ワイヤレスのメリットは速度よりも手軽さ

実際にiPhone X/8のワイヤレス充電を試してみた。充電用コイルは本体背面に搭載されており、このために背面の素材が従来の金属からガラスに変更された。だが純正ケースのように薄手のものなら、ケースを付けたままでもワイヤレス充電は可能だ。

iPhone X/8の背面素材はガラスになった

ベルキンの充電パッドは出力が5Wのタイプと、大型の7.5W対応の2種類がある。現在のiPhone X/8は5Wでしか充電できず、進み具合は1時間で20%程度とやや遅い。だが年内にはiOSのアップデートにより7.5Wの「急速」ワイヤレス充電に対応する予定だ。

とはいえ、充電速度を求めるならば有線の急速充電に勝るものはない。ワイヤレス充電で注目すべきは、「充電が手軽になる」ことだ。たとえば飲食店のテーブルにワイヤレス充電パッドがあれば、充電器の存在をほとんど意識することなくスマホを休ませるように充電できるというわけだ。

そこで重要になってくるのが、公共空間におけるワイヤレス充電の普及だ。かつてドコモは空港やカフェ、映画館などに充電パッドを展開していたが、米国ではiPhone X/8の発表に合わせてコーヒーチェーンやファストフード、自動車メーカー、ホテルなどがワイヤレス充電への対応を一斉に表明した。

こうして社会全体でワイヤレス充電に対応する機運が高まれば、キャリアや端末メーカーを巻き込んだ動きに発展していく可能性が高い。iPhone X/8によるワイヤレス充電への対応はその大きなきっかけになりそうだ。