1万円前半で購入できる低価格モデルでも、2万円以上の高性能モデルでも、走行中に映像を記録し続ける機能はちゃんと備えています。両者のおもな違いは、付加機能の数と種類といえるでしょう。

代表的な付加機能としては、ドライブレコーダーが持つ加速度センサーを利用し、一定以上の衝撃があったときにその瞬間の前後の動画を自動保存する「イベント撮影機能」が挙げられます。衝突や当て逃げなどで衝撃が加わったときだけでなく、急激な動きや速度変化があったときにも自動的に撮影が始まるので、事故の瞬間だけでなく、危ない走行をするクルマを避けるために急減速や回避したときの映像も残せます。

昨今増え続けるLED式信号機への対応も、注目すべき付加機能の1つといえます。街中に設置されているLED信号機は、人間の目には常時点灯しているように見えますが、東日本エリアは秒間100回、西日本エリアは秒間120回で高速点滅しています。肉眼では確認できませんが、ドライブレコーダーで撮影すると動画のコマ数と点滅の瞬間が重なってしまい、信号機が常に真っ黒に記録されてしまうことがあります。

  • 中央の信号機に注目。真っ黒に映ってしまい、信号の点灯色が確認できない

LED信号機への対応をうたうドライブレコーダーであれば、動画の撮影周期を秒27.5コマなど信号になるべく重ならないよう記録するため、信号が常に真っ黒になることを防げます。

HDR(ハイダイナミックレンジ)またはWDR(ワイドダイナミックレンジ)とも呼ばれる付加機能の有無にも注目してください。トンネルの内部や夜間の走行中は、どうしても映像が暗くなってしまいます。また、暗いトンネルを走っていて出口が見えると、その部分が明るく白飛びしてしまいます。HDRやWDRが備わっていれば、そのような場面になると自動的に露出を調節してしっかりと写してくれます。特に、トンネル内や夜間など暗い場面での写り方が大きく変わってくるため、これも必須の機能といえるでしょう。

  • 明暗が急に切り替わるトンネルの出口や夜間は、HDR機能やWDR機能があると見た目通りに撮影できる。これはHDR機能がある機種で撮影した映像を切り出したもので、明るい場所の様子がしっかり確認できる

  • こちらはHDR機能やWDR機能がないドライブレコーダーで撮影した映像を切り出したもの。明るい場所の様子が大きく白飛びしてしまっており、確認しづらくなっている

一部のドライブレコーダーはバッテリーを搭載していて、エンジンを切って駐車したあとも車に衝撃があった場合に撮影を自動的に開始する機種もあります。車に対してのいたずらや当て逃げといった場面に遭遇しても、自動的にドライブレコーダーが録画をし始めるため、証拠映像として役に立ちます。

走行時の安全性を向上させる運転支援機能を備えるドライブレコーダーもあります。ドライブレコーダーが撮影した映像を分析し、前方を走る車との距離が近づきすぎた場合や、車線を逸脱したときに警告を鳴らせます。

ドライブレコーダーの中には、Wi-Fiを搭載している機種もあります。撮影した映像をスマホの大きな画面で再生できるため、状況を確認しやすいのがメリットです。また、撮影した映像や画像を簡単にスマホに転送できるので、SNSへの投稿もしやすい点も注目できます。

高性能モデルを中心に、GPSを搭載した製品も見受けられます。スマホアプリやパソコンの専用ソフトを使えば、ドライブレコーダーで撮影した動画を再生しつつ、GPSで記録した走行ルートを地図とともに表示できるので、いつどこで撮影した映像なのかを確認しやすくなります。また、GPSはクルマの速度もほぼリアルタイムで記録できるため、事故時の状況の記録に役立ちます。

  • GPSを搭載するドライブレコーダーの多くは、地図と映像を照らし合わせて運転履歴を確認できる。速度や加速度なども参照でき、運転状況を解析しやすい

以上の点を踏まえ、次回は1万円台前半の低価格製品と、2万円以上で多機能な高性能製品の中から、おすすめのドライブレコーダーを紹介したいと思います。

(文・写真/田代祥吾)