米ラスベガス開催のCES 2018、世界最大級のテック系見本市ですが、会期スタート前の2日間に各社が発表会を行うのが通例ともなっています。ソニーも発表会を開催しましたが、そこで触れられなかったのがスマートフォン「Xperia」シリーズの新製品です。ブースに展示してあったので、じっくりと紹介しましょう。

  • CES 2018、ソニー、Xperia XA2、Xperia XA2 Ultra

    CESのソニー発表会。「感動」を与えることを目指すという、ソニーの戦略を語る平井一夫社長

新しいXperiaは、「Xperia XA2」「Xperia XA2 Ultra」「Xperia L2」の3製品です。XA2シリーズの2モデルはミドルレンジ、L2はエントリークラスの製品です。L2に関しては展示もありませんでした。

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    Xperia XA2

Xperia XA2 / XA2 Ultraは、チップセットにQualcomm Snapdragon 630を採用。ディスプレイサイズはXA2が5.2インチフルHD、XA2 Ultraが6インチフルHDで、L2はその中間サイズの5.5インチ液晶ですが、解像度はHDどまりです。

基本的なデザインは従来モデルを踏襲していますが、最大の特徴といえるのは、今まで側面の電源ボタンと一体化していた指紋センサーが背面に移ったことです。Xperiaの代名詞ともいうべき側面の指紋センサーは一長一短ですが、センサーを配置しなければならない関係上、昨今の流行である側面ギリギリまでディスプレイを広げることができませんでした。

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    Xperia XA2の側面。この電源ボタンのデザインは懐かしいですね

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    Xperia XZ Premium(上)との比較

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    指紋センサーは背面に。XA2 / XA2 Ultraともにデザインや位置は変わりません

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    上部と底部

その制約がなくなったことで、XA2 / XA2 Ultraは、横幅を広げなくても画面を大きくできるようになりました。実際に比較すると、明確に側面のベゼルが細くなっています。

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    Xperia Xperia XZ Premium(上)と比較すると、ベゼルがほとんど感じられないレベルになっています

XA2 Ultraは、インカメラが2つになりました。デフォルトは画角88度の広角レンズ側ですが、もう一方は画角120度の超広角レンズを採用しています。広角レンズは16MP(メガピクセル)センサーを採用し、光学式手ブレ補正も搭載します。超広角レンズ側は8MPで、自撮りする場合の人数や背景を入れるかどうかの違いで切り替えられます。これをソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)では「デュアルセルフィー」と表現しています。

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    Xperia XA2 Ultra

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    本体側面

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    上部と底部

実は、ソニーモバイルがデュアルカメラを採用したのはこれが初めてです。デュアルカメラは最近のトレンドですが、ソニーモバイルもここに来て、インカメラとはいえデュアルカメラをサポート。一般的な広角と超広角を切り替えるタイプですが、ソニーモバイル初のデュアルカメラということで注目したいところです。

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    インカメラがデュアルに。左側が超広角レンズ

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    画角の違い

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    スローモーション動画に対応。UIは上位モデルのスーパースロー撮影のようですが、録画開始ボタンを押すと120fpsのスローモーション撮影が行われ、再度ボタンを押すと停止します

今回のXA2 / XA2 Ultraは、ミドルレンジで日本での発売も現時点では予定されていないなど、あまり特別な印象はありません。しかし、この指紋センサーとデュアルカメラという2点は、今後のXperiaを占う上でも重要なポイントでしょう。

側面から指紋センサーがなくなったことで、デザインの自由度が増しているはずです。ソニーのプレスカンファレンスでは、平井社長がソニーのイメージセンサーの好調ぶりをアピールし、その中で自動車向けのセンサーで複数の企業と協業することを明らかにしました。こうした新しいセンサーの使い方がXperiaに導入される可能性もあります。顔認証も期待できるでしょう。そうすれば、さらにデザインの自由度は上がりそうです。

デュアルカメラは、おそらく次期Xperiaフラッグシップモデルではメインカメラで採用されると思われます。つまり、今回のXperia XA2 / XA2 Ultraは、次期Xperiaフラッグシップモデルの先駆けとして、予期させる端末になっているのではないでしょうか。

その他の機能としては、両モデルともメインカメラのイメージセンサーに23MPの1/2.3インチ裏面照射型Exmor RS for mobileを搭載。これは以前のフラッグシップ機に搭載されていたものと同じで、上位機種の機能がミドルクラスに降りてきたという感じでしょうか。ほかにもスローモーション動画の撮影に対応しており、ミドルクラスとはいえカメラ機能は強化されています。ただ、3Dクリエーターには対応しないようです。

Xperia XA2 / XA2 Ultraは地味に見えますが、機能としては一昨年のフラッグシップモデル並みで、普通の使い方には十分といえます。グローバルモデルですが、日本でも十分戦える製品だと思うので、MVNO向けのSIMフリー端末として登場することを期待したいところです。