「インスタ映え」が2017年の流行語大賞に選出されたように、街中を歩くと、必ずといっていいほど、スマホで何かを撮影している風景に出会います。いまや写真を含めた画像と動画がコミュニケーションの中心です。それに伴って、スマートフォンでよりきれいで印象的な写真や動画を撮影したいというニーズが高まっています。

メーカーもユーザーニーズその声に応えるように、世代を重ねるごとにカメラの性能を強化。新モデルを発表するときは「いかにカメラ性能を向上したか」を一番にアピールするようになっています。

新年会に向けて最新スマートフォンのカメラをチェック

年末年始になるとSNSのタイムラインに料理や集合写真など、飲み会や食事会の写真が増えます。深夜に美味しそうな料理の写真を見ると、おなかがすいてちょっとつらいものがあります。さて、カメラ機能が強化されている最新のスマホではどのように料理の写真が撮影できるのでしょうか。年明けからの新年会に備えて、いくつかのモデルで試してみることにしました。

  • 今回用意できたスマートフォン。「iPhone X」「P10 Plus」「Xperia XZ1」「AQUOS R compact」「ZenFone 4」の5機種で料理を撮影しました

今回テスト用として、Appleの「iPhone X」、Huaweiの「P10 Plus」、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ1」、シャープの「AQUOS R compact」、ASUSの「ZenFone 4」を用意できました。価格に幅はありますが、各メーカーに置けるハイエンドモデルという位置付けで、カメラにも力が注がれています。有効画素数やF値など以下の通りです。

製品名 iPhone X P10 Plus Xperia XZ1 AQUOS R compact ZenFone 4
有効画素数
(背面カメラ)
広角1,200万画素
望遠1,200万画素
カラー1,200万画素
モノクロ2,000万画素
1,920万画素 1,640万画素 広角800万画素
標準1,200万画素
F値 広角F1.8
望遠F2.4
F1.8 F2.0 F2.2 広角F1.8
標準F2.2
焦点距離(35mm換算) 広角28mm
望遠52mm
27mm 25mm 25mm 広角12mm
標準25mm
記録画素数 4,032×3,024ピクセル 3,968×2,976ピクセル 5,504×3,096ピクセル 3,840×2,160ピクセル 4,032×3,024ピクセル
HDR
手振れ補正 ○(光学) ○(光学) ○(電子) ○(電子) ○(光学/電子)
実勢価格(参考) 税別112,800円から
(Appleオンラインストア)
86,184円
(ドコモオンラインショップ)
59,000円前後
(Amazon.co.jp)
77,760円
(au online shop)
61,344円
(ASUS ZenFone Shop)

2017年はメイン側で2つのカメラを搭載した製品が増えました。以前からハイエンドモデルでの採用例はありましたが、いまはミドルレンジのモデルにまで広がっています。画角の違うレンズを搭載したものが中心ですが、Huaweiのようにカラーとモノクロのセンサーを採用するものもあります。

  • iPhone Xは望遠と広角

  • Huaweiはカラーセンサーとモノクロセンサーを搭載

  • ZenFone 4はメインも25mmと広角ですが、さらに12mmの広角カメラも備えます

また、少し前までは2,000万画素を超えるセンサーを搭載するケースが多く見られましたが、最近のスマホでは画素数が抑えられています。

和ビストロ/焼き鳥/鮨の3店舗で料理を撮影

それでは実際にお店で撮影した写真を紹介します。今回は和ビストロ、焼鳥屋さん、お鮨屋さんで写真を撮りました。肉系と魚系どちらの料理も収めています。なお、カメラ側の設定は基本的に初期状態から変更していません。お店やほかのお客さんのご迷惑にならないようにフラッシュだけ禁止としました。

生ハムとフライが美味しく撮れる? - 和ビストロ

和食のテイストも入った創作料理が食べられる和ビストロで撮影しました。店内は暖色系の照明です。普段は刺身などもありますが、この日はクリスマスも近いということで洋風のメニュー構成でした。生ハムやフライ、ローストポークが美味しく撮れているでしょうか。※撮影協力(和食ビストロ寛)

  • iPhone X

  • P10 Plus

  • Xperia XZ1

  • AQUOS R compact

  • ZenFone 4

焼き鳥のジューシーさを表現できる? - 焼鳥屋

隠れ家的な焼鳥屋さん。こちらも暖色系の照明となっています。焼いたお肉はSNSでも大人気ということで、いろいろと焼いてもらいました。ジューシーな鶏の質感が表現できるでしょうか。※撮影協力(赤坂焼鳥 鳳)

  • iPhone X

  • P10 Plus

  • Xperia XZ1

  • AQUOS R compact

  • ZenFone 4

刺身や焼き魚 - お鮨屋

お魚系の写真もということでお鮨屋さんで撮影しました。刺身を引いてもらったり、スズキのカマを焼いてもらったりしました。暖色系の照明で海鮮の撮影はちょっと難しい印象ですが、どのように撮れるでしょうか。※撮影協力(きく鮨)

  • iPhone X

  • P10 Plus

  • Xperia XZ1

  • AQUOS R compact

  • ZenFone 4

どのスマホで撮った写真が好み?

写真を見ると、製品によって写真の傾向が違うということが分かります。画質は非常に大事ですが、色味や露出などユーザー側の好みによっても印象は変わります。そこで今回は、マイナビニュース デジタルジャンルの編集陣に、製品名は隠したままの状態で「好みの写真が撮れているな」という製品を3つ選んでもらいました。1位に3点、2位に2点、3位に1点を割り振って総合点を集計しました。どのスマホが多くの支持を集めたのでしょうか。

iPhone X 14
P10 Plus 14
Xperia XZ1 14
AQUOS R compact 0
ZenFone 4 0

なんとiPhone X、P10 Plus、Xperia XZ1の3製品が総合点14で並びました。iPhone XもしくはXperia XZ1を1位か3位に、P10 Plusを2位にという傾向でした。

デジタルカメラを担当する編集部長からは「(iPhone Xは)全体的にアンダー目なので、サムネールの印象は地味だが、ディスプレイいっぱいに表示するとバランスよく撮れている」「(Xperia XZ1は)ホワイトバランスに優れている」「(P10 Plusは)暗部補正が吉と出る場合もあれば、持ち上げすぎて味わいを失う場合もあるという印象」というコメントをもらいました。

ちなみに筆者はXperia XZ1、P10 Plus、iPhone Xの順番で好みでした。暖色系の照明で、刺身など生魚の写真は結構大変で、いつも補正前提で撮っています。Xperia XZ1は生タコやお皿の白が比較的きれいに出ていて好印象でした。

また、驚いたのはiPhone Xです。筆者は普段iPhone 7 Plusをメインのスマートフォンとして利用しています。メリハリの効いた画は良いのですが、ホワイトバランスでちょっと悩むこともあります。しかし、iPhone Xではオートホワイトバランスがかなり改善されているように感じました。ここ数世代におけるカメラの進歩は目覚しいものがあります。

ただ、どの製品にも得意/不得意の状況はあり、基本的にはデフォルトの設定で撮るよりもある程度調子した方がもちろん良いでしょう。このほか、画質には関係ないのですがiPhone X以外の製品は、初期状態のシャッター音が静かなのも印象的でした。特にZenFoneは静かで、近くにほかのお客さんがいるときにもあまり迷惑になりにくいと思いました。

さて、5製品による写真の撮り比べはいかがだったでしょうか。ぜひ最新スマートフォンで宴席の思い出を「美味しく」残してください。