場から驚きの声が上がっていました。
入力はUSBと同軸/光デジタルを備え、ヘッドフォン出力は4.4mmのバランスと、6.3mmのアンバランスを搭載しています。アナログRCAのアンバランス、XLRのバランス出力も装備。また、Bluetoothに対応しており、最新コーデックのaptX Adaptiveや低遅延なaptX LL、高音質なaptX HDとLDACなどをサポートします。
このほか、M2Techブランドの新製品として、フルアナログのヘッドホンアンプとクリーン電源、Lotooからポータブルプレーヤー「PAW GOLD TOUCH」のチタンモデルが紹介されていました。
■ Austrian Audioヘッドホンの魅力を野村ケンジさんが解説
DTM機器などを取り扱うエムアイセブンジャパンからは「Austrian Audio」のヘッドホンが登場。AKGのスタッフが2017年に立ち上げたというオーストリアのメーカーで、同社に詳しいオーディオ評論家の野村ケンジさんが、アラウンドイヤー型ヘッドホン「Hi-X 55」(税込39,600円)とオンイヤー型ヘッドホン「Hi-X 50」(税込33,000円)の特徴を紹介しました。
Austrian Audioはこれまでレコーディング用マイクなどプロ向けオーディオ製品を手がけており、Hi-Xシリーズは同社初のプロフェッショナル・モニターヘッドホンです。Hi-X 55とHi-X 50は、どちらも「極めてリニアで上質なモニタリングを提供する」という独自開発の「44mm Hi-Xドライバー」を搭載しており、斜めのハウジングデザインで遮音性を高めました。
ちなみに、Hi-X 55とHi-X 50は上位・下位モデルではなく、アラウンドイヤーとオンイヤーというタイプ違いの「バリエーションモデル」になるとのこと。小岩井ことりさんによれば、両機種は同じドライバーを搭載していながら、サウンドの印象は「だいぶ違う」そうです。
ヘッドバンドやハウジングには、スタジオ使用にも耐える堅牢なメタル素材を採用。折りたたみ機構や回転機構を備え、DJ/ライブPAでの片耳モニタリングもできます。また、ケーブルとイヤーパッドは交換可能と、プロユースならではのメンテナンス性も備えています。フジヤエービックではHi-X 55の人気が高く、現在入荷待ちステータスになっているとのこと。
■ ヘッドホンジャックを交換できる!? SHANLINGプレーヤーに注目
MUSINは、有志による無料試聴イベントで披露したSHANLINGのフラッグシップポータブルプレーヤー「M8」を含む、さまざまなポータブルオーディオ機器を紹介しました。
M8は、Android OSを搭載したポータブルプレーヤーで、11月末に発売予定。税込18万円を下回る価格設定になるそうです。
最大の特徴は本体上部に備えた「ヘッドホンソケットモジュール交換システム」。専用ツールでヘッドホンジャックそのものを交換でき、たとえば3.5mmステレオミニのジャックの代わりに、4.4mmバランスのジャックを装着するといった拡張性を備えています。実際に、M8の実機の電源をオンにしたまま、ジャックをスムーズに交換する様子が披露されました。
片側あたり7ドライバ(ダイナミック×1基、BA×6基)のiBasso Audioフラッグシップイヤホン「IT07」も登場。複数ドライバを搭載しながら、自然な帯域のつながりを実現し、スターリングシルバー導体のリッツケーブルも採用して左右チャンネルのセパレーションと解像度をより高めた、とアピールしています。
■ FitEar、リモートワークやゲーム用にも使えるマイク付きケーブル開発中
FitEarが紹介した、開発中のゲーミングカスタムイヤホンとヘッドセットマイク付きケーブル。歌手の倖田來未さんの依頼により、ライブ用に開発したカスタムイヤホンとヘッドセットの一体型モデルがベースになっているそうで、それまでフェイスプレートに固定していたヘッドセットマイクをケーブルコネクタ部に移動。カスタムイヤホン本体を改造せず、ケーブルを替えるだけでヘッドセットマイクも一緒に使えるようにしたのが特徴です。
小岩井ことりさんによると、ライブでは通常、カスタムイヤホンとは別にヘッドセットも頭に装着しており、頭にテープで固定しなければならなかったとのこと。顔を動かしたときにマイクが口元に追従せずに歌えなくなるといった問題もあり、そうした問題点を克服できそうなFitEarのヘッドセットマイク付きケーブルは画期的に映るそうです。
マイク集音時の音質も高評価なようで、実際に小岩井ことりさんが一般的なスマホやイヤホンマイクと、FitEarのヘッドセットマイク付きケーブルを使って録音した自身の声を比較再生するデモを実施。明らかにヘッドセットマイク付きケーブルを使って録音したサウンドのほうが高音質であることが分かりました。
なお、開発中のゲーミングカスタムイヤホンには「FitEarではこれまで扱ったことのない、専用の同軸2ウェイダイナミックユニット」を採用していることが明らかになりましたが、これはアユートS氏(後述)のTwitter投稿によれば、「AZLAの新型ドライバー」なのだそうです。
このほか、FitEarのユニバーサルイヤホン「TO GO!」シリーズの新製品として、12月1日発売予定の「TO GO! 223」(税込約75,000円)と、「TO GO! 333」(税込10万円以下)を発表。
FitEarが2010年から販売しているカスタムイヤホン「Private 223」、「Private 333」をベースに開発されたモデルで、ユニット構成はそのままに音質を再調整。現在発売中の「TO GO! 334」「TO GO! 335」などに続く、「カスタムイヤーモニターの音を手軽に持ち歩ける製品」と位置づけています。
■ アユートS氏、Acoustune最上位のプロトタイプを引っさげ乱入
事前のタイムテーブルにはアユートの枠はありませんでしたが、終盤になってアユートの斎藤氏(S氏)がサプライズで登場。Acoustune(アコースチューン)の新たなフラッグシップとなる、「HS2000MX」という仮称がつけられたプロトタイプ(開発中モデル)を披露しました。
まだ開発発表のような段階で、発売時期など詳細は決まっていないそうですが、目標価格は税別15〜18万円を想定。製品デザインやカラーは変更になる可能性があります。
開発責任者からのコメントによると、2年半の開発期間をかけて開発したという、新たな「ミリンクス・コンポジットドライバー」を搭載。今まで量産が困難だった素材とプロセスに積極的に取り組んだモデルになるようです。さらに、Acoustuneカプセルテクノロジー「ACT規格」を新たに採用しているのも特徴で、アユートの斎藤氏は「おそらくユーザーがチャンバー部分を交換できるようになるのではないか」と話していました。
配信会場に持ち込まれたプロトタイプのサウンドは、従来のAcoustuneイヤホンよりもさらに“生音の表現がより生々しくなっていた”とのこと。続報に期待です。