KDDIは9月2日、都内で記者会見を開き、5Gと高精細動画像、AIを組み合わせた法人向け5Gソリューションを2020年3月から提供を開始すると発表した。なお、5G時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を通じた5Gトライアル環境の提供を2019年11月から開始する。

新ソリューションは、5Gの特徴である大容量・低遅延を活かし、高精細動画像の伝送とAIの組み合わせにより、AIの検知精度が向上するほか、従来、固定回線やオンプレミス環境で構築されていたシステムが効率化され、導入・運用コストが低減されるという。

これにより、導入から運用までトータルコストの圧縮や一時的な現場での利用など、環境に依存することなくビジネスの早期展開を可能としている。今回、同社では5G対応ソリューションとして「AIカメラ」「Intelligent Display」「3Dホログラム」を発表した。

  • 「映像×5G」のソリューションを3月に提供開始する

    「映像×5G」のソリューションを3月に提供開始する

KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は「これまでIoT領域ではセンサから通信、クラウド、パッケージまでワンストップで提供してきたが、5Gも同様に提供していく。2020年に4Gと5Gを組み合わせたNSA(Non-Standalone)からスタートし、2021年からSA(Standalone)として展開していく。まずは4Gを磨き、その上に5Gを重ねていくイメージであり、ハイブリッドネットワークを実現していく」と語気を強める。

  • KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏

    KDDI ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏

  • 5G展開のロードマップ

    5G展開のロードマップ

同社では、5Gにより現状の売り切りモデルのフロー型ビジネスから、データと価値提供の循環を図るリカーリング型に変革するという。原田氏は「従来のIoTはテキストデータ中心としてセンシングだったが、5Gで映像を含めたデータにビッグデータやAIを適用することで、顧客に喜ばれるサービスを提供する」と話す。

  • 5G時代のソリューションサービスの方向性

    5G時代のソリューションサービスの方向性

同氏は5G対応ソリューションについて「見える化、マーケティング、業務効率化に価値をもたらす。One to Oneマーケティング、リッチな表現、店舗や現場の省スペース化、トラブル時の遠隔対応をはじめとした顧客のニーズに対応していく」と説明した。

AIカメラは、5Gを利用することで大容量かつ高精細な映像のアップロードが可能となり、画質向上による認識精度が向上し、マーケティングや店舗設計への活用ができる。ローカル環境にサーバ設置が必要となるシステム構成と比較して、クラウド環境にサーバを設置することで、スペースや配線の課題に悩むことなく運用を可能とし、3分の1のコスト低減ができるという。

  • 「AIカメラ」のサービス概要

    「AIカメラ」のサービス概要

ユースケースは小売業界、飲食業界、鉄道業界、航空業界などを想定し、価格はクラウドサーバ利用料(最大5台のカメラを接続した場合)が月額4万/台~、カメラ台数単位が同1万6000円(サーバ、キッティングに係わる費用を含み、5G回線、5G端末、オプション、個別開発、カメラ、施工にかかる費用が別途発生)/台~。

  • 「AIカメラ」の設備構成

    「AIカメラ」の設備構成

Intelligent Displayは、ローカル環境に設置していたサーバをクラウド環境に移行することにより、コンテンツの即時更新や導入コスト削減など業務効率化が可能。また、属性解析を行うことで、One to Oneマーケティングを可能とし、ユースケース商業施設(女性用、男性用)を想定。価格は月額4万9000円(65インチマルチタッチディスプレイ、サーバ、アプリケーション、クラウド、カメラにかかる費用を含み、5G回線、5G端末、施工にかかる費用などが別途発生)/台~。

  • 「Intelligent Display」のサービス概要

    「Intelligent Display」のサービス概要

3Dホログラムは、専用ディスプレイに加え、センサ連携によるインタラクティブなコンテンツ生成を実現し、3DCGコンテンツの制作などワンストップで提供する。遅延が少ない操作性と触感も加えた新しい「Natural User Interface」により、新たな訴求方法やコンテンツの利用を可能とし、ローカル環境に設置していたサーバをクラウド環境に移行することにより、筐体のダウンサイジングができるという。

  • 「3Dホログラム」のサービス概要

    「3Dホログラム」のサービス概要

ユースケースは小売業界、教育関連、美術館、博物館、企業受付などを想定し、価格は月額7万7000円(ディスプレイ、PC、CMS、ジェスチャー・触感フィードバックセンサにかかる費用を含み、5G回線、3DCGコンテンツ制作、設定、運用支援、配送、設置にかかる費用などが別途発生)/台~。

今後、11月から3つのソリューション向けにKDDI DIGITAL GATEにおいて5Gトライアル環境を提供し、その後も第2弾・第3弾と業種別の顧客ニーズに基づいた対応ソリューションのリリースを予定している。

  • 今後も業種のニーズに対応したソリューションをリリース予定だという

    今後も業種のニーズに対応したソリューションをリリース予定だという