Appleが10月13日(現地時間、日本は14日午前2時)にスペシャルイベントを開催する。何を発表するか、同社は明らかにしていないが、新iPhoneの発表会になることはまず間違いない。

今回の告知のキャッチコピーは「Hi, Speed」、日本版は「速報です」だ。英語版のコピーは高速なものとの出会い、5G対応iPhoneの登場をイメージさせる。そのニュアンスが日本版では失われているが、Appleの製品で同社が「速報です」とアピールするほどの製品といえばiPhoneである。ウエアラブルとサービスが急成長しているとはいえ、Appleの事業の中核はiPhoneだ。Apple WatchやAirPodsはiPhoneとの組み合わせでより魅力を発揮し、サービスの契約やアプリのダウンロードにiPhoneが最も用いられている。告知のコピーはiPhoneを思わせるという点で共通しており、iPhone発表会なら、13日のイベントはAppleの1年間で最も重要な発表イベントになる。本稿では飛び交うウワサを整理すると共に、イベント前に押さえておくべきポイントを挙げていく。

  • 英語版と日本版のイベント告知

    英語版と日本版のイベント告知、深いブルーがiPhone 12 Proの新色という声も

「Hi, Speed」については5G以外にも、5nmプロセス製造のA14 Bionicプロセッサやリフレッシュレート120HzのProMotionディスプレイを含むという説がある。A14は第4世代「iPad Air」(9月発表、10月発売予定)ですでに存在が明らかになっているが、出荷がまだ始まっていないこともあって、その実力についてはベールに包まれたままだ。CPUとGPUのパフォーマンスと効率性が向上するだけではなく、9月イベントでは微細化の恩恵を特にニューラルエンジンの強化に割り当て、カスタム技術にも力を注いでいるとしていた。

  • 新型コロナ禍でオンラインイベントになってから毎回登場しているプロセッサラボ、関係者以外入室が厳禁されている研究所からのプレゼンテーションを今回も期待!

5Gに対応するスマートフォンはすでに数多く存在するが、5nmプロセス製造のSoCを搭載するスマートフォンは新iPhoneが初になる可能性が高い。それで何ができるようになるのか、iPhoneの可能性がどのように広がるのか。Apple Park地下のどこかにあるというプロセッサ開発チームのラボからのプレゼンテーション、A14を活かしたアプリのデモ、A14の機械学習性能によるインテリジェントなソリューションなど注目ポイントになる。

  • 9月イベントでは、A14 Bionicを搭載したiPad Airで「djay PRO AI」の開発者が空中で手を動かすだけで音楽をスクラッチするデモを披露した

一方で120Hzについては「搭載される」「Proモデルだけ搭載される」といった様々な噂が飛び交い、今は「搭載を見送った」という見方が優勢だ。リフレッシュレートが高いとゲームや動きのあるコンテンツの表示がなめらかになるものの、バッテリー消費への影響が少なくない。Androidスマートフォンには240Hz駆動の端末もあるが、より高いリフレッシュレートをアピールするスペック競争になっているようなところもある。Googleは「Pixel 5」を90Hzにとどめた。

Apple Trackのウワサ精度(Rumor accuracy)において「97.8%」という高い精度でSランク入りしているKang氏が8日にWeiboに投稿したレポートによると、5G対応に関して、5Gの方がバッテリー消費を抑えられる大きなデータや5Gで通信すべきアプリ利用などを自動的に判断して5Gと4Gを切り替えるスマートデータモードが用意されるという。5G元年と言われているが、米国でも対応エリアは拡大の途上であり、サービスは安定しているとは言いがたい。技術を簡単に使えるようにするのがAppleであり、4Gと5Gの使い分けからユーザーを解放するソリューションを用意するのはあり得る話だ。これは120Hz駆動にも言えることで、Appleが実装するとしたら、ゲーミングは120Hzでなめらかに、動きのないテキスト表示の時は数Hzにまで劇的に落とすというように、インテリジェントな可変でユーザーがシンプルに利用できる準備が整った時である。技術が導入されたこと以上に体験がポイントになる。