10月に先行して販売が始まった「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」に遅れること約1カ月、シリーズで一番小さいiPhone「iPhone 12 mini」とシリーズで一番大きいiPhone「iPhone 12 Pro Max」がいよいよ登場します。
機能を削ることなく大幅な小型化を図ったiPhone 12 miniは「持ちやすい」という以上の満足度をもたらし、シリーズ唯一の高性能カメラをおごるiPhone 12 Pro Maxはさらなる高画質や失敗の低減、さらには将来的な機能強化の予感をもたらしています。価格面の魅力も高く、iPhone 12/12 Proをポチらずに待った人も満足できる個性派iPhoneに仕上がったと感じました。
iPhone 12の機能や装備をそぎ落とすことなく小型化&低価格化したiPhone 12 mini
iPhone 12シリーズでもっとも小さなモデルとなるiPhone 12 mini、注目点は以下の通りで、「iPhone 12の機能や装備をそぎ落とすことなく小型軽量化を図ったこと」と「“小さい”という価値をもたらしながらiPhone 12よりも価格を安くしたこと」にあります。
▼ iPhone 12 miniのおもな特徴
- 現行iPhone SEよりも小さく仕上げたコンパクトなボディ
- 基本的な装備や性能はiPhone 12とまったく同じ(有機ELパネルを用いたSuper Retina XDRディスプレイ、A14 Bionic、5G通信、カメラ機能、MagSafe、Ceramic Shield、本体のデザイン&素材など)
- iPhone 12より11,000円も安価な価格設定(SIMフリー版、同容量モデルでの比較)
▼ iPhone 12 miniとiPhone 12の販売価格(SIMフリー版、税別)
容量 | iPhone 12 mini | iPhone 12 | 差額 |
---|---|---|---|
64GB | 74,800円 | 85,800円 | -11,000円 |
128GB | 79,800円 | 90,800円 | -11,000円 |
256GB | 90,800円 | 101,800円 | -11,000円 |
iPhone 12 miniは、現行のiPhone SEよりも幅、高さとも若干小さく仕上げられています。初代iPhone SEと比べればひとまわり大きいものの、手にした印象は現行iPhone SEよりも初代iPhone SEに近いと感じました。手の小さな女性でも片手でラクラク扱え、古くからのiPhoneユーザーが懐かしむあの感触がよみがえります。
前述したとおり、iPhone 12 miniはiPhone 12の機能や装備をそぎ落とすことなく小型軽量化を図ったのが特徴です。その1つが5.4インチのディスプレイ。有機ELパネルを用いたSuper Retina XDRディスプレイで、サイズ以外はiPhone 12と同じ表示性能を持ちます。深い黒から明るい部分までダイナミックレンジが広いうえ、Apple TV+などで21:9比率のコンテンツを見る際は迫力が段違いで、映画ファンも満足できるでしょう。
パネル以外にも、優れた機械学習性能を持つ最新のA14 Bionicチップや最新の5G通信、デュアルカメラなど、基本的な性能はiPhone 12と変わりません。小さいモデルだからといって機能や装備を削ることなく、あくまでパネルサイズのみの違いとした点が、旧世代のiPhone 8をベースに作られた現行のiPhone SEとは異なる魅力といえます。
特に、カメラ機能もiPhone 12とまったく同じに仕上げたのは評価できます。A14 Bionicチップが備える機械学習機能「ニューラルエンジン」により、低照度のシーンで画質が改善する「Deep Fusion」が発動し、失敗しやすい薄暗い室内でも忠実な色合いで精細感のある仕上がりにしてくれます。iPhone 12シリーズで利用可能になった超広角カメラでのナイトモードにももちろん対応。「カメラ機能の高いスマートフォンを求めるなら、パネルサイズの大きいシリーズの上位モデルを選ぶしかない」というイメージがあるなか、もっとも小さなiPhone 12 miniで最新のカメラ機能が利用できるのは満足度が高いといえます。
本体が小さくなったことで見劣りする点はないのか?
本体サイズを小さくしたことで、iPhone 12と比べて見劣りする部分は本当にないのでしょうか? 高い性能を保つためにはある程度の容積が必要となる「スピーカー性能」と「バッテリー駆動時間」についてチェックしました。
まずはスピーカーです。上部と下部にそれぞれスピーカーを搭載し、横画面にするとステレオで楽しめる点はiPhone 12と同じ。Apple TV+のドラマを音量を大きめにして再生したところ、iPhone 12よりも若干重低音のパンチに欠ける印象を受けましたが、広がりのあるサウンドが楽しめ、このサイズにしては十分すぎるクオリティだと感じました。
バッテリーは、さすがにiPhone 12よりも小さくなっているようで、ストリーミング動画の再生時間はiPhone 12の最大11時間に対してiPhone 12 miniは最大10時間と、1割ほど短くなっています。とはいえ、最大8時間にとどまる現行のiPhone SEよりもバッテリー駆動時間は上。駆動時間は十分なうえ、30分で最大50%の充電が可能な急速充電機能はiPhone 12と同じなので、日ごろの利用で不満を感じることはないと感じました。
サイズも機能も価格も妥協のない小さなプレミアムモデル
薄型テレビや冷蔵庫など、「サイズが小さい=機能や装備を絞っている」という製品は少なくありません。スマートフォンでも、製品名に「ミニ」と付く小型モデルは、通常サイズのモデルの機能や装備を削っているものが一般的です。それだけに、機能や装備を削らずに“小さい”というメリットをもたらしたiPhone 12 miniは、コンパクトなスマホを好む人が多い日本のユーザーには特に響くモデルになることは間違いありません。
お財布にも優しいiPhoneであることも見逃せません。モバイル機器で重要となる“小さい”という価値を与えた分、iPhone 12より価格が高くなってもおかしくないのに、逆に11,000円も安い価格にしたのは驚かされます。これまでにないキャラクターのiPhoneだけに、中古ショップの買い取り価格も高値で安定するとみられ、大事に使っていれば2年後でも満足する価格で買い取ってもらえるはず。iPhone 12 miniは、買う際も満足、使っても満足、手放す際も満足、のiPhoneとなるでしょう。