iPhone XとiPhone 8が対応した新機能のひとつに「ワイヤレス充電」がある。無接点充電の標準規格「Qi」に対応した充電パッドがあれば、充電のたびにケーブルを抜き差しする必要がなくなる便利な機能だ。

ワイヤレス充電中のiPhone X

かつてはNTTドコモが「おくだけ充電」の普及に注力していた時期もあったが、ここ数年は下火になっていた。だが、最新のiPhoneが対応したことで改めて見直されつつある。

ベルキンが予測する「ワイヤレス充電」の未来

「これからのスマホ充電はワイヤレスに向かう」と予測するのが、iPhone用周辺機器などで知られるベルキンの石井 靖人氏だ。従来通りのケーブルを用いた有線のアクセサリーも多数展開する同社だが、今後はワイヤレス充電に注力していくという。

ベルキンジャパン ナショナルセールスマネージャーの石井 靖人氏

ワイヤレス充電にはQiなどいくつかの規格があるが、目新しい技術というわけではない。2013年頃まではドコモが「おくだけ充電」の名称で普及に注力していたが、最近ではサムスンのGalaxyシリーズなど一部機種が独自に対応するにとどまっていた。

だがiPhoneの対応をきっかけに、再びワイヤレス充電が注目を浴びている。家電量販店にも専用のコーナーができるなど活況で、量販店からベルキンへの注文も急増しているという。ドコモも2018年春モデルとしてワイヤレス充電対応のLG製スマホを発売する予定だ。 今後、アップルは複数デバイスのワイヤレス充電に対応した「AirPower」を投入する予定だが、ベルキンも製品展開を広げていくという。そこで強みになってくるのが、他の周辺機器メーカーとは異なるベルキン独自の立ち位置だ。

アップルはサードパーティの周辺機器やアクセサリーのために、MFi(Made For iPhone/iPad/iPod)認証を設けている。だがアップルとの付き合いが長いベルキンは、完成した製品の認証を受けるのではなく、開発段階からアップルと共同で取り組める点が強みだという。いわば他社よりも少し先の未来が見えているメーカーといえる。

スイスのアップルストアで売られていたベルキンの充電パッド