韓国の新興スマートフォンメーカー、ALTが発売した、折りたたみ携帯電話型のAndroidスマートフォン「MIVE ケースマ」。一部では発売早々品薄になるなど、高い人気を獲得しているようだ。実際に実機に触れてみて、人気の理由と従来型携帯電話との共通点、そして違いなどについて確認してみよう。

サイズは大ぶりだが、その分画面は広い

「MIVE ケースマ」は、ALTの日本参入第一弾として投入された、シニアをターゲットにしたAndroidスマートフォン。スマートフォンといっても、大きなディスプレイをタッチで操作する一般的なスマートフォンではなく、折りたたみタイプでダイヤルキーを備えるなど、従来型の携帯電話に近いデザインや操作性が大きな特徴となっている。

  • 「MIVE ケースマ」は、おもにシニアをターゲットにした端末。折りたたみ型携帯電話のスタイルながら、中身はれっきとしたAndroidスマートフォンだ

    「MIVE ケースマ」は、おもにシニアをターゲットにした端末。折りたたみ型携帯電話のスタイルながら、中身はれっきとしたAndroidスマートフォンだ

それゆえ、MIVE ケースマ同社がターゲットに据えているのは、現在もなお「ガラケー」などと呼ばれる従来型の携帯電話を使用しているシニア層。NTTドコモの3Gサービスが終了したこともあって、従来型の携帯電話を使っている人が乗り換えやすいスマートフォンとして提供しているわけだ。

本体サイズを確認すると、本体を閉じた状態で約65.3(W)×127.8(H)×16.2(D)mm、重量は約195gとなっている。これを現行の従来型携帯電話の1つである、FCNTの「らくらくホン F-41F」と比べてみると、同機種のサイズは閉じた状態で約52(W)×113(H)×16.9(D)mm、重量が約134gとなっていることから、厚さを除けばMIVE ケースマの方がひと回り大きく、重量も重い。

とりわけMIVE ケースマは横幅が広いことから、比較的手が大きい筆者でも、手にすると折りたたみ携帯電話としてはかなり大きく、重いと感じてしまう。シニアが手にして使用する場合は操作が片手で完結せず、左手で持って右手でボタンを押すなど、何らかの形で両手を使う必要があるだろう。

  • 実際に手にしてみたところ。スマートフォンとしてはコンパクトだが、携帯電話として見るとかなり大ぶりで、片手だけで操作するのはやや厳しい感がある

    実際に手にしてみたところ。スマートフォンとしてはコンパクトだが、携帯電話として見るとかなり大ぶりで、片手だけで操作するのはやや厳しい感がある

ただその分、ディスプレイは4.3インチと、らくらくホン F-41F(約3.0インチ)と比べかなり大きく、視認性は高い。とりわけ、シニアをターゲットにするうえでは文字の大きさが重要な要素となるだけに、サイズとのトレードオフになるとはいえプラスに働く部分もあることは確かだ。

また、このディスプレイはスマートフォンだけあって、実はタッチ操作にも対応している。携帯電話としての基本的な操作は本体のキー操作のみで可能だが、タッチ操作が必要なアプリにも対応できる。ちなみにキーも、本体サイズが大きい分だけサイズや間隔も十分取られており、かなりフラットではあるが押し心地も悪くはないので、操作性は良好だ。

  • ディスプレイはタッチ操作にも対応。タッチ操作が必要なスマートフォンアプリの操作も可能だ

    ディスプレイはタッチ操作にも対応。タッチ操作が必要なスマートフォンアプリの操作も可能だ

背面にはサブディスプレイを備え、時間や通知などの確認が可能だ。こうした点も従来型の携帯電話と共通しており、使い勝手を損なわないように工夫している。

  • 本体を閉じたところ。背面にはサブディスプレイが備わっており、時間などの情報確認ができる

    本体を閉じたところ。背面にはサブディスプレイが備わっており、時間などの情報確認ができる

キーで多くの操作が可能だが、違いを感じる部分も

続いて、最も重要なポイントとなるキー操作とホーム画面のインターフェースについて確認しよう。MIVE ケースマは携帯電話型ではあるものの、その中身はあくまで軽量版のAndroid「Android 14 Go Edition」を搭載したスマートフォンなので、キーを備えているとはいえ従来型の携帯電話とはどの程度、インターフェースや操作に違いがあるのか、気になる人も多いのではないだろうか。

実際、MIVE ケースマのキーを確認すると、日本で一般的な携帯電話と比べるとキーの数がやや多い。ダイヤルキーやカーソルキー、クリアキー、通話・終話キーといった基本的なキー配置は大きく変わらないが、それ以外のキーにはやや違いがある。

