iPhone 12とiPhone 12 Proがいよいよお目見えします。5G対応やデザイン変更など多くの改良が施されるなか、個人的に一番インパクトを感じたのが、圧倒的な性能を持つA14 Bionicチップがもたらす“コンピュテーショナルフォトグラフィ”と呼ばれる新世代のカメラ機能。撮影に失敗しやすい夜間や逆光などのシーンでも、シャッターを切るだけで期待を上回る仕上がりの写真をもたらしてくれます。これまでのカメラや撮影の常識を変える、多くの人にとって待望の改良だと感じました。

  • デザインを一新して登場したiPhone 12シリーズ

    デザインを一新して登場したiPhone 12シリーズ。次世代の5G通信への対応が目玉だが、多くの人が日常的に利用するカメラ機能の進化も注目。「こんな風に仕上がるといいな」と頭の中で思い描いた理想的な写真を、シャッターを切るだけで期待以上の仕上がりでもたらしてくれる

デザイン変更+小型化&薄型化でさらに端正な印象に

iPhone 12シリーズは、売れ筋の主力モデル「iPhone 12」、ひとまわり小型に仕上げた「iPhone 12 mini」、トリプルカメラを搭載する「iPhone 12 Pro」、カメラ性能をさらに高めた大画面モデル「iPhone 12 Pro Max」の4機種をラインアップ。売れ筋になるとみられるiPhone 12とiPhone 12 Proは10月23日の発売で、個性の強いiPhone 12 miniとiPhone 12 Pro Maxはひと足遅れて11月13日の発売となります。今回は、先陣を切って登場するiPhone 12とiPhone 12 Proを試用しました。

  • 6.1インチの有機ELパネル「Super Retina XDRディスプレイ」を搭載して表示性能を高めた売れ筋モデル「iPhone 12」

  • iPhone 12は、超広角カメラと広角カメラのデュアルカメラを採用。広角カメラはF1.6の明るいレンズに一新した

  • 重厚感のあるデザインを採用する「iPhone 12 Pro」。パネルはiPhone 12と同じ6.1インチのSuper Retina XDRディスプレイだが、最大輝度が若干高くなっている

  • カメラは望遠カメラを含むトリプルカメラで、新たにiPad Proと同じLiDARスキャナーも搭載したのがポイント

  • 化粧箱はとてもスリムになった

  • 充電器とEarPodsイヤホンは付属しない

2機種を手にしてまず感じたのが「小さくなった!」「質感がさらにアップした!」ということ。かつて、ミノルタのコンパクトカメラ「TC-1」を手にした時に感じた“小さな高性能モデル”というイメージがよみがえりました。

デザイン面の変化は、側面が垂直に切り落とした直線的な仕上げになり、シャープで端正な印象が強まりました。特に、iPhone 12 Proは側面のステンレス素材が強い光沢感を持つ仕上げになっており、高級感もグンとアップしています。

  • 側面は、美しいカーブを描いていた立体的な造形に代わり、フラットな仕上げに一新。iPhone 12 Proは強い光沢処理が施され、ゴージャスな印象を演出する

  • 前面パネル、背面パネルとも盛り上がりのないフラットな構造になり、シャープな印象が強まった

デザインの変更で見た目がよくなっただけではなく、本体の小型化と薄型化を図っているのも見逃せないところ。側面が曲面から平面に変わったことで側面の張り出しがなくなり、正面から見た際の“額縁”が狭くなってスリム化が図られたのです。さらに、前面ガラスや背面ガラスは盛り上がりがなくなって“ツライチ”になり、薄型化を図るとともに端正な印象が高まりました。

  • iPhone 11(左)とiPhone 12(右)を並べてみた。パネルサイズはどちらも同じ6.1インチだが、本体サイズはiPhone 12の方がひとまわりコンパクトに仕上がっている

  • iPhone 11は、カーブを描いている側面パネルの分だけ張り出している

  • iPhone 12は、側面パネルの張り出しがなくなった分だけスリムになっている

見た目だけでなく耐久性を向上させているのも、日々持ち歩くスマートフォンとしては歓迎すべき改良といえます。特に、ゴリラガラスで知られるコーニングと共同開発した「セラミックシールド」を業界で初めて前面ガラスに採用し、耐落下性能を従来の4倍に向上したほか、カギや硬貨など堅いものと擦れた際のキズ付きを抑えたことが注目できます。もはや、市販の保護シートや保護ガラスを張り付ける必要はなくなったといえるでしょう。