Machinsitと関連して、個人でのIoT開発においては、インターネットとの接続がネックになるケースがある。シングルボードコンピュータの多くはWi-FIは搭載していることが多いため、自宅などではネットワークに接続しやすいが、屋外に設置する機器の場合はモバイルルーターなどが必要になる。

ところがモバイルルーター+データ専用SIMの組み合わせを使うとしても、月額で最低でも1,000円近くかかることになる。決して高すぎるわけではないが、データの送信量が小さいことがわかっているならば、もっと安価なサービスを提供できないか。そういった発想から生まれたのが「IIJmio IoTサービス」だ。

  • IIJmio IoT

これは今春から始まったIIJmioのフルMVNOサービスを使ったSIMで、送信量が少ないIoT機器向けの「いちねんプラン」と、画像などを転送する機器向けに容量が大きめで送信(上り)側を重視した「上り高速プラン」がある。「いちねんプラン」では送受信量が一カ月で100MBまでだが、1年契約で月額200円相当(年額2,400円)と格安だ。「上り高速プラン」も3GBの「S」で月額680円、12GBの「L」で2,180円と、通常のデータ専用SIMより安く設定されている。

特に「いちねんプラン」は屋外で温度や水量といったテキストで表せるデータの送信に絞れば十分すぎる容量があり、月額料金も極めて安価だ。中古のモバイルルーターなどと組み合わせることで初期コストもランニングコストも大幅に減らせるため、Machinistと組み合わせてIoT開発にどんどん使ってほしいとのことだった。

具体的な利用例として、IIJの堂前氏が実際に開発した車載用のIoTデバイスが披露された。これは自動車のメンテナンス時に利用するODB IIポートに刺して自動車のECUに集められるデータを読み取るもので、自動車の速度やエンジン回転数、燃料消費やアクセル・ブレーキの踏み込み量など、さまざまなデータを収集するもの。集めたデータはIIJmio IoTサービスを通じてMachinistに送信され、ダッシュボードで可視化される仕組みだ。

  • 堂前氏はAmazonなどでコネクター類などを調達し、極めて安価にこうしたシステムを構築できたとしている。OBD IIへの機器接続は自動車メーカーは嫌がるのだが、読み取りだけなら特に害はないはずだ

IoTデバイスの開発自体は、電子工作や簡単なプログラミングの知識があれば、比較的誰にでもできるようになってきた。あとは常識にとらわれないユニークな発想が、誰も思いつかなかったような新たなサービスを生み出してくれるのを待つばかりだが、IIJのIoT向けサービスはいずれもこうした次世代の発明家たちを支援する気概に満ちたものだ。これらのサービスを通じて将来の生活を大きく変えるような製品やサービスの誕生を期待したい。