クアルコム(Qualcomm)の子会社である米Qualcomm Technologies Internationalは現地時間9月3日、ノイズキャンセリング機能を備えた完全ワイヤレスイヤホン向けの新技術「Adaptive Active Noise Cancellation(ANC)」を発表。ユーザーの身体の動きや周囲の環境に応じて、リアルタイムでNC効果を動的に変化させ、快適性や音質を向上させるという。

  • Adaptive Active Noise Cancellation

    クアルコムの新技術「Adaptive Active Noise Cancellation(ANC)」

「Qualcomm 2020 State of Play」の調査では、ノイズキャンセリング(NC)機能は消費者がワイヤレスイヤホンに求める機能の4番目として挙がっており、ワイヤレスイヤホンを耳につけたときの快適性は53%の消費者の購買基準になっているという。

しかし、クアルコムは「効果的なNCのパフォーマンスは、気密性を保って耳にイヤホンを挿入することに依存するが、これは快適性を損ない、達成が困難になる」と説明する。

そこでAdaptive ANCでは、ユーザーがイヤホンを耳に押し込んだりねじったりする必要がないよう、気密性に依存せずにNCが効くように設計。たとえば、ユーザーが走ったり歩いたり、頭を動かすといった動きによってイヤホンをつけている状態が変化しても、リアルタイムにNCのパフォーマンスを動的に調整するという。

Adaptive ANCは、静かな環境ではNCの効果の強さを下げ、騒音が多い環境では効果を強めることで、周辺環境に自動的に対応する。ユーザーは、Adaptive ANCを備えたイヤホンのフィットテストをしたり、自分で設定を調整をするといった必要はなく、電話で話したり音楽を聴いたり、音声アシスタントに質問を投げかけるというように利用の仕方が変わっても、NCは途切れることなく機能するという。

同技術は、クアルコムの最新のプレミアムティアBluetoothオーディオSoC「QCC514x」で利用できる。製品をより迅速に開発したいOEM向けや、さらに差別化を追加したい顧客向けにAPIを提供していく。

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