長野県と富士通は3月18日、同県のICTを活用した職員の「しごと改革・働き方改革」の一環として、行政事務を効率化する共同実証を昨年7月から2019年2月まで行い、有効性を検証し、作業時間の削減と品質向上につなげられることを確認したと発表した。

検証には、富士通のRPA(Robotic Process Automation)ツール「FUJITSU Software Interdevelop Axelute(インターディベロップ アクセリュート)」およびAI技術を搭載した公共工事の設計・積算業務支援ソフト「FUJITSU 公共ソリューション SuperCALS ESTIMA V6(スーパーキャルス エスティマ V6)」を活用した。

RPAについては、総務部における光熱水費集計・支払業務(総務部 財産活用課)と職員の給与や手当の返納通知作成業務(総務部 総務事務課)、教育委員会における小中高校の体力測定結果の集計・フィードバック業務(教育委員会 スポーツ課)の3業務に適用し、作業時間を最大88%削減できることを確認。

光熱水費集計・支払業務では、県関係庁舎の電気料金、ガス料金、水道料金について、集計・振り分け・支出請求を実施する業務において、月間208分要する職員の作業時間を24分に短縮、88%削減できることを実証し、年間2208分(約37時間)の削減効果が見込まれた。

給与事務・戻入通知作成業務については、職員の給与や手当などの返納に関する通知作成業務において、月間401分要する職員の作業時間を77分に短縮、81%削減できることを実証し、年間3888分(約65時間)の削減効果が見込まれている。

集計・フィードバック業務に関しては、同県内の小中高校における体力測定結果を集計して各学校にフィードバックを行う業務において、年間10,241分(約171時間)要する職員の作業時間を2160分(36時間)に短縮し、79%削減できることを実証。これにより、年間8081分(約135時間)の削減効果が見込まれているという。

AIについては、建設部における公共工事の工事費積算結果チェック業務を対象に、工事費の設計積算(見積り)誤りの可能性がある箇所をチェックする検証を行った結果、誤りを含む設計書(作成途中を含む)を検知することができ、品質の向上につなげられることが確認。

公共工事に必要となる材料や機材および数量を算出し、工事費総額の積算および設計書の作成などを行う業務において、2017年度の道路改良工事設計書2105件(作成途中を含む)に対して「ESTIMA」に搭載したAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用した自動検知機能を適用したところ、誤りを含む設計書24件を検知することができたという。今後もデータを継続的に学習させて検知の精度を高め、職員のチェック作業の効率化につなげていくとしている。

長野県はRPAについて、今回の実証で効果が確認された業務を中心に2019度以降の本格導入を予定しており、適用業務を段階的に拡大し、将来的には全庁へ展開を目指す。また、AIについても2019年度以降の本格導入を目指し、さらなる検知精度の向上に取り組む。