説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『Bluetoothイヤホンで動画の音がズレて再生されます!?』という質問に答えます。

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Bluetoothイヤホンが人気です。iPhoneの場合、イヤホンジャックが廃止されたiPhone 7が発売される前後から話題となり、左右を結ぶケーブルすらない完全ワイヤレスの「AirPods」が登場して人気に火が付きました。これまでのAppleの動きからすると、iPhoneにイヤホンジャックが復活することはなさそうですから、イヤホンはBluetoothなどのワイヤレス接続で使うことが常識になりそうです。

そんなBluetoothイヤホンで動画の音がズレて聞こえるとのご質問ですが、映像と音声の同期がとれていない、たとえば俳優のセリフと口もとの動きがあっていない(リップシンクがとれていない)、ということでしょうか? 残念ながら、それはBluetoothイヤホンの特性上やむを得ません。Bluetoothイヤホンは、音声データを圧縮して転送しますが、そのときの処理(符号化/複合化)によりタイムラグが生じ、映像と音声にズレを感じることがあるのです。

一般的に、映像と音に120ミリ秒以上のズレが生じると人間は違和感を覚えるそうですが、利用するBluetoothイヤホンの種類や電波の状態によっては、再生時にそれ以上の遅れ(遅延)が発生します。iPhone(iOS)のBluetooth機能がサポートする音声コーデック(SBCとAAC)は、遅延が大きめのため、根本的な解決策はありません。動画はまだしも、音と映像のタイミング判定がシビアな音楽ゲーム(音ゲー)の場合、Bluetoothイヤホンは避けたほうがストレスは少ないでしょう。

動画のリップシンクが気になる、音ゲーを存分に楽しみたいという場合には、BluetoothイヤホンではなくLightning端子接続型のイヤホンをお勧めします。有線接続となる代わり、音声コーデックによる処理は必要ないため、人間が感知できるレベルでの遅延は生じません。確かにワイヤレスは便利ですが、ケースバイケースで使い分けてもいいのではないでしょうか。

  • Bluetoothイヤホンで動画の音声を聞くと、映像と音のズレが気になることがあります(画像はイメージです)