大きな違いの1つは、携帯電話で一般的な「メニューキー」がなく、詳しくは後述するが一部の操作で必ずタッチ操作が求められること。そしてもう1つは、画面上部にAndroidアプリの一般的な操作をするための3つのキーが備わっていることで、左からタスク切り替えキー、ホーム画面に戻るホームキー、「戻る」キーがある。

  • キー部分をクローズアップしたところ。一見すると従来の携帯電話と変わらないように見えるが、上部にAndroidの操作に対応するためのキーが追加されている

    キー部分をクローズアップしたところ。一見すると従来の携帯電話と変わらないように見えるが、上部にAndroidの操作に対応するためのキーが追加されている

一方のホーム画面は「シンプルホーム」と「標準ホーム」の2種類が用意されており、前者は文字やアイコンを大きく、シンプルに表示してくれるうえ、多くの操作がキー操作で可能となっているなど、スマートフォン初心者にも分かりやすい仕組みが整えられている。

  • 「シンプルホーム」はアイコンや文字が大きく、キー操作でさまざまな機能が呼び出しやすくなっている

    「シンプルホーム」はアイコンや文字が大きく、キー操作でさまざまな機能が呼び出しやすくなっている

また標準ホームは、よりAndroidの一般的なホーム画面に近く、アイコンや文字のサイズも小さいが、その分情報量を多く表示できる。使ってみた印象では、従来の携帯電話と同様にキー主体で操作するならシンプルホーム、よりタッチ操作を多く利用し、スマートフォンに近い感覚で利用したいなら標準ホームの方が便利だと感じた。

  • 「標準ホーム」はアイコンも小さく、より一般的なスマートフォンのホーム画面に近い

    「標準ホーム」はアイコンも小さく、より一般的なスマートフォンのホーム画面に近い

ただ、性能的に見れば、チップセットは台湾メディアテック製の「Helio G36」、RAMは3GBとかなり低く、Androidも軽量版のAndroid Goを採用しているだけあって、標準ホームでは負荷がかかり操作がやや重くなるケースも見られた。アプリを多用するような使い方には適していないことは覚えておきたい。

また、双方のホーム画面ともに、やはり従来型の携帯電話とはインターフェースにかなりの違いがある。そのことを象徴しているのが、ホーム画面でカーソルキーの左右を押した時の操作だ。従来型の携帯電話であれば、通話履歴や着信履歴などの画面が現れるのだが、MIVE ケースマの場合シンプルホームではカーソルキーの左で短縮ダイヤル、右でアイコンのカーソル移動となっている。長年携帯電話の操作に慣れている人ほど混乱しやすいかもしれない。

  • シンプルホームでカーソルキーを左に押すと、着信履歴ではなく短縮ダイヤルが表示されてしまう

    シンプルホームでカーソルキーを左に押すと、着信履歴ではなく短縮ダイヤルが表示されてしまう

ちなみに、ホーム画面上で「#」キーを長押しすることにより、タッチ操作をオフにすることも可能。画面タッチによる誤操作を防ぎたい時に有効だ。

  • ホーム画面で「#」キーを長押しするとこのような画面が現れ、タッチ操作をオフにできる

    ホーム画面で「#」キーを長押しするとこのような画面が現れ、タッチ操作をオフにできる

慣れ親しんだキー操作で「LINE」が使いたい人に最適

機能面に関しては、通話やカメラ、SMSといった携帯電話で一般的なアプリのほか、ターゲット層を考慮してかFMラジオや歩数計なども用意されている。側面には、緊急時にメッセージを送信するSOSボタンが用意されているのも、シニア層をターゲットにした端末ならではといえる。

  • FMラジオアプリも用意されているが、イヤホンをラジオのアンテナ代わりに活用するため、利用時には必ず3.5mmのイヤホンジャックにイヤホンを接続する必要がある

    FMラジオアプリも用意されているが、イヤホンをラジオのアンテナ代わりに活用するため、利用時には必ず3.5mmのイヤホンジャックにイヤホンを接続する必要がある

  • 本体を閉じた状態で右側面から見たところ。3.5mmのイヤホンジャックの隣にあるのがSOSボタンだ

    本体を閉じた状態で右側面から見たところ。3.5mmのイヤホンジャックの隣にあるのがSOSボタンだ

ただ、MIVE ケースマはAndroidスマートフォンだけあって、「Gmail」などグーグル製アプリもプリインストールされており、「Google Play」によるアプリの追加も可能となっている。それゆえ、最近ではシニア層にも人気が高まっている「YouTube」が標準で利用できるほか、Google Play経由で「LINE」が利用できるのも大きなポイントとなる。

