宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月22日9時過ぎ、小惑星探査機「はやぶさ2」の第1回目タッチダウンに関して記者会見を行った。まだ速報ベースの解析ではあるものの、探査機の状態が正常であることと、シーケンスがすべて完了したことが確認でき、プロジェクトチームから、タッチダウンの成功が宣言された。
現状、分かっている運用結果は以下の通り。タッチダウンの時刻は7:29ころ。それを地球で観測できたのが19分後の7:48ころで、ドップラー変化により、秒速55cm(視線方向の速度成分)で上昇したことを確認した。8:09ころからテレメトリの確認を開始し、8:42ころに確認を終え、成功と判断したとのこと。
当初発表されていた運用スケジュールでは、8:06ころの着陸予定とされていた。今回、それより30分以上前倒しのスケジュールで着陸したことになるが、これは、各シーケンスが最短時間で完了し、ほとんどマージン無く進んだためで、それだけ順調だったということ。JAXAの久保田孝スポークスパーソンは「完璧な運用ができた」と笑顔を見せた。
「どこに着陸したのか」という点については、現時点でまだ確認はできていない。詳細には、撮影画像などを今後確認することになるが、アボートすることなくシーケンスが完了したことから、予定していた半径3mの円内に着陸した可能性が高いとのこと。久保田氏は、「今後の人工クレータを作る運用でこの経験が活かされる」と評価する。
また今回確認できたのは、弾丸発射コマンドが出たということのみ。実際に弾丸が発射されたかどうかは、テレメトリを調べて温度センサーのデータなどを見る必要があり、現在、これに最優先で取り組んでいるとのこと。早ければ、今日中にも確認できる可能性があるそうだ。
サンプルが採取できたかどうかは、カプセルが地球に帰還するまで分からないものの、着陸できた以上、何らかのサンプルが入っている可能性はかなり高い。吉川真ミッションマネージャは「初号機より遙かに大量のサンプルが期待できる。惑星科学にとって、飛躍的な発展が期待される。新しいスタート地点になった」と、興奮を隠さなかった。