AV over IP の制御と管理

NMOS(Networked Media Open Specifications)とは、AMWA(Advanced Media Workflow Association)によって開発された仕様で、SMPTE ST2110で提供されるトランスポート層に加えて、制御および管理層を提供するIPベースのインフラで使用するために開発されました。

幅広いメーカーの製品間で単純明快な相互運用性を実現する手段を提供し、エンドユーザーとサービスプロバイダーが、複数のメーカーが提供する最高水準のコンポーネントを使用してシステムを構築できるようにすることを目的としています。

さらに、NMOSの仕様はEBU(European Broadcasters Union:欧州放送連合)によって、「IPベースのメディア施設を構築および管理するための最小ユーザー要件」の一部として義務化されています。AMWA が提供しているNMOS仕様はいくつかありますが、主要なコンポーネントはIS-04、IS-05、IS-08の3つです。

IS-04、検出と登録

IS-04は、ネットワーク上のST 2110デバイスを検出および登録可能にし、各デバイスの機能を公開できるようにします。RDS(Registration and Discovery Server)は、MDNSまたはDNS-SDを介して自動的に検出され、業務用AV業界で待ち望まれていた真の「プラグアンドプレイ」を実現します。

IS-05、接続管理

IS-05により、ST 2110デバイスを任意のブロードキャストコントローラーによって標準的な方法で設定および切り替えできるようになります。ブロードキャストコントローラーの例としては、HDMIルーターのようなボタンパネル、シンプルなHTTP APIによるソフトコントローラーパネルが挙げられます。NMOSにより、ベンダー固有の制御プログラミングは過去のものになりました。

IS-08、オーディオチャネルマッピング

IS-08は、オーディオチャネルマッピングを導入します。これは、トランスミッタまたはレシーバーにおけるオーディオチャネルの再マッピングを可能にする重要な機能です。IS-08 APIでは、複数のさまざまなオーディオ ストリームを任意のレシーバーに伝送できます。

今後の開発

標準化の次なるステージの主な目標は、相互運用性と使いやすさをさらに高めることです。IS-09は現在開発中の仕様で、ネットワーク上のメディアノードが最初に起動するときに、グローバルシステムパラメーターへのアクセス権を付与するシステムレベルAPIを定義します。

これにより、接続(再接続)した直後に動作開始できるようになります。JT-NM TR1001.1は、ユーザーの介入は最小限にして、接続と設定をより簡単にできるようにすることを目的としています。その他、NMOSはセキュリティ面にも力を入れています。これには、不正なユーザーによってAVシステムが危険にさらされることがないようにする、HTTPS(暗号化制御)とアクセス制御が含まれます。