本誌でも既報のとおり、Microsoftはクラムシェル型ノートPC「Surface Laptop Go」、ARMベースのSoCを採用した2in1 PC「新Surface Pro X」を発表した。

いずれもMicrosoft Storeに注文ページ(Surface Laptop GoSurface Pro X)を設けており、Surface Laptop Goは2020年10月13日から出荷を開始する。Surface Pro Xは2019年10月に発売したモデルと同列に扱っているが、SoCとしてMicrosoft SQ 1を搭載したモデルはすでに選択不可能。今回発表したMicrosoft SQ 2搭載モデルのみ取り扱うようだ。

  • Intel Core i5・メモリ4GB・ストレージ64GBのエントリーモデルは84,480円(税込)のSurface Laptop Go

現行のモバイル向けSurfaceシリーズを俯瞰(ふかん)すると、Surface Book 3を筆頭に、Surface Pro 7、Surface Laptop 3、Surface Go 2と並んでいるが、クラムシェル型はSurface Laptop 3のみ。Surface Laptop 3の国内価格は139,480円(税込み、価格はすべてMicrosoft Store調べ)だ。米国では999.99ドルで販売されており、当初は教育向けデバイスという位置付けだった。

当時の公式ブログでMicrosoft CPOのPanos Panay氏は、「Surface LaptopはWindows 10 Sのために作られた」と述べている。Windows 10 Sモードは教育分野向けに軽量化したOSで、実行可能なアプリを制限したり、USBメモリーによって初期設定の負担を軽減した。

だが、Microsoftの文教向けPCリストを見ると分かるように、主な価格帯は300ドル。同ページでは価格順にデバイスが並び、OEM PCとともにまず登場するSurfaceシリーズは、米国では399.99ドル(日本国内は65,780円)で販売されているSurface Go 2だ。

米国はK-12(幼稚園から高校)市場が盛況で、日本でも小中学校の全児童・生徒に1人1台のPCを整備する「GIGAスクール構想」が進んでいる。2018年時点では、GoogleのOSを搭載したChromebookが米K-12市場の約6割を占めるという数字もあり、コロナ禍によるリモート授業の増加を踏まえると、Microsoftが文教向けPCのラインナップ強化を図るのも理解しやすい。

話をSurface Go 2とSurface Laptop Goに戻そう。Surface Go 2の大きな特徴は携帯性だが、リモート授業という利用形態を踏まえると、携帯性の重要度は下がる。また、Surface Go 2に129.99ドルのSurface Go Type Coverを追加すると529.98ドルになり、Surface Laptop Go(549.99ドル)に迫る値段になってしまう。

それならば、Intel Core i5を搭載してパフォーマンス面で有利であると同時に安価な、Surface Laptop Goを文教用PCとして推し進める戦略も納得できる。なお、一般向けSurface Laptop GoのOSはWindows 10 Home(Sモード)だ。

  • Surface Laptop Goのカラーバリエーションは、プラチナ、アイスブルー、サンドストーンの3色(公式動画から抜粋)

安価なラップトップPCとして、Surface Laptop Goを選択するビジネスパーソンもいるだろう。法人向けSurface Laptop GoにOffice Home & Business 2019は付属せず、そのぶん安価になると思われたが、日本マイクロソフトの発表によれば、Intel Core i5・メモリ4GB・ストレージ64GBモデルは用意せず、Intel Core i5・メモリ8GB・ストレージ128GBモデルからとなる。また、Surface Laptop GoとSurface Go 2をMicrosoft Storeで比較(下図)したので参考にしてほしい。