Xperia XZ2/XZ2 Compactは、大幅なバージョンアップではなく、どちらかといえばマイナーバージョンアップです。デザインは刷新しましたが、機能としては従来の改善にとどまっています。

その中で、今後のモデルに搭載する新しい機能も紹介されています。それが「2つのカメラを使って高感度撮影を可能にする」というものです。デュアルカメラと新規開発のISP(Image Signal Processor)である「フュージョンISP」の組み合わせで実現します。静止画では最高ISO51200、動画では最高ISO12800という超高感度撮影を可能にするとのことです。

  • デュアルカメラとフュージョンISPで超高感度撮影を可能に。人間の目がISO1600程度で、それを超える明るさで撮影ができます

通常のスマートフォンでもISO3200程度がせいぜいなので、ここまで高感度になると人の目では、ほぼ真っ暗の状況であってもわずかな光で明るく撮影できます。

一般的にISO感度を上げると画質は劣化し、ノイズが増えます。これについても、デジタルカメラの開発部隊とも協力し、一定の基準を設け、ある程度の画質を維持したうえでの超高感度を実現するとしています。

  • デモ機でのカメラのライブビュー表示。室内を暗くして、プラネタリウムを天井に表示したものを写しています。画面には星空がはっきり写っていますが、その背後の星空を、撮影したカメラは捉えられていません

超高感度といえば、ソニーがミラーレスカメラの「α7S」以降で感度性能を高めています。α7Sでは最高ISO409600というけた違いの数字を実現。最新の「α7 III」でも最高ISO204800となっています。

  • ミラーレスカメラでISO25600、シャッタースピード1/10秒で撮影したものですが、見た限りはこれぐらいの明るさで表示されていたので、シャッタースピードをさらに速くできるISO51200、しかもスマートフォンで、というのはかなりの威力です

ただ、カメラとスマートフォンではセンサーサイズなどが異なるので、αで採用しているものとは違う技術を使って、高感度対応を実現しているといいます。現時点ではその技術の詳細は明らかにされていませんが、2つのカメラと「Fusion(融合)」という言葉から、何らかの合成を行って高感度を実現することが推測できます

  • 動画のISO12800のデモ。下は従来のXperiaですが、上部は星空まで見えているのに、下はほとんど何が写っているのか分かりません

これを搭載したスマートフォンは、プレミアムモデルとして位置付けられるようで、特定のユーザーをターゲットにしたものとしています。いまだに後継機種のない4Kディスプレイ搭載の「Xperia XZ Premium」と同じ考え方なのでしょう。

そのため、メインのフラッグシップ端末としてXperia XZ2(もしくはその後継機種)があり、別の特定ターゲット向けの端末として超高感度撮影対応機種を提供するということのようです。

α7Sでは画素ピッチを大きくするために画素数を少なくするなどの工夫があり、そうした制限が存在する可能性はあります。その結果、一般ユーザーにとっては使いにくい面もあるという場合は、両者を分ける意味はありそうです。

発売は2018年中になることは間違いないでしょうが、現時点で具体的な時期は明らかにされていません。なお、Xperia XZ2/XZ2 Compactも、日本での販売に関して発表はありません。例年通りですと、日本の場合はキャリアからの販売になるため、そちらからの発表を待つことになります。