まとめと考察
ファーストインプレッションでは「完全版として近いうちにお届けする予定」とか書いておいて1カ月以上も遅れてしまって大変申し訳ない。一応言い訳を書いておけば、いきなりRadeon RX Vegaが降って来て、これが終わるまでNUMAモードのテストが再開できなかったりした関係で、完全にタイミングがずれてしまったのだが、それを含めて筆者の責任ではある。
それはともかくとして、今回実感したのは意外なNUMAモードの有用性である。もしThreadRipperを所有するなら「ゲームで遊びたい人にはNUMAモード推奨」だろう。もちろんいまのところNUMAで性能が下がるものもあるので、事前にUMAとNUMAで比較してみる必要はある(この切り替えにリブートを伴うのがちょっと面倒ではある)が、逆に言えばそうしたチューニングの手間を惜しまなければ、ThreadRipperは驚くほど高い性能を発揮する。
また、エンコードとかにはNUMAよりもUMAの方が高い性能を発揮しそうだ。RAW画像の現像を大量にかましたい、という方にはUMAモードをお勧めする。あと想定される使い方としては、仮想マシンをバンバン動かすパターンだろうか? 今回は試していないが、原理上この使い方だとNUMAモードが効果的に思える。
欠点があるとすれば、やはり価格だろう。冒頭にも書いた通り、安くなったとはいえまだプロセッサは128,000円(+税)だしマザーボードも6万コースである。マザーボードも、これだけCPUのピン数が多いと4層はおろか6層でも厳しい。そりゃ値段も上がろうというもので、こればっかりは待っていてもそう安くなりそうに無い。
Intelも積極的に価格攻勢+新製品投入でこれに対抗しようとしているが、Core i9-7900Xの結果を見る限り、AVX512をフルに使うのでなければ、Core-Xシリーズの多コア版はあまり性能改善には繋がらない気がする。むしろCoffee Lakeとかの方が脅威かもしれない。
ユーザーが環境に合わせてアプリケーションの設定などをチューニングすることで、性能が上がりやすいというピーキーなプロセッサという評価は前回と同じだが、DxO OpticsPro 11のテストで示したように、これをちゃんとやると本当に性能が上がる。
こういうチューニングの楽しみを久々にPCの世界にもたらしてくれたという意味でも、ThreadRipperを評価したいと思う。そういう意味では「上級者向け」に相応しい製品と言えるだろう。