ソニーから新しい完全ワイヤレスイヤホン「WF-H800」が発表されました。本機が属する「h.ear(ヒア)」シリーズの立ち位置を振り返りながら、WF-H800がどんな製品なのか、音質も含めてチェックしてみたいと思います。

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    h.earシリーズのラインナップに新たに加わる完全ワイヤレスイヤホン「WF-H800」

h.ear初の完全ワイヤレス、最上位WF-1000XM3とココが違う

WF-H800の価格はオープンプライスですが、店頭価格は税別22,000円前後を見込んでいます。ソニーの完全ワイヤレスイヤホンの現行フラグシップモデルである「WF-1000XM3」はオンラインストアの販売価格が税別25,880円。本体に音楽プレーヤー機能を内蔵する防水モデル「WF-SP900」は税別26,880円なので、WF-H800は価格的にはこれらよりも手ごろな製品となります。

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    ソニーの人気ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」

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    音楽プレーヤー機能を備えた防水モデル「WF-SP900」

WF-H800の機能面では、高音質化技術のDSEE HXに対応し、ワイヤレスで96kHz/24bitまでのハイレゾ相当の高音質が楽しめることが特徴です。アクティブノイズキャンセリングと外音取り込みは搭載していませんが、これらの機能が必要であれば、あと約4,000円がんばるとWF-1000XM3に手が届きます。

WF-H800がWF-1000XM3と大きく違うのは、イヤホン本体と充電ケースが軽く、充電ケースはサイズも小さくて持ち運びやすいことです。

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    充電ケースのサイズはWF-1000XM3よりもコンパクトになった

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    イヤホンはケースの中にコンパクトに収まる。単体で約8時間、充電ケースと組み合わせで合計約16時間の音楽リスニングが楽しめる

WF-1000XM3に同梱されているフォームタイプの「トリプルコンフォートイヤーピース」はWF-H800には付いてきませんが、シリコンタイプの「ハイブリッドイヤーピースロング」だけで耳元に十分に高いホールド感が得られます。筆者の耳にはWF-1000MX3よりWF-H800のほうがフィットして、高い遮音性が得られました。イヤーピースを装着したノズルが耳に深く入るように設計しているので、イヤホンを装着しても顔の輪郭から飛び出て見えないのもうれしいところ。

カラーバリエーションもWF-1000XM3より豊富にそろっているので、服とのコーディネートも含めて、音楽をスタイリッシュに楽しみたい人にWF-H800はオススメです。

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    付属するイヤーピースは「ハイブリッドイヤーピースロング」。4種類のサイズから最適なフィット感が得られる。ノズルの色とイヤーピースの色をていねいに合わせているのがh.ear流

ハイレゾ級の高音質やアプリ対応など、多彩な機能が充実

余計な機能は極力省いたイヤホンなので、「ハイレゾ級高音質」の一点突破で音の良い完全ワイヤレスイヤホンを選びたいならWF-H800は最適です。

プレーヤーの音楽再生や音量調整といったリモコン操作は、左右イヤホンに搭載されているボタンのクリックで行えます。スマホを取り出さずにイヤホンのボタンから音量調節ができる点は、アップルのAirPodsユーザーがWF-H800を使ったら手軽さに驚くかもしれません。ペアリングしたスマホのGoogleアシスタントやAmazon Alexaも呼び出せます。

スマートフォンとWF-H800のペアリングなどで使う「Sony|Headphones Connect」アプリでは、イコライザーや本体の各種設定に加えて、WF-H800のボタン操作もカスタマイズできます。

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    ペアリングした音楽プレーヤーのリモコン操作は左右のボタンで行う

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    Headphones ConnectアプリからDSEE HXのオン(AUTO)/オフ、リモコンボタンの操作設定などが行える

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    リモコンボタンは左右に同じ操作を割り当て可能。音量調節がイヤホンから操作できるのも魅力

カラーバリエーションは、2019年に発売された第3世代のh.earシリーズと同じ5色(レッド、ブラック、アッシュグリーン、オレンジ、ブルー)。ボディ内側のカラーとシリコンイヤーピースの色もていねいに合わせ込んでいます。またHeadphones Connectアプリをペアリングすると、画面のトップに今使っている色と同じWF-H800の画像が表示されます。アプリではイヤホンだけでなく、充電ケースのおおよそのバッテリー残量もパーセント表示で把握できます。

イヤホン単体の連続音楽再生時間は約8時間で、上位モデルのWF-1000XM3のノイキャンオフ時と同じ。付属のUSB Type-Cケーブルによる10分のクイックチャージで約70分ぶんの電源が確保できます。

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    WF-H800をペアリングすると、Sony|Headphones Connectアプリのトップのイメージが本体カラーに合わせて変わる

