KDDIは11月1日、楽天と連携することで決済・物流・通信分野におけるアセットを相互利用していくと発表しました。KDDIが開催した2019年3月期 第2四半期決算発表会で、KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏は「楽天と事業協争(協争とは、協調と競争を合わせた造語)することで、両者のお客さまの利便性を向上したい」としています。また前日、NTTドコモが発表した(2019年に提供予定の)新料金プランについて、KDDIの対応を説明しました。

  • 2019年3月期 第2四半期決算発表会に登壇する、KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏

KDDIより1日早く決算発表会を開催したNTTドコモは、大胆に値下げした新たな料金プランを2019年度 第1四半期から提供開始すると発表しています。スマホなどの端末代金と、データ通信などの通信料金を切り離した「分離プラン」になる見込みです。

これを受けて、高橋社長は「話題になっている分離プラン、当社では業界いち早く昨年(2017年)の夏より、分離プランのauピタットプラン、auフラットプランを導入している。その結果、(auピタットプランに関しては)対前年比で平均請求額が約3割は下がった」と述べます。

  • KDDIでは分離プランのauピタットプラン、auフラットプランを2017年夏に導入。これにより、auピタットプランの平均請求額は約3割も低下しています

記者団から、ドコモの決算会見についてコメントを求められると「正直、驚いた。我々は今日が決算発表会なのに、すでに株価が下がって非常に苦しんでいる。ドコモさんは、具体的なことはおっしゃっていなかった。分離プランを中心に進めていくと理解している」と、まずは苦笑い。

この分離プランが収益に与える影響について、高橋社長は「通信料が安くなり、端末代が高くなる。弊社ではこの通信料収入の減少によって、今期末までに3,000億円超のお客さま還元になると見込んでいる。これがドコモさんが言われる最大4,000億円規模の還元にあたるのかは分からないけれど、弊社ではすでにそこまで下がっている」と説明します。

高橋社長が繰り返して強調したのは、政府から言われたことには真摯に従ってきた、ということ。「ドコモさんより一歩先に宿題を済ませている。だから、いまから4,000億円規模の還元をする、ということではない。我々は分離モデルのファーストランナーで、ドコモさんは最終ランナーということを理解して欲しい」(高橋社長)。

その一方で、ユーザー還元も積極的に行っていく、とアピールします。「民間の知恵を絞り出して、なんとか増益と持続的成長を続けている。今期もこれだけの利益を出した。そこで還元の仕方を考えている。5Gの投資をして地方創生する、あるいは子どもの教育プログラムを進める。もちろん、お客さまや株主さまへの還元、社会貢献なども考えている。単純な料金値下げにはならないかも知れないが、1つひとつ対応していきたい」と高橋社長。

  • これまでKDDIでは、多彩なプランによりお客さま還元を実施してきたと説明

しかし記者団からは、繰り返し同様の質問が続きます。「政府の要望には応えられたということか」

「官房長官のおっしゃる要望、つまり携帯電話の利用料金を4割下げる、ということが何を示しているのか、まだ不明確なところがある。分離プランで通信料金は下がっているので、この宿題はクリアしている。ただ、端末の代金は上がる。

端末を販売していかないと新しいサービスにはつながらない。これについても(キャッシュバックなどの)インセンティブを出さないように、とのガイドラインが出ているが、守っている。公正取引委員会さんから指摘のあったアップグレードプログラム(割賦払いにともなう長期契約)についても改善した」(高橋社長)。

今後も真摯に対応していきたい、と説明するとともに「いまがKDDIの株の買い時なんじゃないか、と理解いただければ幸いです」と笑顔で話していました。