  • 「YouTube」などグーグル関連のアプリも用意されており、「Google Play」を通じてアプリを追加することも可能だ

    「YouTube」などグーグル関連のアプリも用意されており、「Google Play」を通じてアプリを追加することも可能だ

とりわけLINEに関しては、日常的なコミュニケーション手段として日本で広く普及していることからシニアにもニーズが非常に高い一方、従来型携帯電話向けのLINEがすでに提供終了しているため、スマートフォンでなければ利用できないサービスとなっている。それだけに、従来と大きく変わらないキー操作でLINEが利用できることが、MIVE ケースマの大きなメリットの1つとなることは間違いない。

LINEなどの利用に欠かせない文字入力も、もちろんキー操作ですることが可能。文字入力システムには、携帯電話を始め多くのデバイスで実績がある、オムロンデジタルの「iWnn IME for Android」を採用しており、予測変換や絵文字の入力にも対応していることから、文字入力に違和感を抱くことはあまりない。

  • 日本語文字入力には「iWnn IME for Android」を採用しており、キー操作で文字入力や予測変換が可能だ

    日本語文字入力には「iWnn IME for Android」を採用しており、キー操作で文字入力や予測変換が可能だ

  • カーソルキー右下の「☆」キーを押すことで、絵文字の入力もできる

    カーソルキー右下の「☆」キーを押すことで、絵文字の入力もできる

ただ、先にも触れた通り、MIVE ケースマにはメニューキーがないので、文字の選択やコピー・ペーストをするには一般的なAndroid端末と同じタッチ操作が求められる。この点は改善が求められるところだろう。

  • 文字の選択やコピー・ペーストなどの操作にはタップ操作が必要で、文字選択やコピー時のメニュー選択なども本体のキー操作と一切連動していない

    文字の選択やコピー・ペーストなどの操作にはタップ操作が必要で、文字選択やコピー時のメニュー選択なども本体のキー操作と一切連動していない

そしてもう1つ、LINEと並んでニーズが大きいカメラに関しては、背面のカメラが800万画素、フロントカメラが500万画素と、最近のスマートフォンとしては決して性能は高いとは言えない。ただ、従来型の携帯電話として考えると一般的な性能でもあり、LINEでスナップショットを交換し合う程度の用途であれば十分だろう。

  • 本体を閉じた状態で、背面から見たところ。背面のカメラは800万画素が1つと、近年のスマートフォンとして見れば性能は低い

    本体を閉じた状態で、背面から見たところ。背面のカメラは800万画素が1つと、近年のスマートフォンとして見れば性能は低い

  • カメラアプリはボタンで起動し、カーソルキーの中央にある決定キーでの撮影が可能。デジタルズームだが、最大4倍までのズームにも対応している

    カメラアプリはボタンで起動し、カーソルキーの中央にある決定キーでの撮影が可能。デジタルズームだが、最大4倍までのズームにも対応している

ただ、カメラがディスプレイ側ではなくボディ側にあるため、本体を縦に持って撮影する際には、位置的にカメラが指にとてもかかりやすい。これは同様のタイプの端末共通の課題でもあり、筆者も実際に何度か撮影をしてみたのだが、かなりの割合で指が写真に写り込んでしまった。十分注意すべきポイントといえる。

  • 実際に撮影した写真。高度な撮影を求めなければ十分なレベルだ

    実際に撮影した写真。高度な撮影を求めなければ十分なレベルだ

  • カメラの位置の都合上、本体を縦にして撮影すると下部に指が写り込んでしまいやすいので、撮影時は要注意だ

    カメラの位置の都合上、本体を縦にして撮影すると下部に指が写り込んでしまいやすいので、撮影時は要注意だ

まとめると、MIVE ケースマは折りたたみ型の携帯電話とスマートフォンの“いいとこ取り”をした端末であり、キー操作でスマートフォンのアプリが利用できることは大きなメリットだと感じる。ただそれだけに、実際に従来型の携帯電話と同じ感覚で使ってみると、細かな違いで違和感を抱くことも少なからずある。

とりわけ、本体の大きさやホーム画面の操作、メニューキーが用意されていないことなどは、気になる人が多いかもしれない。それゆえMIVE ケースマは、従来の携帯電話と同じであることを求める人より、むしろスマートフォンに興味がある、あるいはスマートフォンに移行したいと考えている人が、最初のステップとして選ぶべき端末といえる。