Googleが自らハードウェア製品を開発・販売する「Made by Google」の2年目となった2017年、スマートフォンの「Pixel 2」シリーズ、スマートスピーカーの「Google Home Mini」や「Google Home Max」など数多くのハードウェア製品がリリースされました。同時に「Made by Google」の1年目にはぼんやりとしていた、Googleがハードウェアを開発する理由がはっきりとしてきました。本稿では、Googleデバイスの存在意義を再確認しながら、2017年に登場したGoogleデバイスを振り返ります。

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    Made by Google、2017年にGoogleが発表したハードウェア製品

なぜGoogleがハードウェアを手がけるのか?「Appleに対抗するため」とも指摘されていますが、ここ数年のGoogleとAppleを思い返してみると、2社の関係は対立よりも共栄に傾いています。

Googleは以前より積極的にiOSアプリをリリースしていますし、AppleにとってGoogleはiOSの標準検索プロバイダの契約を結ぶパートナーです。そしてApple MusicをAndroidにも提供しています。今Googleが対立色を強めているのは、Appleではなく、クラウド事業で競合するAmazonやMicrosoftです。

2016年のGoogle I/OでGoogleは、HTML5、モバイルの次を見据えて「モバイルファーストからAIファーストへのシフト」を宣言しました。そして今Googleが「Made by Google」で様々なハードウェア製品を自ら手がける理由も「AIファースト」にあります。

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    「モバイルファーストからAIファーストへ」、Googleの事業戦略の軸足はすでにモバイルからAIに移っています

"人がコンピュータに合わせる"状態から脱却

Googleが考えるAIファーストの世界とは「人々がコンピュータに合わせるのではなく、コンピュータが人々のことを知り、コンピュータが人々に寄り添う環境や社会」です。たとえば、朝起きて予定やニュースに関するアプリを1つずつ確認しなくても、Google アシスタントに「今日はどんな日」と訊くだけで、天気、通勤経路の交通状況、その日のスケジュール、ニュースなどをまとめて教えてくれます。

でも、今はまだ、ユーザーがGoogle アシスタントに対応するスマートフォンやスマートスピーカーに向き合い、デジタルアシスタントが理解してくれる言葉を選びながら会話しないと便利に機能してくれません。人々がコンピュータに合わせている状態です。

Gogoleが目指すAIファーストの世界を実現するには、これからAIも、デバイスも、人々の意識も変わらなければなりません。AIがもっと自然に人々と会話できるようになり、スマートフォンだけではなく、多種多様なデバイスやスクリーンにAIが広がり、そしてAIの価値がもっと人々に理解され、AIが学習し適応できる環境を整える必要があります。

その進化を加速させるには「AI+ソフトウェア+ハードウェア」、つまりは機械学習を前提にソフトウェアとハードウェアも設計していく必要があります。2017年10月のMade by Googleイベントで、Google CEOのSundar Pichai氏は「AIはモバイルに匹敵するプラットフォームになる」と述べていました。WebアプリやHTML5の普及を加速させるためにChromeブラウザを手がけ、モバイルWebの普及を加速させるためにAndroidを手がけたように、今GoogleはAIファーストの世界を実現するためにAI優先のハードウェアを自ら手がけています……それが今日の「Made by Google」です。

Made by Googleデバイスの第1弾だった初代Pixelは、初のGoogle アシスタント対応デバイスでした。そして2017年に登場したGoogleデバイスも多くがGoogle アシスタントに対応、さらに機械学習に関連しています。

では次のページから、2017年にGoogleが発表したハードウェア製品を一つずつ見ていきましょう。