トヨタ自動車とNTTは3月24日、スマートシティビジネスの事業化が可能な長期的かつ継続的な協業関係を構築することを目的に業務資本提携に関する合意書を締結することを決議し、同日に締結したと発表した。

これまで、両社は2017年3月にコネクティッドカーの技術開発・検証に向けて協業しており、経営環境の変化に対して、これまで培ってきた事業基盤のさらなる強化に努めるだけでなく、両社の協力関係構築により持続的成長を可能とする新しい価値創造に取り組んでいく必要があるという。

特に先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、各種課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出するスマートシティ事業を、今後注力する重要な領域の1つと捉え、取り組みを始めている。

トヨタは2020年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2020において、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクト概要を発表し、2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用して、さまざまなパートナー企業や研究者と連携しながら、新たな街づくりに向けた実証を進めていく方針を示し、「Woven City」(ウーブン・シティ)と名付け、スマートシティ実現に向けた取り組みを推進している。

一方、NTTグループは都市・まちの課題解決のため、福岡、札幌、横浜、千葉といった自治体や企業などと協業を進めており、2018年12月に公表したラスベガスでのスマートシティの取り組みは、収集された各種データをラスベガスが所有し、最先端のAI、IoT、ICTリソースの総合マネージメント技術を活用し、事件や事故の迅速な検知・分析や予測、最適なICTリソース管理などを実現しており、他都市への展開に向けた取り組みを推進しているという。

また、保有する不動産の利活用においてICT技術を活用したスマートなまちづくりを推進するNTTアーバンソリューションズを昨年7月に設立したほか、スマートシティの重要な構成要素であるスマートエネルギー分野で事業を推進するNTTアノードエナジー同6月に設立するなど、NTTグループの持つ資産を最大限活用してスマートシティ実現に向けた取り組みを進めている。

こうした取り組みを進める中、スマートシティ化による課題解決や価値向上の効果を最大化し、地域力向上および国家力向上につなげるには、各社が個々のプロジェクトに取り組むだけでなく、両社が一体となり、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築・運営し、国内外のまちに連鎖的に展開することが必要と考え、業務資本提携を行うこととした。

  • 「スマートシティプラットフォーム」の概要

    「スマートシティプラットフォーム」の概要

両社は、スマートシティにおいて、ヒト・クルマ・イエ、また住民・企業・自治体などにかかる生活、ビジネス、インフラ・公共サービスをはじめ、すべての領域への価値提供を行うスマートシティプラットフォームを共同で構築し、先行ケースとして静岡県裾野市東富士エリア(Woven City)と東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)にて実装し、その後は連鎖的に他都市へ展開を図る考えだ。

同プラットフォームは住民・企業・自治体などに向けて価値提供のセキュアな基盤として、スマートシティのデータマネジメントと情報流通、これらに基づくデジタルツイン(まちづくりシミュレーション)とその周辺機能により構成され、個々のスマートシティのプラットフォーム、そのほかのスマートシティプラットフォームとの連携基盤としてプラットフォーム・オブ・プラットフォームを擁するという。

今後、スマートシティの競争力向上によるさらなる成長とともに、持続可能な社会の発展を目指す考えだ。