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    第3世代h.earシリーズとペアリングしたときも同様に、Headphones Connectアプリが本体カラーに合わせて変化する

Bluetoothの対応オーディオコーデックがAACとSBCのみとなる点はWF-1000XM3と同じですが、DSEE HXによる処理で高音質に聴けるので不満は感じません。

気になるところをひとつ挙げるなら、イヤホン本体が防塵防滴仕様でないことが残念です。音楽を聴いている間に激しく水や汗に濡れることは、筆者の経験上はほとんどないのですが、たとえば家の中ならキッチンなどの水場、屋外では雨の日にできる水たまりにうっかりとイヤホンを落とす可能性もあります。そういった心配からは、できれば解放されたいもの。もし水に濡れるような場面で音楽を聴くための完全ワイヤレスイヤホンを探すのであれば、ソニー製品ならWF-SP900やWF-SP700Nを選ぶと良いでしょう。

WF-H800の音質をチェック

h.earシリーズといえば2015年秋の誕生以来、手ごろな価格でハイレゾが楽しめるポータブルオーディオとしてクリアでフラットバランス、そして少しクールなサウンドを持ち味としてきました。今回、WF-H800のサウンドをiPhone 11 Proにペアリングして聴いてみます。

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    iPhone 11 Proに接続してWF-H800の音質をチェック

MISIAのボーカルは力強く、生き生きとした張りが感じられます。余計な色づけはなく、歌声にピアノ、ギターのリアルな音色が前に押し出してくる積極的な実在感が楽しめます。メリハリの豊かなサウンドは、明るくアップテンポなJ-POPや打ち込み系のダンスミュージックを聴くととても映えます。

反面、グレン・グールドの「ゴールドベルク変奏曲」では繊細なピアノの音色の輪郭がやや太めに描かれて、少し“体育会系”な印象を受けました。クラシックは情熱的なオーケストラの演奏によくハマると思います。

中高域の滑らかさが格段に引き立ってくるDSEE HXは、常時ONで使うのがいいと思います。WF-H800は「シンプル・イズ・ベスト」が最大の特長。好きな音楽を夢中になって聴きたい、熱い音楽ファンにぴったりなハイレゾ級音質の完全ワイヤレスイヤホンです。

h.earシリーズヘッドホンとの2台持ちもアリ!

最後に、最新世代のh.earシリーズの中での位置付けを整理しておきましょう。

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    第3世代h.earシリーズが勢ぞろい。右上から逆時計回りに、ヘッドホン「WH-H910N」と「WH-H810」、完全ワイヤレスイヤホン「WF-H800」。全モデルが同じカラーバリエーションをそろえている

アラウンドイヤータイプの全部入りヘッドホンである「WH-H910N」は、h.earシリーズ最上位機種の貫禄。立体的でワイドな音場の再現力が見事だと思います。従来のh.earシリーズのアラウンドイヤーモデルと同様にフラットバランスをキープしながら、サウンドはより力強く山谷を再現する現代風のチューニングに進化しています。ノイズキャンセリング機能の効きはフラグシップのWH-1000XM3に比べてしまうとやや控えめですが、自然な効果が得られるので長時間リスニング向きと言えるかもしれません。音楽再生に限らず、動画やゲームなどマルチジャンルのオーディオリスニングを1台でこなすオールラウンダーとして手に入れる価値があります。

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    アラウンドイヤーヘッドホン「WH-H910N」。ブラックはイヤーパッドに模様を配置したデザインが特徴

オンイヤースタイルの「WH-H810」はノイズキャンセリングや外音取り込みの機能はありませんが、重さが約180gと軽くてコンパクトなので、ポータビリティに優れています。WH-H910NとWH-H810はDSEE HXを搭載しているだけでなく、ハイレゾ相当の音質が楽しめるソニーのBluetoothオーディオコーデック「LDAC」をサポートしており、本格的なハイレゾ再生が楽しめるワイヤレスヘッドホンのエントリー機としても魅力的です。音質はWH-H910Nほど肉付きは良くありませんが、芯がしなやかで音の質感もきめ細やか。抑揚をていねいに描くサウンドが、しっとりとしたジャズのボーカルやピアノによく合いました。

どちらのヘッドホンを持っていても、後からWF-H800を手に入れる選択はアリだと思います。音の傾向はそれぞれに違う味を持っていて、シーンを切り分けて使える楽しさがあります。h.earシリーズの完全ワイヤレスイヤホンと「2台持ち」にして楽しめば、繰り返し聴いているお気に入りの楽曲からも、また新たな発見が得られるでしょう。

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    オンイヤーのWH-H810。アッシュグリーンはエンクロージャーやヘッドバンドのシェル側のマットな質感が魅力的