ヤマハミュージックジャパン(以下、ヤマハ)は、楽器用エフェクターブランドである米EarthQuaker Devices(以下、EQD)のベースギター用プリアンプ「ScrolIs(スクロールズ)ベースオデッセイ」を、ベーシスト・中尾憲太郎シグニチャーモデルとして、2026年5月16日に発売する。希望小売価格は64,900円。

  • 米EarthQuaker Devices(以下、EQD)のベースギター用プリアンプ「ScrolIs(スクロールズ)ベースオデッセイ」

    米EarthQuaker Devices(以下、EQD)のベースギター用プリアンプ「ScrolIs(スクロールズ)ベースオデッセイ」

EQDは、ミュージシャンのJamie Stillman(ジェイミー・スティルマン)が2004年に設立した米国の楽器用エフェクターブランド。日本では、2017年よりヤマハが取り扱いを行っている。すべての製品は、米国自社工場でハンドメイドで製造されており、定番のビンテージサウンドから個性際立つ先鋭的なトーンまで、幅広い表現力を備えたブランドとして、多くのミュージシャンに支持されている。

  • Jamie Stillman(ジェイミー・スティルマン)と中尾憲太郎(右)

    Jamie Stillman(ジェイミー・スティルマン)と中尾憲太郎(右)

今回発売するとなる「ScrolIs ベースオデッセイ」は、ナンバーガールなどの活動で知られるベーシスト・中尾憲太郎の豊富な演奏経験とEQDの技術が融合したシグニチャーモデル。このモデルの構想は2017年に始まったが、日米間の距離の隔たりや、中尾の理想の音を言葉で共有する難しさから、開発は思うように進なかったという。しかし、2024年、中尾が積み上げてきた経験から「今なら理想を形にできる」と判断したことで、開発が本格始動。両者は再び対話を重ね、最終的に「マルチエフェクターにしたくない」という中尾の想いを受け、あえてEQとOverdriveの2つのセクションを先鋭化させたモデルとして結実した。

仕様面では、EQセクションにおいてノブを12時の位置でフラットとし、20Hz~10kHzのレンジで細かい調整が行えるパラメトリックイコライザーを搭載。Overdrive セクションでは、EQDならではの表情豊な歪みを実現。さらに、DIアウトは、ライブ/レコーディング双方で即戦力となる音質を提供する。シンプルでありながら可変幅が広く、あらゆるベーシストの演奏スタイルに柔軟に応える仕上がりとなっている。

  • 自身のシグニチャーモデルについて熱弁する中尾憲太郎

    自身のシグニチャーモデルについて熱弁する中尾憲太郎

発売に先立って、Yamaha Sound Crossing Shibuyaにて、記者発表会を実施。中尾自ら、製品の説明にあたった。中尾がEQDのブランドアンバサダーとなったのは2016年のこと。そこから、ミュージシャンやプロデューサー、エンジニアにEQDを紹介して、今年は10年という節目の年になる。最初にEQDの製品を使ってみた際、ローが削れなくて、めちゃ良かったと、当時を振り返る。アンバサダーを務める中で、じゃあ、ちょっとプリアンプとか作ってみます?といった話はあったが、その頃は、中尾の中で、具体的なビジョンがなく、ここまだとゴールがわからなくて、ジェイミーと喧嘩して終わると思ったので、遠慮していたのだが、10年経って、自分の中でハッキリ見えたと言うか、閃いた瞬間があったので、製品化にまで漕ぎ着けられたと経緯を語った。

中尾は長くSansAmpの「BASS DRIVER DI」を使っていたが、ドンシャリ具合がトゥーマッチだったそうで、繊細な音作りを求められる状況だと困ってしまうことが多く、そこで自分にとってハマる音作りができる、細かく追い詰められるプリアンプのイメージが閃いたと言う。

本製品のEQセクションは、「Tone job」がベースになっているそうだ。中尾は、どんなプリアンプを使っても、最後に「Tone job」を噛ませてミッドをあげて自分の音としていたとのことで、このEQセクションとプリアンプを合体させられないかなというのが、コンセプトとしてある。先述のEQセクションにおける、12時の位置でフラットになる仕様については、最初にオーダーしたという。全部12時にした時に原音と同じ音が出るようになるというのは、ベース本体の音ありきという発想でもある。また、DIアウトも、付いていたら便利かなという着想で、その際、ローパスフィルターも搭載するアイディアを出したらしい。ローの帯域はキープしたまま、ハイの帯域をこちらでコントロールするアイデアを伝えたところ、しばらくすると、「Easy Listening」というプリアンプ・キャビシミュレーターが発売となった。これを中尾も使ってみたところ気に入ったとのことで、本製品には、この技術も取り入れられている。さらに、ドンシャリ系の音から、ナチュラルな、かゆいところに手が届くサウンドまで幅広い音作りをできるようにして欲しいとリクエストしたところ、EQセクションに3つのプッシュボタンを用意してくれたという。中尾曰く、自分のプレイスタイルに合ったオーダーにしたつもりだったが、仕上がってきたら、全ベーシスト向けになっていたと、さりげなくアピールする。

デモ演奏を交えた解説に続き、toeのドラマー・柏倉隆史とのセッションに突入すると、中尾は「ScrolIs ベースオデッセイ」をフィーチャーしたプレイを披露した。

  • 中尾と活動をともにしているtoeのドラマー・柏倉隆史(右)とのセッション

    中尾と活動をともにしているtoeのドラマー・柏倉隆史(右)とのセッション

「ScrolIs ベースオデッセイ」の主な仕様は以下の通り。

  • コントロール
    Driveフットスイッチ/EQフットスイッチ
  • Driveチャンネル
    Level/Blend/Drive/Bandwidth/Tone
  • EQチャンネル
    Level/Vari-FreqVari/Treble/Bass/Middle/Deep/Process/Bright
  • 端子
  • Parallel Out/Direct Out(On Side)/Ground Lift(On Side)

  • Effects Loop:DriveチャンネルとEQチャンネルの間に設置されたエフェクトループ
  • Switching: Driveチャンネルは電子リレー方式トゥルーバイパスのフレキシ・スイッチ搭載。フレキシ・スイッチは通常のラッチ式スイッチとしても、長押しすることでモーメンタリー(アンラッチ式)としても使用可能。EQチャンネルは電子リレー方式トゥルーバイパスのオン/オフスイッチ
  • Power:径2.1mmのセンターマイナス9V ACアダプター対応
  • 消費電流:70mA
  • サイズ:120.65×114.3×57.15mm