ソニーネットワークコミュニケーションズの格安SIMサービス「nuroモバイル」が、10月1日から料金プランを一新しました。MVNO初心者に適した「お試しプラン」が登場したほか、データ容量に合わせて選べる「Sプラン」「Mプラン」「Lプラン」がスタート。しかし一方で、“nuroモバイルらしさ”を感じたサービスは新規受け付けを終了。nuroモバイルのサービス、今後どこに向かうのでしょうか。

  • nuroモバイルが新しい料金プランを発表。端末ラインナップも拡充しています

ニーズは「シンプル」と「大容量」

他社にはない、ユニークなサービスを得意にしてきたnuroモバイル。例えば、旧料金プランでは、月のデータ容量を2GB / 3GB / 4GB / 5GB / 6GB / 7GB / 8GB / 9GB / 10GBから選べました。また、1日5時間だけ利用できる「5時間プラン」、特に深夜1時から朝6時までの高速通信を容量無制限にした「深夜割プラン」などは斬新なサービスでした。

これらのサービスは、10月1日をもって新規の受け付けを終了。その理由について、モバイル事業部門の細井邦俊氏は「市場の変化とユーザーのニーズを考慮した結果」と話します。

その代わり同社では、よりシンプルな料金プランを10月1日からスタートさせました。ドコモ回線、ソフトバンク回線とも、お試しプラン(月のデータ容量は0.2GB)、Sプラン(同2GB)、Mプラン(同7GB)、Lプラン(同13GB)の4種類から選べます。お試しプランを契約した場合は、解約時の違約金が発生しません。

  • お試しプラン、Sプラン、Mプラン、Lプランの4種類で展開(ドコモ回線、ソフトバンク回線で共通)

データ容量が小刻みに選べる旧プランは、nuroモバイルの強みでした。しかし、利用者が集中している2GBと7GBにしぼり、新たに大容量の13GBを加えるほうがコスト削減となり、消費者にとっても選びやすくなるメリットがあると考えたようです。

容量チャージに関しても、旧プランでは100MB / 500MB / 1GBを用意していましたが、新プランでは1GBのみに変更。その代わり、利用料金はドコモ回線で600円(いかすべて税別)、ソフトバンク回線で900円と、割安に利用できるようになりました。

料金プランを変更した判断について、細井氏は次のように説明します。

「この2年間で、通信業界の競争環境は激しく変化しました。これまでは尖ったサービスを届けてきましたが、市場の変化をとらえると、このまま同じサービスを続けるわけにはいきません。多くの皆さまに、安心してご利用いただけるサービスを目指す必要があります。

今回のリニューアルは一見すると、今まであったサービスがなくなり、他社と同じサービスになったと思われるかも知れません。けれど原点に立ち返って、思い切ってプランを見直した結果です」(細井氏)。

  • ソニーネットワークコミュニケーションズ モバイル事業部門 ビジネス開発部 部長の細井邦俊氏

なお、従来プランの利用者は、10月1日以降も継続してサービスを利用できます。利用するデータ容量が月500MB未満であれば無料で使える「0 SIM(ゼロシム)」に関しては、新規受け付けも継続。このほか、追加料金として2,000円を支払えば「Xperia XZ Premium」ユーザーに限り利用可能だった「プレミアム帯域オプション」は、対応端末の拡充を検討したいとしています。

  • プレミアム帯域オプションでは、昼時などの通信混雑時にも高速通信が可能。今後はXperia XZ Premium以外にも、対応端末が増えるかも知れません

  • 端末ラインナップの拡充についてもアナウンスがありました。「AQUOS Sense plus」「P20 lite」など、新たに8機種が追加されています

ソフトバンク回線は高い?au回線への対応は?

細井氏は取材記者の質疑応答と囲み取材にも対応しました。

ソフトバンク回線を利用するときの料金プランがやや高い点については「料金設定を悩んでいます。まだコストが判断できず、他社の動きも見たい。そこで、まずはこの値段にしました」と細井氏。随時、見直しを行っていきたいとしました。

『0 SIMプラン』と『お試しプラン』との違いについては、「ネットワーク回線の品質が違います。0 SIMは、速度が出ないときは本当に出ない。お試しプランは、標準プランと変わりません。両プランでは解約の扱いも違います」と回答。0 SIMプランを継続していく理由は「いまだに毎月、相当の申し込みをいただいているため」とのことです。

折しも同日、競合する楽天モバイルはau回線への対応を発表しました。このことについて聞かれると「nuroモバイルでも、マルチキャリア化を進めています。その第1ステップとして、ソフトバンク回線の利用を始めました。au回線は検討を進めている段階。あらためて説明の場を設けられれば」と。これは期待できそうです。

お試しプランについて、細井氏は「そろそろMVNOを使ってみようか、というお客さまに選んで欲しい。初月は0円で、2カ月目は300円から利用できます。音声通話プランを選んでも解約金が発生しない」と繰り返して強調。

そこで、他社の回線にMNPで乗り換えることを目的にした(キャッシュバック狙いの)不正利用の温床にならないか、といった質問があがりました。これについては「一時期は色んな市場の動きがありました。最近では、そこまでの問題はないと認識。もっとも、利用者の不正利用といった動向に関しては監視しています」と回答しました。