半世紀以上に渡り、シャープの冷蔵庫事業の成長を支えた八尾事業所は、約13万2000平方メートルの敷地を持つ。冷蔵庫のみならず、白物家電製品を担当する健康・環境システム事業本部の中核拠点としての役割を果たしている。開発部門やデザイン部門なども同事業所の中にあるため、"ものづくり"を追求できる環境としての八尾営業所という側面が見て取れる。

冷蔵庫を生産する棟は5階建て構造で、延床面積は約4万平方メートルだ。1階は外箱成形などが行われ、2階で内箱組立、3階では庫内部品の組み込みや性能検査、4階は扉組立、5階は最終工程の梱包、出荷検査が行われる。つまり、1階から上に上がっていくごとに完成品に近づく仕組みだ。

現在は2つの組立ラインが稼働しており、梱包ラインでこの流れが一本化されるという仕組みだ。異なる機種が生産可能な混流ラインで、それぞれ日産850台、合計で1700台の生産が可能だ。自動化と熟練した作業者による手作業を組みわせているほか、徹底した検査工程など、国内生産にこだわる理由が随所に見られる。

生産・開発拠点としての八尾事業所があるからこそ、世界で支持されるシャープの冷蔵庫がある。そう言っても過言ではない現場力を八尾に垣間見た。

  • 1階では、最初に、4メートルの長さの板金を成形ラインに投入

  • まずは穴あけや切り込み加工を行う

  • 続いて高周波で50度にまで加熱して、加工しやすくする

  • 前面および背面の縁部分を折り曲げるフランジ加工

  • 冷媒銅パイプを取り付ける工程

  • 生産ラインに投入される冷媒銅パイプ

  • 自動装置でアルミテープで冷媒銅パイプを固定する

  • 上方向から真空パネルを自動で貼りつける

  • 真空パネルが貼りつけられた状態

  • 作業品質を確認しながらテープで固定する

  • キャビネット組立ライン。2階で内箱組み立てが行われた部品と組み合わせる

  • 続けて内箱部分に様々な部品を取り付ける

  • 外箱と内箱のコーナー嵌合部をシールするためにフォームメルトを注入する装置

  • 背面ケースを取り付ける

  • 背面ケースを固定する

  • コンプレッサーを搭載する作業も1階で行われる

  • 3階の品質検査工程。人による検査と機械による検査を組み合わせている

  • エージングライン。全量を対象に60分間の電気検査を行う

  • 配管口を取り付ける作業

  • 筐体は移動しながら、真空にしたり、冷媒を充填したりといった作業が背面側から行われる

  • 取り付けられる部品は箱のなかに入れられてラインに供給

  • 庫内組立ラインの横で部品がセットされる

  • 扉の取り付け工程の様子

  • 5階の梱包ラインに入る冷蔵庫

  • ビニールが自動でかぶせられる

  • 続いて梱包箱に入れられる完成品

  • バンドマシンで固定された完成品

  • 1階の出荷口に搬送される